未来から来た者⑵
ピーッ、ピーッとサイレンが鳴り響く。辺りは騒然とし、部屋で待機中だったセイヤたちも皆顔を見合わせる。そんな中先ほどホログラムに映し出された男が入って来た。
「皆、驚かずに聞いてくれ。この建物の中にウイルスに感染されたと思われるコンピュータが冷却装置を破壊し逃走している。そのコンピュータは時空転送装置で過去へ飛ぶ気のようだ」
「「っ‼︎」」
「これ以上の事となると人類に未来はない!よってこの中の数名を連れて私たちも緊急ダイブする」
突然の事に皆に緊張が走る。まだ実戦にも出ていない新人ばかりだ。これが初の戦闘になる。
「まずは…そこのお前」
「お、俺っ‼︎」
初めに選ばれたのはセイヤだった。
「それに、お前」
「っ‼︎」
次に指名されたのはヨコイ。
「そこの君」
「ボクですか?」
先ほど仲裁に入った少年、アンドウ。
「最後は「隊長!私も参加させてください」…君をかね」
最後に指名する前に名乗りを上げたのはセイヤと変わりないぐらいの女性だった。どこか強い目をし、隊長である男に訴える。
「名は」
「ハヅキです」
「…よし、いいだろう」
「!ありがとうございます」
隊長はセイヤ、ヨコイ、アンドウそしてハヅキを見ながら続ける。
「これより君たちにとって初となる戦闘になるだろう。けして気を抜くな。」
「「了解‼︎」」
隊長を先頭に時空転送機まで向かう。やはり辺りは騒然とし、だが張り詰めたような緊張感が漂っていた。今だ実感のなかったセイヤにも、否応無くこの事態の恐ろしさが身に染みてくる。
重厚な扉を開けるとそこはロッカールーム、5つの衣服の一式が用意されていた。
「これからダイブする先の衣装だ。先ずはこれに着替えてくれ」
隊長の言葉に手元に見える衣服に手を伸ばす。
「わぁ、皆さん似合ってます」
着替え終わりアンドウはそんな一言を口にした。皆今の時代では歴史の中でしか拝見しない衣装にどこか興奮しているのかもしれない。
「まぁ悪くはないか」
「お前も似合ってるよ、アンドウ」
「お喋りは其れぐらいにしておけ。行くぞ」
ロッカールームを抜けると先に見えるのは大きな操縦室のような機械。その中央には鳥型のロボがいる。
『皆席についてくれ、準備を始める』
「お前は…?」
『私はナビゲーターのアル、君たちを2000年に送り出す手伝いをする』
アルの指示の通りに固定の席に座る。
『先に君たちの脳内に直接2000年の情報をインプットする。』
アルの言葉の後、痺れるような痛みが伴い思わず苦痛を漏らす。頭には沢山の映像、音が駆け巡る。
『…完了した。皆大丈夫か?』
「えぇ、なんとか」
『よし、では緊急ダイブを開始をする‼︎時空転送機を起動、システムオールクリア、設定年代は2000年、時空転送扉解放‼︎』
部屋は建物より切り離され、滑走路へと向かう。その先に見えるのは大きな扉。この転送機は助走をつけダイブすることで過去へ飛ぶことができる。
『時空転送機、発進‼︎』
揺れとともに転送機は動き出す。が、その時扉の前に突如コンピュータが奴らが使っていると思われる戦艦とともに現れた。
『何っ⁉︎ヤツらは私たちの時空転送を利用する気だ‼︎直ぐに緊急停止を』
パァァッン‼︎‼︎
緊急停止をしようとしたアルに隊長はいきなり発砲した。
「なっ!隊長⁈」
「っふ、このままダイブをしてもらう」
「「っく!うわぁぁっ‼︎」」
コンピュータの戦艦を押してしまう形でダイブをしてしまう事になった。そのまま皆軽く気絶してしまった。
初めに目を覚ましたのはハヅキだった。鈍い痛みが頭を襲ったがすぐに治り、辺りを見渡す。
「ここは、過去なの?」
転送機を見ると表示されているのは2010年、どうやら少しズレてしまったらしい。考えていると後ろから殺気を感じ素早く避ける。後ろを振り向くと隊長が銃を構えている。
「何のつもりですか、隊長」
「ふんっ、白々しいわかっているのだろう」
ハヅキは隊長を睨みつけ構える。その騒動に他の3人も目を覚ましたようだ。
「正体を見せなさいっ!」
怒鳴りつけるかのように発した言葉、そのあと隊長であった男はみるみる形を変え人型にちかいアンドロイドとなった。
「なっ!敵だっていうのか‼︎」
「我が名はディーク、アースウェルグの幹部の1人」
「アースウェルグだと…?」
「何が目的だ‼︎」
「目的だと?全人類の破壊それだけだ」
「させるかよっ」
セイヤ、ヨコイが殴りにかかるが軽く避けられてしまう。ハヅキ、アンドウが銃を放つが効いていないようだ。
「効かん、効かんぞ!そんな攻撃‼︎」
「キャアッ」
「ハヅキッ!うわっ」
一瞬の隙をつかれてハヅキ、ヨコイが倒れる。アンドウとセイヤが2人に駆け寄り体制を立て直す。4体1とはいえ相手は敵幹部、新人4人では分が悪い。
「コレでお仕舞いだ、レンジャーども‼︎」
「「うわぁぁっ/キャアァ!」」
4人は倒れてしまう、ディークは縛り上げると爆弾をセットしその場から離れた。
「精々苦しみながら死んでいくといい」
ディークの向かった先には戦艦に乗っていた別のアンドロイドがいた。
「遅かったじゃねぇか、ディーク。」
「すまない、邪魔が入ってな」
「始末はしたんだろうな」
「縛り上げて爆弾を仕掛けてきた。そのまま転送機ごと爆破するだろう。」
「ならいい、この後は」
「この近くに街がある。手始めにはいいだろう。…して?」
「何だ」
「彼女はどこへ行ったんだ、見当たらないが」
「お前が来るのが遅いせいで先に行きやがったよ」
「おや、まぁいい。では行こうか」
「あぁ、アースウェルグ出現だ」
縛り上げられ、残された4人は何とか抜け出そうとしていた。
「くそっ!ハズレねぇ」
「早くしないとっ、時間がないわ!」
その中アンドウは手先を器用に扱いながら壊されたアルを直していた。
「お前…直せるのか?」
気づいたヨコイがアンドウに視線を向ける。
「旧型のロボなら何度も弄りましたから。あと少しで」
アンドウは手を休むことなく直そう直そうとするが爆弾は止まらない。そして、
「っ直りました!」
「けど、時間がっ」
アンドウの努力は虚しく爆弾は爆破してしまった。
とっても急展開!
早く終わらせてしまいたいが、無理あるカモ…?