表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わんこ農園にようこそ! 〜スマホゲーム世界に転生した俺の愉快な日々〜  作者: 鳴神楓


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/12

おにぎり屋

 追加の畑を設置して、合計6マス分の畑に米の種をまいて世話をして収穫して、と何回か繰り返していると、「ポチさん!」と俺の名前を呼びながらチビが走り寄ってきた。


「お待たせしました!

 おにぎり屋が完成しましたよ!」


 言われてチビが走ってきた方を見ると、ショップのイラストで表示されていた通りの、小さな茅葺きっぽい建物が出来上がっていた。


「おー、おつかれさま。

 えっと、あそこでおにぎりが作れるのかな?」

「はい、そうです。さっそく作ってみますか?」

「うん。説明お願いできるかな?」

「はい、もちろんです」


 うなずいたチビと一緒におにぎり屋に行く。

 木の板でできた引き戸を開けると、土間に大きなお釜が乗ったかまどが目に入る。

 その他にも水道の蛇口がついたレトロな感じのタイル製の流しや、しっかりとした木のテーブル、細かい道具が入った棚などがあって、おにぎりが作れる設備が一通り揃っていそうだ。


 かまどの方に近づくと、空中にメニュー画面が浮かんだ。


「生産施設のメニューです。

 メニューの中から料理を選ぶと、材料を消費して料理を作ることができます」

「なるほど。

 えっと、今できるのは塩むすびだけか」


 メニューには、白いシンプルなおにぎりのイラストに塩むすびと書いてあって、必要材料なのだろう、小さく稲のイラストと× 1と書かれている。


「じゃあ、塩むすびを作ってみるか」


 メニューから塩むすびを選んで作る、と想像すると、農作業の時と同じように、自動的に体が動いた。

 棚からボウルを取って、流しに持っていくと、その中にどこからともなく精米済みの白米が現れたので、水を出して米を研ぐ。

 お釜の中に洗った米と水を入れて木の蓋をすると、かまどに勝手に火がついた。

 手の中に現れた火吹き竹でかまどの火をフーフーと吹いていると、あっという間にお釜がグツグツふいてきて、蓋の隙間から白いお湯が漏れてくる。


「えっ、炊けるの早っ」


 思わずつぶやいているうちにも体は勝手に動き、お釜の蓋を開け、しゃもじで十字に切ってかき混ぜたつやつやご飯を木のおひつに移す。

 それを机に持って行って、塩水で手を濡らすと、おにぎりを握りはじめた。


 おにぎりなんて、昔家庭科の授業で握ったきりだけど、ゲームシステムのおかげで勝手に体が動いて、肉球のついた手でも綺麗な三角形のおにぎりが作れる。

 炊き立てあつあつのご飯なんて、手をやけどしてもおかしくないのに、実際には「熱い」と感じはするけれど手が赤くもならないのも、ゲームシステムのおかげだろう。


 竹の皮の上に小さめに握った塩むすびを2つ載せるとそれで出来上がりだったらしく、畑で米を作った時のように空中に「4EXP」の文字と塩むすびのイラストが浮かんで消えた。

 たぶん出来上がった塩むすびは、倉庫に収納されたんだろう。


「うわー、めっちゃ早く塩むすびできちゃったよ……」


 おにぎりなんて、ご飯を炊くだけでも30分以上はかかるはずなのに、体感で5分くらいしかかかっていない。


「早いですか?

 塩むすびは施設での最初の生産物で簡単なので、これくらいで普通だと思うんですが……」

「あー、まあそうだよな。現実とは違うよな。

 っていうか、それを言い出したら、そもそも米もあんなに早くできないか」


 ゲームシステム上、最初の農産物の米と最初の料理である塩むすびが同じくらいの時間(たぶん5分)で作れるようになっているのだろう。

 農作業は実際にはやったことがないがゲームでは馴染みがあるので5分で米ができることに違和感を覚えなかったが、実際によく体験していた炊飯(かまどと電気炊飯器の違いはあるが)という行為では違和感を覚えたというだけのことだ。

 このゲームの世界の中ではどちらも5分でできても、何もおかしくはない。


「では、チュートリアルはここまでとなります。

 僕は仲間のわんこ兼サポートキャラという扱いになるので、今後も新機能が出た時は僕がポチさんに説明しますし、他にも何かわからないことがあったら僕に聞いてくださいね」


 チビの説明に俺はうなずく。


「わかった。これからもよろしくな」

「はい! こちらこそ!」

「よし、じゃあまたレベル上がるまで作業するか。

 チビにも作業頼めるんだよな?」

「はい。

 スマホで仲間の作業内容を指定することもできるんですけど、こちらは作業一回分の指定しかできません。

 仲間のわんこにじかに言ってもらえば、『同じ作業を何回繰り返す』とか『生産物が何個になるまで作業する』というように、簡単な条件指定にも対応できるので、直に言ってもらった方がいいと思います」

「なるほど、わかったよ。

 じゃあ、とりあえず俺のレベルが上がるまで、畑で米を作ってもらおうかな。

 あ、そういえば経験値って俺が作業するのとチビにやってもらうのでは変わってくる?」

「いえ、同じです。

 経験値の他、生産量や作業時間も変わりません。

 ポチさんもわんこの一員ということで、どのわんこがやっても同じになっています」


 そう言われてみれば、俺もチビと同じ犬だった。

 農園ゲームのシステムに置き換えてみると、俺は画面内でちょこまか動いて作業するキャラクター兼ゲームを操作するプレイヤーだと考えればよさそうだ。

 実際に作業するのは俺やチビといったわんこキャラクターだけど、経験値は個々のキャラクターじゃなくてプレイヤーとしての立場の俺に入るということだろう。


「わかった。

 じゃあ、俺はおにぎりを作るから、畑を頼むよ。

 あ、疲れたら適当に休憩してくれよ」

「はい、ではまたレベルが上がったら来ますね」


 そう言ってチビが畑の方に歩いて行ったので、俺もおにぎり屋で再び塩むすびを作り始めた。





2/8、短かった「おにぎり屋」と「おにぎり屋2」を統合しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ