WANTED
翌朝、なんだか鬼のようにかかってくる着信音にさすがに目が覚めた僕は、電話を取ると、
『遥輝、何やらかしたの!?』
という、流唯の叫びのような声に飛び起きた。
『ちょっ、何?急にそんな叫んでさ』
『そりゃ叫ぶでしょうよ!?っていうかまだ見てないの?』
『見てないって何を?』
『Switter!!』
流唯の圧力に流されるまま、スマホでSwitterを開くと、流れるタイムラインは天導レイに関するものばかりだった。
『なにこれ!?』
そして、流れてくるスイートをよく見ると、僕の名前と共に出てくるのはイラストレーターのステラさんの名前だった。
この時点で、まだ少し眠い僕の頭でも思い当たることは一つしかなかった。
『で、遥輝。何やらかしたの?』
『僕はただ、昨日流唯に言われた通りボイスサンプルを録音してお願いしたいイラストレーターさんに送っただけなんだけど……』
『はぁぁぁぁあ!?よりにもよってGSに送るのはヤバいよ!!あの人は、超感覚派のイラストレーターで、仕事を選ぶ基準は前提として個人NG、企業とかの依頼でも自分の感性に従って受けるから依頼料ではなく依頼内容で決まるっていう業界でもトップレベルに気難しい人だよ!?』
『でも、送るだけなら無料だから興味がなければ無視してくれればいいかなって思って』
『遥輝ってたまに突拍子もないことするよね』
『……そう?』
『うん、遥華さんみたい』
『うぅん、あんまり嬉しくないなぁ』
『あれ、というかこうなったきっかけのステラさんのスイートは見た?』
『え?』
そういえばまだ見ていなかったことに気付いた。
ステラさんのアカウントはフォロー済みなのでそっちからツイートを辿ると、
『WANTED 天導レイ 見つけたらウチに連絡すること』
見つけた。え、えぇ?明らかに怒らせていそうなスイートに、僕は怖くなってきてしまう。
『流唯、どうしよ!?これまずいよね?』
『うーん、どうなんだろ?でも、直接話すチャンスではあるんじゃない?』
『……確かに?』
『一回連絡してみたらいいと思う!!それが、いいことでも悪いことでも、きっかけを作ったのは遥輝自身だし』
『それもそうだね。DMを送ってみるよ』
『うん!結果楽しみにしてる!』
流唯との電話が切れると、僕は緊張感に包まれる。
やっぱり個人NGのステラさんにダメ元で送りつけてしまったことで怒らせているんだろうか。
少し怖いけれど、確認してみないことには何も始まらない。
意を決して僕はDMをステラさんに送る。
「んぁー、なんかDM届いてるやん?……おぉぉお!天導レイの中の人からやん!昨日の今日で連絡くれるなんてマメな子やなぁ。で、なになに?『〜〜なにか怒らせてしまったでしょうか』?んんん?なんでそんなことになるん?……あっ、スイートバズり散らかしてるやん!?あちゃぁ、ウチが勢いでやってしもたから悪者探しみたいなことになっとるんか。そういうつもりじゃないんやけどなぁ……そや、呼ぶか!この子!直接会ってみんとイメージも湧ききらんし」
僕が、ステラさんにDMを送った3日後……僕は今、大阪駅に来ています。どうしてこうなった?
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