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個人勢Vtuber始めたので、天下取りたいと思います  作者: 神崎あやめ


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12/12

決意を胸に

 さっきまでとは一変して目を輝かせる流唯の姿に、少しだけ苦笑いしてから僕は瑠璃さん……ステラさんに作り上げてもらった天導レイのデザインをパソコンのモニターに表示させた。


 「これが、僕の姿だよ。どうかな?」


 「……」


 デザイン画を見る流唯の目は真剣そのもの。同じイラストを描く人間として思うところがあるのかな?

 そんな真剣な流唯を邪魔しないように僕は静かに見守る。

 そして、何分経っただろう。ずっと静かに見ていた流唯がついに口を開いた。


 「……すごい完成度。描き込みもそうだし、デザインの個性も含めて言葉が出てこないのがもどかしいけど」


 「やっぱりすごいよね、このデザイン」


 その後も流唯はずっとデザインに目を奪われていた。


 気がつくと、外は暗くなっていた。


 「流唯、もう外暗いし送ってこうか?」


 「ん?えっ、もうこんな時間??……そうだね、お願いしようかなっ!」


 夏真っ盛りの東京の夜は、まだまだ暑い。そんな流唯の家までの道のりを、僕たちは隣りあって歩いていく。

 最初は他愛ない話で笑い合ってたけど、いつしか僕たちの話題はVtuberとしてのこれからの話になり、お互い真剣に話し込む。


 「遥輝」


 「ん?」


 「私たちはさ、昔からの幼馴染で、親友」


 「そうだね」


 「だけど、これからはライバルでもある」


 「そう、なのかな」


 「そうだよ。だって……」


 流唯はさっきまでとは完全に違う、強い威圧感を持って僕に向き合う。

 

 「少なくとも、遥輝が個人勢で上を目指すなら私は越えなければならない壁だからね」

 「そういえば、私の活動名伝えてないよね」


 そういえばそうだ。僕は、流唯がVtuberとして活動していることしか把握していないんだ。

 

 「私の活動名は、『クロノ・ヨル』」


 「よ、ヨルだって!?そんな、ヨルは今個人勢では異例の250万人の登録者がいるんだぞ?それが、流唯……なのか?」


 「そうだよ。理解した?遥輝の前にいるのは、今の個人勢トップってこと」


 そんな多すぎる情報量を受け止めた僕。ここ数日が目まぐるしすぎて、ついていけなくなりそうなんて言いたいけど、なんでだろう、そんな不安感とかは全くなくて。

 今の気持ちを一言に込めるなら……


 「それってめっちゃ面白いじゃん!!!!!!!!」


 「……っ!?」


 「高みが近くにいるなんて、それも流唯だなんてさ?ワクワクしかしないよ!!僕、絶対追い越すから!」


 「……私は遥輝のその底抜けにポジティブで明るいところに惹かれたんだよなぁ」


 「ん?流唯?」


 「なんでもないよ!!じゃあ、この辺で大丈夫だから!」


 「そう?わかった!!近いからって油断しちゃだめだからね?気をつけて帰ること!」


 「わかってるよ!」


 「それじゃ!!」


 僕は、笑顔で流唯と別れる。

 実はもう、デビュー日は決めてあるので、それに向けての準備のために、気持ちを新たに僕は家に帰る。



 「さっきの遥輝の笑顔、すごかったな。私の心が持っていかれるなんて、やっぱり遥輝にはとんでもない才能が秘められてるよ」


 遥輝と別れた流唯は、1人そう呟く。


 天導レイの初配信まで、刻一刻とその時は近づいている。

読んでいただきありがとうございます!


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