64話 かくして集いし五耀星
新章開幕!!
ーーーカルヴァトスの事件から数日が経過した。
カルヴァトスがアイザックに残した8億3000万BPと、アイザックとシオンの2人で稼いだBP。
「よし」
「あぁ」
「えぇ」
3人で口座の数字を見合わせる、誰もすぐには声を出さなかった。
何度もゼロの数を数えて、ようやく実感が追いつく。
「...10億達成!!!」
「シャアアアアアーーーッッ!!!」
「やっとですーーーーーッッッ!!!」
この帝国に来て一ヶ月が経とうとした頃、アイザック達はついに10億BPを稼ぐことに成功した。
アイザック達の目的は拠点の仲間達をこの帝国に避難民として受け入れさせる、そのためには40億BP必要だったが、その4分の1を達成させた。
「長かった...長かったなぁ」
「もうへとへと...一日50試合やったわね」
「1試合平均でも最大でも5000から2万BPしか稼げないって知ったときは気が遠のいたよな」
「ほんとに」
「私はただ歌ってただけですけども」
「お前、ていうかお前!なんか姿見ないなって思ったらそんなことしてたのかよ!」
どうりで身に覚えのない家具が増えていた。
「忘れてください!!」
「いや、でもミークのおかげでかなり生活は楽だったわよ?ありがとうミーク」
「えへへ〜」
ミークはシオンに撫でられ満足げに微笑む、まるで褒められた犬のようだ。
「でも、まだ目標には遠い」
「あぁ、わかっている」
そう、残り30億だ。
「私たち2人が一生懸命、死ぬほど頑張って貯めた額が7000万BP、一ヶ月でそれだとして、目標のために今までのように朝から晩まで戦い続けると流石に身体が持たない」
「だな...」
「そのために...『大会』ですね」
「えぇ」
ミカード=グランノアーリ、『界帝』が開催する数年に一度の戦士達の祭典、名前やルールはその都度変わるそうだ。
これに優勝すると30億BPと副賞として願いをなんでも一つだけ聞き入れられるという。
「これに負けると、目標達成まで何年かかるかわかったもんじゃない、いい?絶対優勝するわよ」
「もちろんだ」
「はい!」
「ところで」
「?」
シオンはマジマジとアイザックを見つめている。
「あんた新しい服とかないの?」
「え」
アイザックの装備はすでにボロボロになっている、マフラーはダマが無数にできており、薄手の鎧は様々な部位に穴が空いている、今防具として使えているのが奇跡だ。
「い、一張羅なんだよな...」
「大会に出る前に新調しないといけませんね...」
「ていうかシオンも一張羅だろ」
「いえ?」
ーーーガラッ
「うわっ」
シオンは側にあるクローゼットを開く、するとシオンが着ている防具と全く同じものが5着はあった。
「そんだけ買うなら違うデザインのやつ買えよ」
「私は機能性で選ぶから」
「うーん、それじゃあ俺も何か新しい防具でもーーーあ」
思い出した、カルヴァトスと過ごした1週間のうち1日の出来事を。
彼女に服がボロボロになっていることを指摘され、共に新しい装備を買いに行っていたのだった。
彼女を記憶の片隅に仕舞い込んだことですっかり忘れていた、アイザックは記憶を辿り、その装備を締まった場所を探し当てる。
「これだ...」
サラサラの紙袋に入った白を基調とした服が現れた、アイザックはそれを、カルヴァトスとの出来事を思い出して、ただ静かに見つめていた。
紙袋はやけに軽かった、あの一週間の重さに比べれば、拍子抜けするほどに。
アイザックは中身を取り出さず、ただ指先で袋の縁をなぞっていた。
「元カノか?」
「付き合ってはなかった...一緒に行動していーーー」
その瞬間、ここにいるはずのない人の声。
「「ッッ!!!」」
背中に、嫌な感覚が走った、殺気ではない。
だが、確かな視線を感じた。
「隙あーーー
「ねぇよッッ!!」
背後から迫る手をアイザックは跳躍し回避、その影のさらに背後に立って見せた。
「ちょっとは成長したみたいじゃの」
「まぁ、色々あったからな、師匠」
「レーチェ様!?」
「師匠!?」
そこにいたのはかつてアイザック達に戦う術を教えたエルフ、ドゥルセ=デ=レーチェだった。
「久しぶりじゃの」
「師匠〜〜お久しぶりです〜〜!」
「レーチェ様!?...きょ、拠点は大丈夫なのですか!?」
そう、レーチェは拠点を守るためにマナタン帝国には来なかった、そう思われていた。
「大丈夫じゃ、必要最低限守れる結界と食糧を蓄えてきた、しばらくは問題ない」
「なら...いいけど」
「アイザック、頭貸せ、記憶を見る」
「お?お、おぉいいけど」
「もう慣れてるわねアンタ」
アイザックの頭に手を置き、詠唱を唱える、記憶を覗き見て状況を把握するためだ。
「ふむ...まぁ、なんだ...本当に色々あったようじゃな」
「あぁ、色々あった」
「ところでアイザック...貴様アレは使ってないのか?」
「「アレ??」」
シオンとミークは首を傾げる。
「あぁ...アレな、使うほどの相手がいないっていうか...」
「カルヴァトスは?」
「あいつは、使いたくなかった」
「そうか、まぁ奥の手は隠すに限る、無理して使う必要はない」
「「???」」
2人の疑問をよそにアイザックはつぎの話へと移る。
「そういや師匠どうして来たんだ?」
「あぁ、もうすぐ『大会』が始まるのでな、『界帝』のガキに招待された」
「『界帝』をガキ扱いて...」
あの筋骨隆々の男がそう呼ばれるイメージが全く湧かない。
「じゃが、ワシから言わせれば...今年は荒れるぞ」
「...」
含みのあるレーチェの言葉に3人は息を呑んだ。
...
..
.
「時間だ」
砲塔の『界帝』が鎮座する大広間のエレベータの反対側、そこは帝国を見渡す展望台。
そして『界帝』ミカードが睨んでいたのは、街ではなく、世界の外縁――夜空に浮かぶ星だった。
地底の天蓋に不規則に飛び交う3つの星、それは次第に砲塔、ミカードに向かって徐々に大きくなり
そして...。
ーーーダッ
ーーーダダンッッ!!
その星は、足音を鳴らして『界帝』の元に集った。
「久しぶりだね」
「...」
並ぶ影は三つ、白銀の鎧に身を包んだ2人の間で佇む漆黒。
そしてマントのついた軍服を広げ高らかに叫んだ。
「天が呼ぶ!!地が呼ぶ!!人が呼ぶッッ!!悪を倒せと俺を呼ぶッッ!!」
「どこで覚えたのかなそれ」
「『五耀星』が筆頭にして戦士長ッッ!!ダイコー=オーディーんッッ!!ここに見参んんんーーーッッ!!!」
ダイコーと名乗る女性、黒髪を靡かせキレッキレのポーズを決めて見せた。
「...」
そして続くように左の白銀の戦士も名乗りを上げる。
「地底の天蓋、宇宙に輝く2番星、チクアーノ=オブシーン、ここに見参」
静かに白鳥の如く流れるようにポーズを決める、その佇まいは気品さすら感じる。
そしてそれに続くように3番目がーーー
「...」
「...」
...
「ハン=ペンバーはどうしたぁぁあああああーーーッッッ!!!」
「死にました」
「何ィ...?」
割って入るように最後の1人が名乗りを上げる
「五つ星の如く一級であれ!焔の如き灼熱の魂!!」
赤い肌をぎらつかせ、赤髪を振り回し、筋肉は飾りではなく歴戦を物語るように力強さをしましている。
彼は文字通りの「悪魔」である。
「五光照らす終末の炎!!ギュージ=カルワメッッ!!ここに見参!!!」
「そしてここに集え戦士達!!」
「「「『五耀星』、御身の前に!!」」」
そして並ぶ、「悪魔」「人間」「機械人間」、一見相容れぬ存在であろうとも、此処に一体となってミカードの元に現れた。
それを見たミカードはたった一言。
「うわぁ...」
静かにつぶやいた
次回投稿日は2\20 7:10!
2-3章開幕!!
何が始まるんです!?
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