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童話作品

[完]水の底に沈む愛

作者: あいみ

 女の子がいました。

 お父さんとお母さんもいて、小さな村にはたくさんの村人も。

 彼らは優しくて、いつもニコニコしていました。


 女の子はそんなみんなの優しさが、ただただ怖かったのです。


 なぜなら……。


 「さぁさぁ。今日は大切な、ぎしきの日」


 村で一番えらい人、村長さんが女の子に声をかけました。


 よごれもシワもない真っ白な服に着替えた女の子は、村の真ん中にある大きな湖の前に立っています。


 空は青くて、もうこの空を見られないことに女の子は涙をながしました。



 さようなら。だいすき。ありがとう。



 ありふれた言葉でさえ、女の子の口からは出てきません。


 村のみんなが笑顔で見守るなか、女の子は静かに湖の中に入っていきます。

 体は沈み、あっという間に水の底。


 ぼんやりと開いた目には、立派な三本のヒゲを揺らしながら女の子を見つめる白い龍がいました。


 うろこでおおわれた、大きな体を女の子にまきつけては、そっと抱き寄せます。


 冷たい水の中で感じるぬくもり。


 こつんと合わさる額から流れこんでくるのは、溢れんばかりの龍の想い。


 世界をまもり、世界にへいわをもたらす龍は、宝石のようにきらきらと輝く瞳をした女の子に恋をしていたのです。


 村の人は龍にお願いをしました。


 女の子を差し上げる代わりに、みらいえいごう、村に幸せを運んでほしいと。


 龍はお願いを聞き入れました。


 女の子がいる世界を、この世界で一番、幸せにすると。


 「ごめんね、ごめんね。君に怖いおもいをさせて」


 女の子は龍への貢ぎ物として差し出されました。

 村のためだと言われました。


 女の子は…………受け入れました。それで、みんなが幸せに暮らせるのなら、と。


 「僕は人間じゃないけど、世界で一番、君を幸せにするからね」


 ちいさな約束は女の子の胸にささります。


 貢ぎ物となった日から、誰もが女の子に優しくしてくれました。優しくなりました。


 いつわりの言葉は女の子の心を黒くしていきました。


 まるで、みんながお面をかぶっているかのように、いつも同じようにニコニコしています。


 それがたまらなく怖くて、それでも女の子は逃げませんでした。

 村のみんなが嘘つきでも、女の子はみんながだいすきだったから。


 その気持ちだけは、溶けてなくなることはなく、女の子の心を灯していました。


 「ありがとう。僕なんかのために、こんな冷たい所に来てくれて」


 心からの感謝でした。嘘いつわりのない。


 女の子は龍を抱きしめました。


 女の子は欲しかっただけなのです。にせものではない、ほんものの愛が。


 宝石のような瞳から流れる涙はきらきらと輝きく石となり、水の底に沈んでいます。








 世界中に雨が降りました。

 雷も鳴っています。

 人々は救いを求めましたが、願いが聞き届くことはありません。


 龍は約束を守ったのです。

 女の子のいる世界を幸せにすると。


 女の子はここにいます。冷たい水の中で、温かい龍と一緒に……。

初めての童話です。

こんな感じでいいのか不安ですが……。

最後までお読みいただきありがとうございました!!

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