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2000馬力でペぺぺのぺー をした結果

最終話です。

 アメリカ現職大統領急逝という事態を受けて副大統領が大統領代行となったアメリカ。

 4選であとは就任式だけと喜んだばかりだった。マリアナ占領で花を添えるはずだったのだ。大統領へのクリスマスプレゼントになるはずだったのに。縁戚のナイフ少将が持ち込んだ案は十分魅力的に見えた。

 海軍も陸軍も反対の中で決行された。唯一賛成していたのは陸軍航空軍だけだった。



 1945年1月 どこかの白い家


「どうするかね」

「どうするとは?」

「対日戦だよ」

「海軍はもう政治というか大統領に振り回されるのはいやですな」

「陸軍も同様です」

「マリアナさえ落とせばB-29による戦略爆撃で日本を屈服させることが出来ます。奴らの建物は木造が多い。焼き払えばいい」

「おまえは偉そうなことをいうが、マリアナ占領は航空軍で勝手にやってくれ。海軍はもう無理だ。船も人もいない。やれても10年後だな。来年のアナポリスはどれだけ受験生が来るか不安だ。現にもう募集所に人が来ない。深刻な人手不足になっている」

「海兵隊も精鋭を捕虜にされてしまいました。戦力的には無理ですな」

「陸軍も同様だ。上陸第1陣は精鋭だからな。まったく、椅子に座って戦争やる奴らは気楽でいいな」

「財務省としては金が無い。もう戦艦も空母も止めてもらわんと。航空軍の高価すぎる爆撃機もだ」

「空母も戦艦も無理なのか」

「今建造中のもの以外は凍結して欲しいですな。さすがに艦が無い海軍では格好も付きません」

「・・サンキュ」

「そういえば、航空軍は去年のマリアナ占領作戦に賛成だったな」

「「「「ふ~ん」」」」


 味方がいない航空軍だった。


「対日戦は中止だ」

「よろしいのですか」

「よろしいもなにも、主役の海軍が実行不能なのだろう。無理なものは無理と認める」

「そうなるとどこで線引きをするかですが」

「政治の話になる。奴らの主張をある程度受け入れざるを得まい」

「しかし、実質敗戦です。ある程度で済みますか」

「そこなんだ。何かいい材料はないだろうか」

「「「ありません」」」





 日本は昭和十九年十二月の東南海沖地震で中部地方に甚大な被害が出ていた。三菱重工名古屋航空機製作所や愛知航空機にも大きな損害が発生した。幸いなのは対米戦はしばらく無いだろうという観測がされていた。再建なった海軍がまた藻屑となったのだ。いくら化け物国家でも再建は遠いと思えた。

 ただ発表するわけにはいかなかった。軍を投入して災害復旧に励む。

 災害復旧に励んでいる昭和二十年一月、中立国経由で一報が入った。





1945年2月  ハワイ


 日米の交渉団が停戦交渉を始めた。



1945年3月 


 停戦成立。


 対英戦停戦交渉を開始。場所は同じくハワイ。



1945年4月


 日米講和交渉開始。



1945年5月


 対英戦停戦成立。オーストラリアとも停戦。

 日英講和交渉開始。

 日豪講和交渉開始。


 ソ連軍。条約を一方的に破棄し満州侵入。

 占守島-ロパトカ岬砲撃戦発生。日ソ戦発生。

 第二戦隊と第十一戦隊が出動。ロパトカ岬ソ連軍を艦砲射撃で吹き飛ばす。海軍機動部隊でカムチャツカ半島の軍事施設に壊滅的被害を与える。マガダンなどオホーツク海沿岸の軍事施設も同様に壊滅させた。

 

 英米はソ連を非難。アメリカ、ソ連をレンドリース対象国から外す。輸送船団には帰還命令を出す。

 ここでアメリカとの講和交渉が一気に進んだ。日本としてはアメリカの持つ物資が必要だった。


 日本、中華民国および中国共産党と休戦交渉開始。難航する。

 日本陸軍。奥地の軍から順次撤退開始。



1945年6月


 日本軍撤退地で国共合作崩れ始める。



1945年7月


 ドイツ無条件降伏。

 ソ連軍が対日戦に向けて戦力を移動させたため、ソ連軍がポーランド国内でまごついている間に英米軍がベルリン占領。英米軍はソ連軍をドイツに入れず。


 アメリカ。核実験成功。


 日米講和交渉の成果として、アメリカ製石油製品の対日禁輸解除。米軍の余剰戦車と関連資材を緊急輸入。戦車の他、軍用車両多数を緊急輸入。余剰航空機も緊急輸入する。多くがレンドリース品だった資材や機材。米軍も古い車両や航空機を優先的に安価で輸出してきた。不用品処分とも言われていた。


 関東軍、ハルピンまで押し込まれる。再編を終えた日本陸軍が本格的に派兵開始。

 対ソ戦の主導権を関東軍から取り上げる。


 日仏停戦交渉開始。



1945年8月


 ハルピンを巡る戦闘でソ連軍敗退。

 アメリカ製高性能航空ガソリンや航空潤滑油で真価を発揮した疾風などの活躍で日本軍が戦場周辺の制空権を奪取。ソ連戦車に対抗出来るM4戦車やアメリカ製車両を使った機動戦で勝機を見いだした。


 日仏停戦。講和交渉開始。

 日蘭停戦。講和交渉開始。



1945年9月


 日本軍、ソ連軍をノモンハンまで押し返す。アメリカ製兵器と軍用車両あったればこそだった。

 海軍はウラジオストク閉鎖をしているのみだった。時々浮遊機雷を流されるのでその対策に悩む。

 シベリア鉄道攻撃でソ連軍は人員機材の他、食料など必要量の補給が出来ず。じり貧に。



1945年10月

 

 満州からソ連を叩き出す事に成功。なおもチタ周辺まで追撃した。 



1945年11月


 ソ連、一方的に休戦を持ちかける。



1945年12月


 日本、休戦合意する。


 日蘭停戦交渉、インドネシアの扱いで物別れに終わる。




1946年1月


 日ソ停戦交渉開始。場所はニューヨーク。



1946年5月


 日ソ講和交渉開始。



1946年11月


 日米講和条約成立。



1947年5月


 日英講和条約成立。

 日豪講和条約成立。

 日仏講和条約成立。



1948年3月


 日ソ講和条約締結。

 ソ連はチタ以東への軍事力展開を制限。

 陸軍4個師団までに制限。軍用機100機までに制限。

 海軍は潜水艦と2000トン級以上の艦艇配備の禁止。

  備砲は80ミリ以下。魚雷の禁止。後にミサイルも禁止される。



1948年6月


 日蘭講和交渉再開。

 インドネシアの扱いでごねまくり再び暗礁に。

 




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 シコルスキー騒動が無ければ2000馬力級発動機ハ42が主力発動機にならず、後継機開発を怠った海軍は栄を載せていた零戦でF6FやF4Uと勝負しても勝負にならなかったと言う声が大きい。

 零戦が負けると言うことは海軍が負けるということで、海軍が負ければ資源や食料を自給出来ない島国日本は負けとなる。

 2000馬力級発動機の早期実現と搭載機の活躍でアメリカ海軍をペペペノペー出来たのが講和に繋がった。

 シコルスキーの情報を上げてくれた武官に感謝すべきという声は大きい。




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2000年

 

 アメリカ海軍は世界中の海に展開出来るほどの戦力も意欲も無く、世界中の海にと言っていたソ連は経済が崩壊しかけていて引きこもり気味になっている。

 イギリス海軍は自衛力の展開にも汲々とし、フランス海軍は自国と海外県だけに集中している。


 日本海軍はバブル崩壊の影響で大和の実働維持を諦め記念艦に。あの巨体をどこに置くかで揉める。観光資源になるが大型船埠頭をひとつ占拠するのだ。


 中国は国共合作が崩れソ連の支援もアメリカの支援も少なく、泥沼の内戦を20年続けていた。その間、5個の自治政府に分裂。内戦が自然終了した後、それぞれ国家として国際的に承認される。時々武力衝突もあるが概ね平和と言える。経済力は弱く、当然海洋進出力は弱い。



2010年


 遂にソ連崩壊。ロシアが引き継ぐ。しかしチタ以東の状況を見て非情にもチタ以東をシベリア国として切り離した。日本もアメリカも新たな進出先として期待したが想像以上に社会資本が整備されておらず、一部の進出のみとなっている。

 


 2018年


 大陸奥地から発生したと思われる謎の伝染病が猛威を振るう。特に発生元の中華5ヶ国が酷く、総計2億人の死者を出してしまう。隠そうとしたためか国際機関への報告が遅く感染は広がる。

 中華5ヶ国と地続きの各国も膨大な死者が発生。日本も近いということで五百万人以上が死亡。

 各地で埋葬や火葬が間に合わない事態になり他の疫病の原因ともなった。各国とも特例措置として様々な遺体対策や施策をとった。



 2022年


 感染力の低下と人間の免疫力が釣り合ったのか沈静化する。各種医薬品の効果もあった。

 世界の死者は5億人あまり。ほぼ同数の後遺症患者がいる。

 中華5ヶ国の人間には各国とも入国制限を設けている。貿易制限も検疫を中心に厳しく20年の内戦を経てようやく中進国として経済的自立が出来るようになったのに、かなり後退した。       





 現在、世界の海で覇権を唱えるものはおらず、実力国でも中小国家の小競り合いを仲裁するのが精一杯である。


お付き合いただきありがとうございました。


アメリカ海軍の航空支援が弱いのでヨーロッパ戦線は少し遅れていました。

ヤルタ会談はありません。

>ソ連戦車に対抗出来るM4戦車

九七式に較べれば少なくとも勝負は出来る。

ソ連は英米の姿勢を見て焦って日本侵攻をしたのかも。

ソ連はチタ以東の戦力を制限されたので、逆に経済的余裕が出来てしまい長持ちします。その代わりチタ以東の社会資本は最低レベルで主要国道でも未舗装部分があります。

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