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わんこ農園にようこそ! 〜スマホゲーム世界に転生した俺の愉快な日々〜  作者: 鳴神楓


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8/12

倉庫

 ドアを開けて外に出て、チビについて行くと、チビは隣の青い屋根の建物の前でお座りした。


「あ、ここ倉庫か。そういえばまだ確認してなかったっけ」


 チビから「できた生産物は倉庫に入る」という説明は受けていたが、まだ中がどうなっているか実際には確認していない。


「どれどれ……」


 体育倉庫とかにあるようなガッシリした鉄の引き戸を開けると、中には天井までの高さの棚が無数に並んでいた。

 まるでテレビで見た〇mazonの巨大倉庫のように、はるか遠くまでぎっしりと棚が並んでいるその様子に、俺は口をあんぐりと開ける。

 明らかに外から見た建物の大きさと、中の広さの比率がおかしい。


「なんかめちゃくちゃ広いけど……まあ、ゲームの世界だし、そういうこともあるか」


四次元なんとか、みたいなものだと思えばいいだろう。

まあ、この世界にはおかしなところがちょいちょいあるし今更だ。


「しかしこれ、どうやって欲しいものを探せばいいんだ?」


 パッと見、近くの棚はからで、作ったものがどこにあるのか見つけるのは大変そうだ。


 悩んでいると、チビが足元でまた「ワン」と鳴く。

 チビが案内してくれた方に行くと、倉庫の一角に受付のような感じの台があった。

 台の上には、ファミレスの注文用端末のような、スタンド型充電器に接続されたタブレット端末が置いてある。

 端末を触ってみると、倉庫の中身の一覧が表示できるようになっていた。

 今は「米」と「塩むすび」の2種類しかないから使う必要はないが、検索機能もあるようだ。


「なるほど。これで中身を取り出せるのか。

 チビ、この中身を出して俺たちで食べてもいいってことか?」


 チビに訊くとチビは「ワン」と返事をする。


「よし、じゃあ塩むすびをとりあえず5個で」


 そのまま食べられるのは塩むすび一択だったのでそれを選ぶと、+−ボタンで個数が選べるようになっていたので5個選んで決定する。

 すると台の空いたスペースに、竹皮で包んだ塩むすびが5セット出てきた。


「おー、便利だな。

 よし、家に帰って食べるか」


 塩むすびを抱えて、俺とチビは赤い屋根の家に戻る。


「結局塩むすびだけか。

 まあ食べられるだけ助かったけど。

 あ、そう言えば水は……」


 シンクの水道のレバーを上げると、幸い水は出た。

 ついでに手を洗ってから、食器を探す。

 ガラスのコップと、チビが使えそうな犬用の食器があったので2つ出した。


「犬って塩分摂りすぎるとだめなんだっけか。

 チビ、塩むすびの塩洗った方がいいのか?」


 足元のチビに聞くとチビは首を横に振った。


「そうか? じゃあ中身出せばいいか」


 チビの分の塩むすびを竹皮を開いて犬用食器に入れ、チビ用と自分用の水を汲む。

 出来れば何か温かいものが飲みたかったが、あいにくコンロはIHだったので電気がないと使えないだろう。


 塩むすびと水をソファの方に運び、チビの分は床に、自分の分はローテーブルに置いた。


「よし、いただきます」


 俺が手を合わせると、チビもちょっと頭を下げて食べ始める。


「うまい……」


 ご飯をかまどで炊いているせいか、冷めているのにご飯がつやつやしていて、口に入れるとほろりと崩れる握り具合も完璧だ。

 米もたぶんいいやつなんだろう。大粒で噛むと甘みがあって美味い。


 塩むすびだけで、お茶もおかずもないけど、俺は夢中になって食べた。



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