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【祝1万PV突破ッ!】勇者は感染してました、魔法使えないけど無限の魔力で抗います ーThe Beasted eMpireー  作者: 鶴見ヶ原 御禿丸
2-3章 龍界地底砲塔マナタン:獣冠祭編

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68話 超激闘!もんげー神話大戦


 かつて街だったものは、今や瓦礫の山に成り果てていた。


 倒壊した建物の間を、黒く濁った影が徘徊している。

 裂けた衣服、腐った肉、歪んだ骨格――

 人の形を保ちながらも、人であることを捨てた『獣』。


「いいか、無駄に突っ込むなよ」


 五人ほどのパーティ...と言えるかも微妙な即席の集団、重装の戦士、弓兵、武闘家が2人と魔法使いが1人。

 『獣』たちを慎重に間引いている。


「わかってる、でもこいつらの中に魔石を持つやつがいるの...?」


「倒したら、胴体を割って確認、光ってたら当たりだ」


「本当に?」


「いや知らんけど」


「ちょっと」


 獣を倒し、魔石を回収し、生きて帰る。

 それが、この地下競技場の本来のルールのはずだ


「...」


 シオンは物陰からその様子を見ていた、魔力と気配を完全に遮断し背景と一体化して。


「...」


 ーーー確かに変だ。


 そう、魔石を『獣』から回収して始めに持って帰った者が優勝。

 簡単だ...()()()()()()()


 だからこそ様子を見る、アイザックとミークと合流できない現状無理に動かず情報収集に徹する、それだけだ。


 ――ズゥン……。


 遠くから、低く、重い振動が伝わってきた。


「……なんだ?」


「魔獣の咆哮か?」


「いや……違う、あれは……」


 もう一度。


 ――ドォォォンッ!!


 今度ははっきりと、地下全体が揺れた。


「なんだァ!?」

「どぅお!!?」


 瓦礫が崩れ、獣たちが一斉に咆哮を上げ、参加者たちがざわめく。


「どこかで誰かが戦ってるみたいだな」


「じゃあ既に魔石を?どうする?」


「待って...いやだめよ、この魔力はダイコーだわ...私たちじゃ勝てない、幸い石は複数隠されてるって言われてたし、今のうちに早く見つけましょ」


「お、おう」


 そうして集団は1人ずつ『獣』を狩っていった、その間シオンは、振動の伝わってきた方向を見つめる。


「何今の...アイザック……?」


 その先で、


 帝国最強と、世界最鋭と、世界最高が、


 文字通り“戦争”を始めていることを――


 この時の彼女は、まだ知らなかった。


 ...


 ..


 .


 ーーードンッ!!ドドドドドォォォッッ!!


 地下に降り注ぐ紅き流星群、それは焔となって渓谷を焼き払う。

 ダイコーは一直線に走りそれを回避、そして後を追うようにガレットが疾走。


 ーーーガンッッ!!


 しかし2人を遮るように炎弾が着弾、破片と岩が飛び散り足場を奪う。


「『厄渦雷(ブラック・アダム)』」


 畳み掛けるように襲う雷撃。


 踊り狂うように周囲に放った稲妻が無数に枝分かれし一つ一つが光の速度で岩山を軽く吹き飛ばし、瓦礫の嵐が舞う。


「とぅっ!!」


 ーーードンッ!!


 しかし、それをものともせずダイコーは全て回避、眼前の岩山を全て粉砕しながら射線から外れた。


 その岩山が崩れ、ガレットを襲う。


「カヌレーーーッ!!」


 ガレットが名前を呼ぶと現れたのは3メートル程の体長を持つ巨大な狼。


 赤く燃える瞳と鋭い牙から瘴気が漏れ、筋肉質の体躯を覆う紫紺の毛皮は闇のように深い。


「フェンリルですか」


 疾走しやがら背に跨がり、狼は低く唸る。


 ガレットは騎乗し、正確に脅威となる岩を狙撃、粉砕してみせた。


「...」


 ーーードンッッ!ドンッ!!ドドドドドッッ!!


 ミークの無言の弾幕が光の嵐となって降り注ぐ中、フェンリルは爆発的な跳躍で宙を舞い、飛び交う岩塊を飛び越して突き進む。

 巨体が信じられない速さで弾の隙間を縫い、爪を地面に叩きつけて横滑り。

 次の瞬間、加速して突進し、色とりどりの光弾を背後に置き去りにする。


 ーーーガン!!バシュッ!


 その間ガレットがダイコーに向けて疾走しながら弓を放つ。


「ふっ!!とっておきだーー!」


「!」


 ーーーガチンッガチンッ


 ダイコーの背の黒羽根が金属音を立てて連結し、ながて一つの翼となった。翼の羽の先端からは魔力に満ち溢れている。


「とーーーぅ!!!」


 ーーーズッーーードォォォォオオオオッッ!!


挿絵(By みてみん)


「!」


 翼から凝縮した魔力を広げた瞬間、まるでジェット機でも使ったような爆音と共にダイコーは姿を消した。



「ーーー。」


 ダイコーは流星のように天へ飛翔、地底故に星のない夜空をまるで妖精が遊ぶように駆け回る。

 しかし...


 ーーードゴォッッッ!!!


 その星は文字通り光の速度で急接近、閃光の如く一撃は死角からミークの脇腹を深々と抉った。


「ふぁはははッ!!早いだろぅーー!!」


「ーーーで?」


「ほぉ!!?」


 ミークの全身が橙色に輝いている。


 『転送障壁(トランスパラウト)』、受けるダメージを2回まで無効化する魔法。


「その詠唱には最低5分はかかる長い詠唱を唱えないと発動できない中級魔法の中でも難易度の高い魔法、貴様いつ詠唱をやった」


「さぁ?私口達者なもので」


「ふん、まぁ良い」


 ダイコーは距離を取り矛を収めた。


「降参ですか?」


「オルゼ=スティングレイの魔力を感じなくなった、もはや私が戦闘を継続する必要はなくなった」


 オルゼ...ではなく実際はアイザックだが、彼は既にこの場から退散している。

 ダイコーは向き直り、戦闘によって瓦解した大岩の一帯に話しかける。


「ガレット、貴様もターゲットがいなくなれば戦う必要はあるまい」


「...確かに」


 ガレットは姿を現した、全身に目立ったキズは無くまだまだ本領を隠しているようだった。

 そしてダイコーは再び向き直りミークに語りかけた。


「女」


「ミークです」


「女がどれだーーー


「ミークです」


「...ミーク、貴様がどれだけあの男を庇おうが、ヤツは『獣』の可能性が高いのだ、我々とは相入れない『獣』、そしてヤツの味方をすることの愚かしさを考えろ」


「...」

「...」


「「は?」」


 ーーー沈黙。


 ミークもガレットも唖然としていた。


「...貴様、その反応はなんだ、何度もいうがオルゼに関わるのは金輪際やめとけとーーー


「アイザックだよ」

「アイザックです」


 …………。


 ダイコーの思考が、目に見えないところで一度止まった。


 瓦礫が崩れ落ちる音も、遠くで獣が咆哮する声も、ミークの背後でフェンリルが吐く熱い息さえ――まるで世界が一斉に息を止めたかのように、遠ざかる。


「…………」


 黒い翼が、わずかにぎこちなく揺れた。


 ダイコーはゆっくりと、まるで「人違い」という概念を現実に探すように、ミークとガレットの顔を震える視界で交互に見る。


「……今、なんと?」


「だから」

「アイザック」


「……」


 再び、沈黙。


 今度はさっきよりも長く、重かった。

 戦場に満ちていた殺気と魔力が、

 一瞬だけ、どこかへ退避したかのように希薄になる。


 ダイコーの額に、今まで一度も戦闘で流れたことのない種類の汗がすっと一筋、伝った。


「……オルゼではなく?」


「違う」

「最初から」


「…………」


 黒羽根が、かすかにざわめく。

 それは怒りでも闘志でもなく――

 情報修正に追いつかない生物の羽音だった。


「……貴様ら」


 低く、信じられないものを見る声。


「私が、十数分間、本気で殺そうとしていた相手は」


「アイザック」

「アイザックです」


「………………」


 ダイコーは、ゆっくりと天を仰いだ。

 地底の、星一つない空を。


 そこに答えなどあるはずもないのに。


「……」


 そして、帝国最強は、


 何も言えなくなった。


「なぁぁぁぁああああんんんということだぁぁぁぁぁぁぁあ

ああああああああーーーーーーーーーッッッ!!!!??」


 そして大気を震わす大絶叫。


「うぉ、なんだ?」


 当事者のアイザックは岩肌に尿をかけながら軽く浮き上がった。


「も、戻った方がいいかな...でもミークにこっちからいくまで戻ってくるなって言ってたし...うーん」


 思考を重ね辿り着いたのはシオンとの合流だった、アイザックはミークが魔力を辿って合流できる事を信じて歩き出した。


「アイザック!!!そうかあの少年がアイザックなのかァァァァ!!!」


「間違えないでください、私の仲間です」


「すまなかった!!ほんっっっっっっっっっっとに!!!すまなかったァァァァ!!!」


 ーーードゴッ!!


 地面に亀裂を入れる大迫力の土下座、ミークは過去のアイザックの土下座を思い出して軽く吹き込んだ。


「うぉぉおおおおおお!!!アイザックはどこだァァァァッッッ!!!」


 そして、ミークの軽い反応を確認したダイコーはアイザックにせめてもの謝罪のため、今日一番の速度で遥か彼方へ飛び去っていった。


「それで?貴方はどうしますか」


 ガレットはカヌレと呼ばれるフェンリルの姿を軽い魔法で消して、ミークに呟いた。


「俺も同様だ、ターゲットがいないのでは仕事にならない、失礼させてもらおう」


 そういうと一瞬の間でガレットは姿を消した、ミークはただ1人取り残された。


「...あ、いけない、アイザック君達と合流です〜」


 そういうとミークは1人荒野の彼方へ徒歩で立ち去った。


 ...


「なんだ...これは!?」


 彼はこの大会の参加者。

 腕に自信のあった彼は漁夫の利を狙った乱入、魔石を掻っ攫うつもりだった。

 ここに魔石はそもそもなく、魔石の奪い合いで発生した戦いでもない、男は完全に骨折り損だった。


 だが、それも霞んでしまう程に、目の前の惨状に恐怖した。


「どうやったら...なにをしたらこんなになるんだよ!?」


 しかし目の前に広がるのは既に誰もいない焦土、否、いたる所の大岩が崩れ落ち、廃墟などは全壊、露出する地盤、ここまでの被害は初めてだった。


 ーーーその場所を一言で表すなら、まさしく「壊滅」。


 巨大なクレーターが不規則に並び、焦げた跡が残り、あちこちから湯気が立ち上る。

 空気にはまだ衝撃波の残滓と火花が渦を巻く、瓦礫の隙間では、小石が震えるように飛び跳ね、踏むと地盤ごと沈む感触がある。


「これが今回の大会、無茶苦茶すぎるだろうがよぉお!!こんなにした奴らと戦えってのかーーー!?」


 男は震え上がる、こんな連中を相手に1人魔石を持って帰れるのかと。


「...」


 無理だ、そう判断したこの男は...あえなく降参を選ぶのだった。


 まぁ、この大会...降参なんてないのだが。


 ...


 ..


 .


 そしてその数分後、また別のパーティが...


「おい!!これ見ろよ!!」


「あぁ、これって...」


「ーーー()()()()()()んじゃないか!?」


 豪運に心を躍らせていた。


 ここからさらに地獄が始まるとも知らずに。


次回投稿日は2\28 7:10!!


次回、ミカード様が最高にタチ悪いことしてきます


皆様たくさん読んでいただいてありがとうございます〜!!

高評価、ブックマークを押していただければ作者のモチベーションに繋がります!!

よろしくお願いします!!


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