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十五試陸爆と十三試双戦

海軍のハ42制式化と余波。

なんだかわからない奴は更にわからない奴に。

 十五試陸爆(P1Y)だが、誉からハ42への換装が可能か調査し可能となった。双発機だから単発機より換装に問題は少ない。

 問題は少ないと言っても主翼構造という厄介な奴がある。どうせならハ42の実力を生かすべくより大直径のプロペラを装備しようと改設計である。これにより発動機中心線が誉より200ミリ外側になった。

 エンジンナセルは、計画通りに性能向上すれば2000馬力を超えるプロペラ後流を考え主翼後方まで突き出る砲弾形の滑らかなものとなった。大直径化と併せ主脚収容スペースに余裕が出来た。プロペラ大直径化により主脚長さも長くなっており、この余裕はありがたい。

 エンジンナセル大型化によってフラップの幅が減る。分割された内側フラップは後退作動量と角度を大きくとりフラップで得られる揚力は計算上若干増えている。主翼幅は変わらないのでエルロンの幅は減っていない。主翼外側前縁に自動スラットも取り付けられた。


 試作機の開発は発動機のトラブルが少ないことから順調に進み、改設計期間で伸びるかと思われた初飛行は昭和十七年六月に初飛行を行えた。

 昭和十七年九月には最高速度310ノットを記録した。

 これに驚喜した海軍は直ちに銀河として制式化。量産化するよう指示を出すが生産は中島である。量産は昭和十八年三月に始まり量産1号機がロールアウトした。

 飛行性能は非常に優秀で、部隊配備後は余裕のある大馬力発動機と併せ高機動双発爆撃機として歓迎された。

 量産性は発動機換装改設計期間に他の部分も量産化に適するよう見直されている。それでも量産に適さない部分は多々あり、順次細かく改良されていく。


銀河一一型

全幅       21メートル

全長       15.5メートル

全高       5.6メートル

自重       7.7トン

発動機      ハ42-22型

離昇出力     2100馬力

1速公称出力   195馬力/2000メートル

2速公称出力   1750馬力/5700メートル

最高速度     308ノット/6200メートル

航続距離     1000海里

         両翼下300リットル増槽2本で+300海里

         専用600リットル増槽2本で+600海里 

武装

機首       13ミリ旋回機銃1丁

          装弾数250発

後方       13ミリ旋回機銃1丁

          装弾数250発

雷爆装      胴体下のみ

         航空魚雷  1本

         八十番   1発

         二十五番または五十番   2発

搭乗員      3名

急降下爆撃可能






 十三試双戦は発注側からどうにもならない奴と言われたが、そうしたのは発注側である。中島設計陣は 「この恨みはらさでおくべきか」とばかりに、誉換装のついでに大改造を行った。十三試双戦設計開始時から四年。その間に得られた知見も多い。それらをぶっ込んだ。


「まず誉に耐えられそうにないひ弱な主翼構造を止めて、2000馬力に耐えられる主翼にします」

「「「「わー、パチパチパチ」」」」

「ついでに胴体も改設計します。あんな遠隔銃塔の痕跡は無かったことにする」

「「「「わー、パチパチパチ」」」」

「機首にボーイングもイチコロに出来る20ミリ機銃4丁を搭載します」

「「「「わー、パチパ???」」」」

「載せます」

「「「「わー」」」」

「雷撃も出来るようにします」

「「「「わ…へ?」」」」

「どうにもならない奴と言われたんですよ。皆さん。だったら凄くわからない奴にしてやりましょう」

「「「「わー、パチパチパチ」」」」


 機動性を上げるため主翼は幅を1メートル削りプロペラ影響圏は層流翼形状で外翼部は今までの翼型とした。機体強度は急降下爆撃にも耐えられる強度にした。フラップはエンジンナセル大型化で幅が減るが、フラップの開度と迫り出し量を増やし揚力を稼ぐ。空戦フラップはこの大型双発戦闘機?で格闘戦もないとして、機能自体の装備を止めた。

 胴体は三座を止め復座とし一人分の設備重量を浮かした。

 航続距離は800海里まで低下したが、海軍は高性能と引き換えなら「増槽で伸ばせばいいか」と。期待していないのは明らかだった。

 プロペラはキ84と共用にするなどのこともした。


 十三試双戦は魔改造を施された二二型が驚異の性能を発揮する。昭和十七年十二月の飛行試験で320ノットを記録し一部からは「銀河いらないのでは」との声も出るほどに。

 二二型なのは原型機が二式陸偵として少数生産されているから。ラインを止めないための数だけである。ついでに言うと戦闘機として制式化されていない。困ったもんである。

 追記として、急降下制動板取り付け時には、五十番1発または二十五番2発装備で急降下爆撃可能とある。

 海軍は驚愕した。「恐ろしい。中島の本気を見た」と。

 同時に中島のご機嫌取りもおこなう。昭和十八年二月に二二型を三式復座戦闘機天雷二二型として制式化。重点整備機種とし、資材の優先割り当ても行うとした。急降下爆撃可能にしたため速度は10ノット程落ちた。


 十三試双戦は二二型がめでたく天雷として制式化されたのである。


 三式復座戦闘機天雷二二型

全幅       16メートル

全長       12メートル

全高       4.6メートル

自重       5.5トン

発動機      誉一一型

離昇出力     1800馬力

1速公称出力   1650馬力/2000メートル

2速公称出力   1460馬力/5700メートル

最高速度     305ノット/5800メートル

上昇力      6000メートルまで8分50秒

航続距離     820海里

         両翼下300リットル増槽2本で+350海里

武装

機首       九九式二号三型20ミリ機銃4丁

          装弾数各100発

後方       13ミリ旋回機銃1丁

          装弾数250発

雷爆装      胴体下のみ

         航空魚雷  1本

         五十番または八十番   1発

         二十五番        2発

搭乗員      二名   



 恨みを晴らした中島では各部で宴会が開かれたそうだ。一部宴会場では「エコエコアザ・・・」とか黒ローブや黒マントの集団とかが居たと言われるがそういった事実は確認されていない。


ハ42-22は水メタノール噴射を採用していません。謎の努力結果で馬力を出しています。

わからない奴の斜め銃、どうなるんでしょうね。

次回更新 8月7日 05:00

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