きっかけと決断 3
「やっほー!」
「わざわざありがとう、流唯」
「ん?いやぁ、近いし?他でもない遥輝のことだし?そりゃ来るよねぇ」
ニコニコとした表情の流唯が家にやってきた。
自分の家族、友人の中では母さんを除いて唯一のVtuberであり、もっと言えば僕がやろうとしてることと同じく個人勢。
当たり前だけど僕は流唯の配信も見ているけど、流唯は配信でもリアルでも、変わらず明るく元気な女の子だ。
そんなことはさておき、僕は流唯を連れて自室に移動する。
「あーいかわらずすごいグッズの量だね、遥輝の部屋」
「そう?最近はグッズ買うの控え気味だからなぁ……」
「まぁ、グッズの量もすごいけど、この量のグッズがあっても全然広く感じるこの部屋含めたこの家がすごいよね」
「それは僕も同感だよ」
「しかも、防音機能付きでしょ?これ絶対遥華さん、遥輝にも配信やらせようと思ってたって」
「そうなのかなぁ」
「だって、配信機材まで用意してもらったんでしょ?」
「う、うん」
「どんなやつ?」
「え、えーっと……」
実を言うと僕も遥華さんが買ってきた機材をしっかりとは確認していなかったので、また流唯を連れてリビングに来た。
そこに積まれている機材を見た僕達の反応は二者一様だった。
「「いかつすぎでしょ!?」」
明らかに、それはもう明らかにオーバースペックな機材の数々がそこにあった。
正直に言おう。これは企業勢でも所属個人に与えられるには過ぎる代物ばかりだ。
母さんは僕をどうしたいんだろうか?目の前に積まれた機材を見て頭を抱える僕の横で、羨ましそうに見つめている流唯の視線が痛かったので、半ば強引に自室へと戻った。
「羨ましいなぁ?遥輝くーん?ここまでお膳立てされてるなら、しっかりデビューしないとねぇ?んー?」
流唯からの圧が痛い痛い。
「だから、流唯を呼んだんだよ?僕だってやるからにはてっぺん目指してるから、ね。まぁ、あの機材には流石の僕もドン引きではあるけど」
「そんなに言うなら譲ってよー!」
「だめ」
「えー?」
「さっき流唯が言った通り、母さんにここまでしてもらったんだから、全部使ってやれることは全部やって上を目指さないと。ただでさえ、スタートが遅れているんだからさ?」
「……そっか!遥輝がそう言うなら私は手伝える限り手伝うよ!!」
「ありがと、流唯」
「じゃぁ、まずは何から決める?活動名からかな?」
「そうだね。でも実はさ、名前は決めてあるんだ」
「そーなの?」
「うん、ずっと活動はしたいって心のどこかで思ってたから」
「聞かせて聞かせて?」
「えっと……天導 レイ」
「天導レイ……」
「なんかこうやって教えるとめっちゃ恥ずいな」
「すごくいい名前じゃん!!」
「流唯にそう言ってもらえると嬉しいな」
「いやぁ、いいなぁ……レイ君かぁ」
名前が決まっていれば、設定を作り上げるのは難しいことじゃなかった。こうして、母さんがいない間に、僕と流唯はVtuberとしての、天導レイとしての設定を作り上げていった。
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