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【祝1万PV突破ッ!】勇者は感染してました、魔法使えないけど無限の魔力で抗います ーThe Beasted eMpireー  作者: 鶴見ヶ原 御禿丸
2-3章 龍界地底砲塔マナタン:獣冠祭編

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77話 螺旋起動(スパイラルギア)



 

 向き合うアイザックとエウロペ11体、12体いたが最後の1体は殴り飛ばされ瓦礫の下。


 アイザックの心の内から湧き上がる感情、

 ーーーそれは怒り。


()()()()()()()()ッッ!!!」


 友達を傷つけられた怒り、胸の奥で煮え滾っていた感情が堰を切ったように溢れ出す。


 魔力が激流のように噴き上がり、床石が軋み瓦礫が浮き上がる。


「あらーーー」


 ーーーバギッ!!


 言葉の途中で、エウロペの身体が横薙ぎに吹き飛んだ。

 誰も反応できない、拳が振るわれた瞬間すら見えなかった。


 エウロペは岩壁に叩きつけられ、さらに瓦礫が崩落、その下敷きになった。


「なんてすごい魔力!!」

「すごいわすごいわ!!」


 間髪入れずにアイザックはさらに数体のエウロペの懐に潜り込む。


「あら!!」


 エウロペ達は腕を振りかぶるが、それでもアイザックの方が早かった。


「『魔轟衝』ッッ!!」


 ーーードンッ!!


 両手から離れた衝撃波は2体のエウロペの腹部に直撃、両者激しく後方、さらに遥か彼方まで吹き飛ばされた。


「次ッ!!」


 残り8体、アイザックは1人で4体のエウロペを鎮圧した、さらに両断したりバラバラにもしていないためシュガーの時のような分裂も起こらない。


「とても大ぶりね!」

「でも次は当たらないわーーー」


「『魔轟衝』!!!」


 ーーーガオッ!!


 次の瞬間、『魔轟衝』はアイザックの()から放たれた、対応できずその衝撃は一体の鳩尾を抉る。


「がふっうーーーッ!?」


「『魔塊弾』!!」


 ーーーボッ!


 呆気に取られた一体を光弾で弾き飛ばす、その瞬間エウロペが死角から現れ、抜き手を撃つ。


「えいー!!」

「ふぉっ!!」


 しかし、アイザックは意識外からの抜き手をも紙一重で躱してみせた。

 そして放たれたカウンターの蹴りはエウロペの腹部に深々と突き刺さった。


「ん...ぐぅッ!!」

「すごい!!」

「とても気になるわね!」

「魔力もそこまで使ってまだ尽きないなんて!」

「なにか秘密があるのかしら!」

 

 しかし、まるで効果がないように次々と現れるエウロペの群れ。


「じゃあーーー」

「これはどうかしらーーッ!!!」


 天井、床、壁面、死角、影、あらゆる角度から関節を狙う軌道。


 “関節外し”


 次々と掴み掛かるエウロペの集団はそれを完璧に模倣して見せた。


 しかし、相手が悪かった。


 ーーーガッ!

「ふん!」

 ーーードッ!

「はっ!」

 ーーーバギッ!!


 嵐のように舞う『死の風』をアイザックは一つ一つ正確に読み取る。

 繋がるように襲いかかるエウロペの攻撃をアイザックは全て外し、軌道を外し、手を弾き、腕は空を切る。

 しかし呼吸するかのように繋がるエウロペの連撃、1つ外せば2つ、2つ外せば3つと次々と攻撃が激しくなる。


 ーーーガガガガガガッッ!!

 

「あらあらあら!」

「すごいわすごいわ!!」

「なんでもできるのね!」


 だがしかし


 11人同時の連撃ですらアイザックは叩き落とした。

それでも止まない攻撃の嵐、アイザックを11体のエウロペが埋め尽くす、その時。


 ―――ドォンッッッ!!!


 足元が爆ぜ11体が一斉に吹き飛んだ。


「あら!?」

「あら?」

「嘘――」


 次の瞬間、アイザックかいたのは空中。


 11体の真上。


 アイザックの背中が光る、嵐を模した紋章、『魔王刻印』が回転を始める。

 身体は魔力の流れによって輝き、そして微かな電流が流れる。


「わぁ、なにかしらそれ!」

「紋章?見たことないわ!」


 そして間髪入れずにアイザックは拳を振りあげーーー


「落ちろぉぉおおおおおッッ!!!」


挿絵(By みてみん)


 掛け声と共にそれを勢いよく振り下ろした。


 ―――ゴァァァァァンッ!!!


 衝撃が縦に走り、11体を纏めて吹き飛ばした、空間が歪み11体は地面へ叩き落とされる。


 巨大なクレーター、粉塵が天井まで巻き上がる。


「うそーーー!?」


 シオンはそれを知っている、見たことがある。

 思い起こされるある夜の戦い、一種のトラウマ。


挿絵(By みてみん)


「アイザックそれって!!」


「ドリンク=バァが使ってたやつだ、模倣するのは何もお前だけじゃねぇぞばーか!!」


 しかし規模は小さい、無数の雨として降らせるドリンク=バァと違いせいぜい1発がやっとの技。

 しかしその1発でも十分な効果があったようだ。


「うぎゃぁあああああッッいででででで!!??」


 地面に降り立ったアイザック、しかし身体中に針を通したような痛みが駆け巡る。


「だ、大丈夫!?」


「大丈夫じゃないでででで!!!」


 数分のたうち回った後、痛みを押し殺して立ち上がる。


()()使うと反動がすごいんだよ!!」


「反動...あっづ!?」


 湯気が出るアイザックに触れたシオンは軽く火傷をした。


「それってレーチェ様が言ってた...?」



「これが奥の手...『螺旋起動(スパイラルギア)』だ!!」


 『螺旋起動(スパイラルギア)


 レーチェ考案のアイザックのみが使える奥の手、無限の魔力を供給できる『魔王刻印』からありったけの魔力を引き出して、さらに自身の体内...具体的には血流にのせて高速で循環、回転をかける。


 これによって筋力、俊敏性の増加、さらに体内時間を早める事で精密動作性、動体視力を格段に上昇させる。


「でもこれやりすぎると血液沸騰するって言ってた!」


「え、怖...どうりで熱いのね」


「冷やしましょうか〜?」


 シュガーを治療しながらアイザックに向けて手を掲げるミーク。


「やめやめろ!!熱ショックで死ぬから!!」


「そ、そうなんですか〜?」


「と、とりあえず俺に構うな、まだ終わってない!!」


 その声に合わせて全員が身構える。


 ーーードンッ!


 瓦礫が吹き飛び一体のエウロペが現れる、どこからか拾ったのかボロボロの布を纏っている。


「驚いたわ!驚いた!アイザック君はとっても強いのね!」


「...」


「ではこれならどうかしら!!」


 ーーーコツン


「ッ!!」


 その時、肌を撫でる『死の風』。


 ーーードンッッ!


 反射的にアイザックはミークとシオンを突き飛ばした、方向は下から、ふと地面を見る。


「ーーー!」


 血溜まりの下から何かが出てくる気配は無い、そう思ったその時。


 ーーーザザザザッッッ!!!


「なっ!?」

「ふぇ!?」


 ーーー襲いかかった。


 血溜まりが、槍となってアイザックに向かって伸びた。


「どうやって避けるのかしら!」


 血が再生し、骨を作り、それが一直線にアイザックの身体を目指す。

 

「だぁぁあああああああッッッ!!」


 ーーードンッ!!


「あら!?」


 『魔轟衝』


 放たれた衝撃波では槍の勢いを殺すことはできない、しかし...


「!!」


 地面に打ちつけた反動でアイザックは高く飛んだ。


「あらあらあら!!」


「ぐぉぉおおお!!」


 しかし、体勢が悪かった。世界が、上下が回転する、もはやどこが地面かもわからない。


「どうするのかしら、どうするのかしら、このままだと私の血が刺さっちゃうわ!!」


 ーーー対応が遅れた。


 シオンは歯を食いしばる、アイザックは一手遅れを取った。

 血の再生が武器になることまでは予測できなかった。


「ぐお、ぐぉ!?」


 カルヴァトスとの戦闘時、アイザックは建物や遮蔽物に『魔轟衝』を当てることでその反動で飛びまわる事ができた。

 しかし平衡感覚を失っている現在狙って同じことはできない。


 ーーーしかし。


「ミーク!!シオン!!」


「「!」」


()()()!!」


「「は!?」」


 その時、アイザックの両腕が光り輝いた。


「あ、やばいッ!!」


 ーーードドドドドッッッ!!!


 回転するアイザックから放たれた不規則の弾幕、『魔塊弾』は激しく、そして勢いよくばら撒かれまるで隕石のように周囲に降り注ぐ。


 ーーードドドドドッッッ!!!


「あらあらあらあらあらあら!?」


 無茶苦茶すぎる。

 そう考えたエウロペも仕方なく回避行動に移った、それに集中するせいで。


 ーーーバシャッ!


 維持していた血の槍が融解し、それによりアイザックの着地が成功する。


 ーーードンッ!!


 そして着地と同時、アイザックは地面を蹴りエウロペに急接近。


「わぁ!?」


「取ったーーッ!!」


 アイザックはエウロペの腹部を捉える、シオンもミーク同じ事を思った。


 ーーーその時だった。






「あら?」

「ッッッ!!?」


 




 殺気。


 ーーードンッ!!


 アイザックは攻撃を中止し、すぐさま距離を取る。


「な...な...!?」


「ミーク!!」


「な、なんですか今のッ!?」


 ミークも驚愕の声を上げた。


「殺気だけじゃない...魔力を感じた!!」


 魔石の影響で魔力の探知がしにくいにも関わらず、それだけははっきりと捉えた。

 否、捉えられる程に異質なドス黒い魔力。






「ーーー手間取っているな、エウロペ」





「あらあらあら、随分早かったわね、()()()君!」


 オルゼ、そう呼ばれた男は瓦礫と化した廃棄の上に立っていた。


 その姿はまさしくーーー。


「シオンの言ってた通りだ...()()()()()()じゃねぇか!!!」


 アイザックと瓜二つだったのだ。



次回投稿日は3/18 7:10!!


皆様たくさん読んでいただいてありがとうございます〜!!

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よろしくお願いします!!


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