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そこの魔王!廊下に立ってなさい!!  作者: YL
第一回公開授業 テーマ「異世界転生したら・・・だった場合の計画策定について」
5/10

二時間目 若返りの秘訣

急に見たこともない場所に行ったとき

あなたならどう考えますか?




今自分がどこにいるのか必死に探ろうとするでしょう。

そしてとても不安になるでしょう。

それでも何とか帰ろうと必死に手段を探すでしょう。




しかし『帰ることが不可能である』ことが分かったとき

どうすればいいのか•••

私には分かりませんでした。

誰か私に教えてください。

誰か、助けて!





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ぐーーーー



「ひあ!」



私は突然の物音にビックリして

ベッドから飛び起きました。



外はすでに明るくなっており、

どうやら落ち込んだまま

ベッドに倒れ込んでいたのだと

分かりました。







「あれ、いったい何の音」



ぐーーーきゅーーー



物音の正体が何なのか

周りをキョロキョロと見回していると、

自分のお腹の辺りから盛大な

音が鳴っているのに気づきました。


昨日はおばあちゃんにお茶をもらっただけで、

何も食べずに眠りこけてしまっていたからでしょう。

随分とお腹が減っていることをようやく

頭の方でも理解することができました。








コンコンコン



さてどうしようかと思っていると

急にドアがノックされました。


異世界でもドアをノックするようです。




「入って良いかな?」

「は、はい、どうぞ。」



ドアの外から問いかけるおばあちゃんの

声に応えると、

お盆のようなものに

湯気のたった何かを載せた彼女が

部屋に入って来ました。



おばあちゃんはそのままベッドの脇の

机にそのお盆を置いて、

椅子に腰掛けます。







「少しは落ち着いたかい?」

「•••はい。その、ちゃんと説明も

聞かずに寝てしまってごめんなさい。」


こちらを気遣うおばあちゃんの言葉に対し、

昨日の非礼を詫びると、

おばあちゃんは笑って私の頭を撫でてくれました。


何だかジーンとして、安心してしまいます。

やはり私はこうやって撫でられるのが好きみたいです。




「いや、随分とショックだったんだろう。

あたしの配慮が足りなくてごめんよ。

昨日話したあんたと同じ世界から

来た子はすぐに自分の状況を受け入れてたから、

あんたもそうだと、勝手に考えていたよ。」

「すごい人ですね、その人。」

「まあ、頭はすごく良かったんだけどね。

今あんたが私の言葉を理解出来ているのも、

その子が考えた新しい魔法のおかげさ。

ただ頭が良過ぎたからあんなことに•••」




ぐーーーー




「•••難しい話は朝ご飯食べてからに

しようか。

口に合うかどうかはわからないけど、

お腹が減ってるならなんとか入るんじゃ

ないかね。」

「•••はい。」



同じ世界から来たという人の貴重なお話を

私のお腹の虫が遮ってしまいました。

おばあちゃんは笑って朝食を勧めてくれましたが、

私はもう顔が真っ赤でまともに返答出来ませんでした。




私こんなにお腹鳴ったっけ?

学生時代は良く友達に笑われていた気がするけど•••





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おばあちゃんが言っていたように

異世界の食事がちゃんと食べられるものなのか

若干不安でしたが、

普通においしくいただけました。




というか昨日のお茶と一緒に出て来たのは、

ベーコンエッグみたいなものと野菜を

クレープ状のもので包んだ、

正直日本のファーストフード店で出て来ても

おかしくない感じのものでした。


これもその私と同じ世界から来た人のアイデアらしくて、

この世界の材料で作れる地球の料理のレシピを色々

残しておいてくれたみたいです。




しかも10年程前に私と同じように

この世界に来たその人は、

なんと私と同じ日本人のようでした!

それでこの世界のお米に近い作物を使って

日本の料理に近いものを作る方法なんかも

考案してくれていたみたいです。

私が目を輝かせて聞いていると

今度作ってくれるとおばあちゃんは言ってくれました。




朝食後ももっとその人のことを聞きたくて

色々質問しようとしたのですが、

おばあちゃんから流石に顔や服が

ぐちゃぐちゃだから一度顔を

洗って着替えて来なさいと言われてしまいました。

その後でその人のことも含めて

この世界のことや『魔法』のこと何かを

別の部屋で説明するとのことです。




鏡がないため気づいていなかったのですが、

どうやら相当汚れていたみたいです。


うー、学校にも化粧をし忘れて

行ったこと多かったもんなー。





自分の間抜けな状況に

逆にいつものペースを取り戻しかけていた

私でしたが、

その後あることに気づいて

また大混乱に陥ってしまったのです!






どういうことかと言うとですね。

おばあちゃんに渡された着替えを持って

洗面所のようなスペースに行ったのですが、

顔を洗おうとたらいのようなものにためてあった

水面を覗き込んだ瞬間、

私は異世界に来た時と同じくらいの衝撃を受けたんです!!

いや、異世界すごすぎます!!!





そのままベッドのある部屋に駆け戻り、

ベッド周りを片付けてくれている

おばあちゃんに向かって私は勢い良く

口を開きました。




「おばあちゃん、私何歳くらいに見える!」



いきなり戻って来た私のアホな質問に、

目をパチクリしていたおばあちゃんでしたが、

しばらくして何かに気づいたように

手を叩きました。



「逆に言うとお前さんは『何歳』なんじゃ。

この世界とお前さんの世界では

大体年齢の数え方はいっしょだから、

元の世界での年齢を言っておくれ。」





おばあちゃんの

私の現状に気づいているかのような発言に

驚きましたが、

それでも何とか気を取り直して

質問に答えました。



「•••25歳です。」

「やっぱりな。

今回の転生は随分変わったものみたいじゃのー。

まあ、元々、こうやって異世界での記憶を持った

成長した状態で転生すること事態が特殊なんじゃが。」

「えっと、どういうことなんですか?」






また何か問題が起こったのかと

私は不安になっていましたが、

おばあちゃんはニッコリ笑うと私に

微笑みかけました。



「一応確認じゃが、

お前さんのいた所では、

女性は若いことが重視されておった

というので間違いはないかの?

この世界でも同じようなものじゃが。」

「まあ、年取った方がいいという人も

いるとは思いますが、少数派かと•••」




おばあちゃんは私の返答に改めて頷くと

私の今の状態について笑ったまま

教えてくれました。




「そりゃ、良かった。

お前さん、喜んで良いぞ。

今のお前さんは大体15くらいの歳に見えるぞ。

随分と若返ったみたいで良かったの!

特殊な転生が起こったからみたいじゃが、

これこそお前さんの世界の言い回しで

『怪我の功名』とか言うんじゃ、

なかったかの?」

「や、やっぱり。

私、中学生くらいにもどっちゃったの!?」




笑顔で説明するおばちゃんほど

私は冷静になれず、

自分の身に起こった思いがけない変化に

混乱しっぱなしでした。




どうやら私は異世界に来たばかりか

何故か若返ってしまったみたいです。

本当に私はどうなってしまうのでしょうか?

みんな、こんなんでも先生って呼んでくれるかな?




地球であれば世界中の女性が求めてやまない若返りですが、

異世界で実現するとただただ不安が増すばかりでした。

もし万が一地球に戻れるなら是非報告したいと思います。



まあでも、

半ば冷静にバカなことを考えられている、

自分で自覚できたのはいいことかもしれません。


私は不安な中でも

異世界に来て初めて

少し落ち着けた気がしていました。


もう何があっても驚かない。

後後を考えると

あまりに思い上がったそんな思い込みが

私を包んだ、

そんな瞬間だったのです。


アリアンローズ新人賞応募作品です。


今週はバタバタしていてなかなか更新できませんでしたので、

週末何話か更新したいと思います。


それではまずは一つのネタばらし、

主人公の若返りでした。

これも典型的なネタだとおもうのですが、

皆さんどうやって受容しているんですかね。

うちの子は混乱していただけでしたが、

女性なら喜ぶんですかね?

気になるところです。


新キャラの登場については

次の延長戦にもっていきたいと

思います。

ふざけた奴ですが

どうぞよろしくお願いします。

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