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プロローグ
それは帝国で語られる最も新たな英雄譚。
帝国が誇る猛き二人の騎士の物語。
帝国最強の騎士団。その団長と副団長。
二つの剣閃は幾万の敵軍を切り裂き、幾千の戦いから勝利もたらした。
戦場から戻れば国は湧き、民と国は更なる栄華を誇った。
二人の騎士の活躍により帝国は終わりのない繁栄を続けるものと思われていた。
しかし一国の敵を前に二人の騎士は袂を分かつこととなった。
二人の騎士のもとに届く敵兵の話は曰く、それは獣の如き獰猛さ。死をも恐れぬ戦狂いの狂戦士。帝国騎士団を前にして尚奮い立つその姿は悪魔の如し。
兵の知らせを聞いた一人の騎士はこれまで見たことも聞いたこともない強敵を前に恐れをなしついには敵国に寝返ったのだった。
更なる劣勢に追い込まれた帝国騎士団であったが残された騎士が巨敵を前に立ち上がり、剣を掲げ散り散りにないかけていた帝国軍を見事纏め上げ、寝返った騎士もろとも敵国を打ち払い、輝かしき勝利を帝国に導いて見せた。
帝国を勝利に導いて見せた英雄騎士の名をレイナイト。
帝国を裏切りし反逆者の名をヴェスペライト。
これは今より10年前の最も新しき英雄譚。