嵐の前の憩い
「さ、早速行こかぁ」
「はい!!」
ステラさんに連れられて、進んだ先にあったのはお好み焼き屋さんだった。
「デザイン作る前に、まずは腹ごしらえからやろ?レイくんはお腹空いてる?」
「空いてます!!」
「あ、あとそんなかしこまらなくてええからなぁ?ウチとレイくんはそんなに年齢差ないと思うし?」
「じゃ、じゃあ……ステラ」
「おぅ!レイ!!って思ったけどお互い特に今後活動名で話すと身バレしそうやしリアルの方の名前教えてもらえたりするぅ?嫌やったら無理にとは言わんのやけど」
「確かにそれもそうか……僕は東城遥輝って言います」
「遥輝くんかぁ、良い名前やなぁ。あ、ウチは山城 瑠璃って言うから、瑠璃さんか瑠璃って呼んでなぁ」
「瑠璃さん……綺麗な名前ですね、すごく」
「そやろ?でも、遥輝くんの声で言われるとなんか照れるわぁ」
「えぇ?」
そんなことを恥ずかしげもなく言う瑠璃さんに対しての方が照れてしまう自分。
やっぱりDMの時からずっと瑠璃さんのペースに乗せられてしまう。
「輝くん……遥輝くん?」
「はっ!」
「もうお好み焼きつくってるよぉ?何ぼーっとしとん?」
「いや、瑠璃さんが、ステラさんがどうして僕なんかのデザインを担当しようと思ったのかなって考えたらぼーっとしちゃいました」
「んー?そんなの簡単やん?」
「え?」
「キミの声にビビッときたからよ。ボイスサンプルなんて送ってくる人おらんから、珍しいし聴いてみよ思て、聴いたらあらびっくり。これは、ウチがやらんといかんと思ってなぁ?」
「そうなんですね」
「とはいえ、ウチもVtuberさんのデザインするの初めてやから、2人で頑張っていこなぁ」
「は、はい!!」
うーん、瑠璃さんのペースに乗せられっぱなしだけど、それがなんだか心地いいからこのままでもいいかな、なんて僕は無意識に考えていた。
そのままお好み焼きを2人で食べた後は、そのまま瑠璃さんのアトリエ兼自宅へと移動したんだけど……
「で、でか!?」
「そうやろぉ?自分で言うのもあんまり良くないけどお陰様で、イラストで稼がせてもろてるから家として、よりはアトリエとして大きめに作ったんよ」
そう話す瑠璃さんの顔は、とても美しかった。
何かに真剣に打ち込む人の顔だ。僕もこんな風になれるだろうか。
「んー?ウチの顔になにか付いとる?」
「い、いえ!!そういうわけじゃないです!」
「なにー?面白い子やねぇ、遥輝くん」
「そ、そんなこと……」
楽しく話す瑠璃さんと、僕。だけど、アトリエに1歩入った瞬間、空気が変わった。
そこは、様々なイラストが無造作に並べられる圧巻の空間だった。
そして、瑠璃さんの顔はより真剣なものになる。
「それじゃあ、遥輝くん……いや、天導レイくん。仕事を、始めよか」
その空気に圧されることなく、僕も気合を入れる。
「よろしくお願いします!!!」
ここから、打ち合わせという名の戦いが始まる。
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