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――「寒椿」~餞――
冬を告げし 寒椿
控え目に咲く 白い花
譲る心の 紅い花
どちらからともなく 散る様は
“潔い”とは誰が云う
さながらその姿に見るものは
散り逝く様は潔し
日本の武士の志似て
泣くも落つるも人知れず
音も立てずに逝くのでせう
言葉なくした体躯上
細雪と紅い花
聞けぬ最期の言の葉は
白い椿とかき消えて
夢の逢瀬にのせましょう
行き交う人の温もりを
知らずは冬の宵の口
涙隠した 幼な子の
去る道の上 寒椿
椿の綺麗な時期ですね。
私は椿の潔さに惹かれます。
武士にとっては縁起の良くない花だった…とかいう説も聞きますが、その散り様はやはり見事と云わざるを得ません。
潔しをよしとする…そんな思いで書きました。