倉庫
ドアを開けて外に出て、チビについて行くと、チビは隣の青い屋根の建物の前でお座りした。
「あ、ここ倉庫か。そういえばまだ確認してなかったっけ」
チビから「できた生産物は倉庫に入る」という説明は受けていたが、まだ中がどうなっているか実際には確認していない。
「どれどれ……」
体育倉庫とかにあるようなガッシリした鉄の引き戸を開けると、中には天井までの高さの棚が無数に並んでいた。
まるでテレビで見た〇mazonの巨大倉庫のように、はるか遠くまでぎっしりと棚が並んでいるその様子に、俺は口をあんぐりと開ける。
明らかに外から見た建物の大きさと、中の広さの比率がおかしい。
「なんかめちゃくちゃ広いけど……まあ、ゲームの世界だし、そういうこともあるか」
四次元なんとか、みたいなものだと思えばいいだろう。
まあ、この世界にはおかしなところがちょいちょいあるし今更だ。
「しかしこれ、どうやって欲しいものを探せばいいんだ?」
パッと見、近くの棚は空で、作ったものがどこにあるのか見つけるのは大変そうだ。
悩んでいると、チビが足元でまた「ワン」と鳴く。
チビが案内してくれた方に行くと、倉庫の一角に受付のような感じの台があった。
台の上には、ファミレスの注文用端末のような、スタンド型充電器に接続されたタブレット端末が置いてある。
端末を触ってみると、倉庫の中身の一覧が表示できるようになっていた。
今は「米」と「塩むすび」の2種類しかないから使う必要はないが、検索機能もあるようだ。
「なるほど。これで中身を取り出せるのか。
チビ、この中身を出して俺たちで食べてもいいってことか?」
チビに訊くとチビは「ワン」と返事をする。
「よし、じゃあ塩むすびをとりあえず5個で」
そのまま食べられるのは塩むすび一択だったのでそれを選ぶと、+−ボタンで個数が選べるようになっていたので5個選んで決定する。
すると台の空いたスペースに、竹皮で包んだ塩むすびが5セット出てきた。
「おー、便利だな。
よし、家に帰って食べるか」
塩むすびを抱えて、俺とチビは赤い屋根の家に戻る。
「結局塩むすびだけか。
まあ食べられるだけ助かったけど。
あ、そう言えば水は……」
シンクの水道のレバーを上げると、幸い水は出た。
ついでに手を洗ってから、食器を探す。
ガラスのコップと、チビが使えそうな犬用の食器があったので2つ出した。
「犬って塩分摂りすぎるとだめなんだっけか。
チビ、塩むすびの塩洗った方がいいのか?」
足元のチビに聞くとチビは首を横に振った。
「そうか? じゃあ中身出せばいいか」
チビの分の塩むすびを竹皮を開いて犬用食器に入れ、チビ用と自分用の水を汲む。
出来れば何か温かいものが飲みたかったが、あいにくコンロはIHだったので電気がないと使えないだろう。
塩むすびと水をソファの方に運び、チビの分は床に、自分の分はローテーブルに置いた。
「よし、いただきます」
俺が手を合わせると、チビもちょっと頭を下げて食べ始める。
「うまい……」
ご飯をかまどで炊いているせいか、冷めているのにご飯がつやつやしていて、口に入れるとほろりと崩れる握り具合も完璧だ。
米もたぶんいいやつなんだろう。大粒で噛むと甘みがあって美味い。
塩むすびだけで、お茶もおかずもないけど、俺は夢中になって食べた。




