掲示板システム
ゲーム系小説で掲示板と言えば某ちゃんねる風のことかと思いますが、農園ゲームなので依頼を受ける掲示板です。
ゲームバランスの悪さは置いておくとして、何はともあれ掲示板だ。
チビに教えてもらってショップ画面を開くと、新しく掲示板が0コインで出ていたので、さっそく倉庫の近くに設置する。
木でできた大きな掲示板に、3×3で9枚の紙がピンで止めてある。
そして紙の左側には猫や熊や羊といった動物の顔のイラストが描かれているので、この動物が依頼者という設定だろう。
動物のイラストの右側に、米のイラスト×3とか卵のイラスト×2とか書いてあり、その下におそらく依頼を達成すると得られるのであろうコインと経験値が書いてある。
「動物たちが欲しがっているものを送ると、コインと経験値がもらえますよ。
これで仲間のわんこの引っ越し費用を稼ぎましょう!」
「うん、わかった。
じゃあ手始めにこの米3つの依頼にするか」
掲示板の左上に貼ってあった、猫のイラストと米×3の依頼に応える、と意識すると、山の向こうの方から白い大きな鳥が飛んできた。
「えっと、ペリカン?」
飛んで来たペリカンは、掲示板の上にとまると、俺に向かってクワッと鳴いた。
黒い制帽をかぶり、郵便マークが付いた赤い肩掛けカバンを下げている。
「はい、ペリカンの郵便やさんです。
依頼書に書いてある生産物を渡すと、依頼した動物のところに持っていって、代わりにコインと経験値を持って帰ってきてくれます」
「なるほど。
じゃあ猫さんに米3つ、お願いします」
ペリカンに向かってそう頼むと、ペリカンのカバンに米のイラストが3つ吸い込まれるエフェクトが浮かぶ。
その後、ペリカンはまたクワッと鳴いて空へ飛んでいった。
「ペリカンさんが帰ってくるまで、少し時間がかかります」
「じゃあ、その間に次にできる依頼を確認しておくか。
えーっと、このタイプのゲームだと卵が足りなくなりがちなんだよな……」
畑の米は一回の作業で何個も収穫できるが、卵は一回につき一個だけだ。
レベルが上がればニワトリを増やせるかもしれないが、何匹が上限かわからないから卵は温存しておきたい。
「応えたくない依頼って断れるの?」
「はい。依頼書をはがせば断ったことになりますよ。
その代わり、掲示板のはがしたところに新しく依頼が貼られるのは30分後になります」
「あー、なるほど。
さっき応えた米3つの場所にはもう新しい依頼が貼ってあるけど、はがして断ると復活に時間がかかるってことだな。
まあ、それでも断りたい依頼もあるから、うまく見極めていかないとな。
とりあえず、今のところは卵が入ってるのは全部断る方向で……」
掲示板から卵のイラストと、それからおむすびと卵焼きらしきものが入った小さなお弁当のイラスト(まだ作ったことはないが多分おむすび屋の新しいレシピ)が描かれた依頼を全部はがす。
そうこうしているうちに、ペリカンが戻ってきた。
掲示板の上に止まると同時に空白にコインと経験値が表示されたので、無事依頼は達成できたようだ。
「よし、じゃあ次はこの塩むすびの依頼で頼むよ」
次の依頼を指定すると、またペリカンのカバンに塩むすびが吸収されるエフェクトが出て、ペリカンは飛び立っていった。
「うわー、これ結構慌ただしいなあ。これやってると、他の作業をやる暇がないかも」
貼られている依頼を全部断って30分待ちをしている間は余裕ができるが、依頼を受けたり断ったりする間は手が離せない。
「えーっと、依頼の作業をチビに任せたりは……」
「それは、ちょっとできません。
僕ではどの依頼を受けてどの依頼を断るかの判断ができないので……ごめんなさい」
しょんぼりしてペコンと頭を下げたチビを見て俺は慌ててしまう。
「あ、いや、チビは悪くないから!
俺こそ無理を言ってごめんな」
「あ、でも僕はできませんけど、仲間のわんこの中にはすごく賢いわんこもいるので、そういうわんこだったら依頼もやってくれるかもしれません」
ということは、どうやらゲームシステム的には後から作業が楽になるシステムが解放される予定があるということだろう。
それまでは、俺がコツコツ依頼をこなす作業をやるしかないようだ。
「なるほど。じゃあ、依頼作業を頼めそうな仲間のわんこが来たら教えてくれるか?」
「はい! わかりました」
「よし、じゃあチビにはニワトリの世話をお願いしようかな。
卵はできるだけ多く欲しいから、1人に作業を任せて切れ目なく続けた方がいいから」
「わかりました。じゃあ行ってきます」
「頼むよ。あ、休憩は適度に取ってな」
「はーい」
チビを見送った俺は、依頼をこなすのと畑とおにぎり屋の3つを担当することにする。
在庫のバランスを見ながら畑とおにぎり屋のどちらかをやって、作業の切れ目に掲示板の依頼をこなすことになるだろう。
「あー、これはさすがにスマホ使った方が効率いいか。
もう実際に作業した方が楽しいとか言ってられないわ」
仕方がないので、俺は家で充電しているスマホを取りに行くことにした。




