――「朝顔」~蔓――
「アレ、お前に似てるな」
彼が指差す先には、碧い朝顔。
支柱にくるくる巻き付いて、空いっぱいに花開く。
「…どこが?」
聞くと、いたずらっぽく笑ってみせた。
わかんないの?って顔して。
何よ、ソレ。
「見た目かな」
まんまるく開いた花。
どこが似てるんだか、わかんない。
「どこでも見れるトコとか」
ちょっと、馬鹿にしてるでしょ。
どうせ地味で普通な感じですよ。
「太陽だって、月だって、どこででも見れるでしょ。傍にあるって尊いことなのよ」
自分で言ってて、なんか恥ずかしい。
あなたが柔らかく笑うから、余計に。
「そうだね」
小さい私の頭に、頬を寄せる。
あったかくて、柔らかい。
小さな小さな、尊い幸せ。
人通りのない、朝の街。
冷たい玻璃のショーウインドに映る、小さな私と大きなあなた。
絡めた腕は、蔓のようで。
「いつもベタベタして悪かったわね」
スルリと解く手を、静かに引き止める。
「俺、朝顔好きだよ」
…だから何なのよ。
暑さのせいじゃなく、熱い頬。
「夏が終っても、ずっと絡まっててやるから。覚悟しとけ」
ああもう。
そんな嬉しそうに笑うなよ、馬鹿。
宣言通り、明るめのモノに仕上げました♪
今までとはガラッと雰囲気を変えてみましたが、いかがでしたか?
何か、今回のは書いてて恥ずかしくなってきました……(笑)
柄にもないことをするとダメですね(^_^;)