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【2章開幕ッ!】勇者は感染してました、魔法使えないけど無限の魔力で抗います ーThe Beasted eMpireー  作者: 鶴見ヶ原 御禿丸
2-1章 龍界地底砲塔マナタン:入国編

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51話 地底国マナタン


 列車が、落ちていく。


 ーーーガンッ!ガンッ!


 いつもの衝撃を重ねて、落ちて征く。


 ーーーガンッガンッ!!!ガガガガガガ!!!


 回転する車内、飛び回る人体、その中でミークが自分に向けて杖を構えていた。


「アイザック君ッ!」


「ミーク!!()()()使()()ッ!!」


 『転送障壁(トランスパラウト)』、受けるダメージを2回まで完全無効する魔法、それを自分のために使おうとしていた。

 しかしその魔法は1人ずつしかかける事ができない。


「でも...ッ!」


「舐めんなよ、前のおーーー

「わかりました!!」


 即答でミークはその魔法を自分にかけた。


「ちょっとは心配しろよぉ!!」


 ーーーガガガガガガッッッ!!!


 車内は勢いよく回転、どちらが天井でどちらが地面がわからない、アイザックは椅子や天井にぶつかり勢いのまま転げ回る。


「いでででッッ!」


 しかしアイザックは訓練の成果か大したダメージにはならない、全ての衝撃を体を捻る事でいなしていた。


 ーーーーガァァァアアアンッッ!!


 そして一番大きな衝撃、アイザックは地面に叩きつけられ、バウンドするがそれも致命には至らない。


「いってぇ...みんなはッ!?」

「大丈夫です〜」

「...エウロペは?」


 ーーーガンッ!!


 埋もれた瓦礫を吹き飛ばし現れたエウロペ、その姿に傷一つなかった。


「あらあらあら、心配してくれたの?」


「死ねばよかったのに」


「反抗期かしら、それも成長よね!」


「なぁシオン、こいつなんなんだ?」


「...」


「アイザック君、手伝ってください〜!まだ息のある人がいます!」


 瓦礫の中で確かに魔力を感じ3人で協力しすくいあげる、生き残った乗客は自分達含めて8人、どれほどの人間が乗っていたかは記憶にないが...


「ありがとう...ありがとう...」


「わかったから早く歩いて」


 礼を言う男を初め生存者を前にエウロペを先頭に置いて歩みを進める。

 列車を出ると先は暗い洞窟だった、水が滴り冷たい空気が肌を撫でる。


「いまの銀色の連中なんだったんだ」


「『機構星騎士(ステラ・マキナ)』、帝国を守る防衛部隊よ」


「え、俺ら攻撃されたんだけど?帝国行きの列車に乗ったんだよな?」


「奴らは公式に入国する人間も攻撃するわよ」


「クソです〜〜〜〜〜!!!!」


「だから言ったじゃない、「力」が全てだって、弱者には発言権も無く生きる権利もない、国は強者しか受け入れない」


「クソだなーーーーーーッッ!!!」


「でも、それだけだった...まさか列車もろとも落ちる仕様になってたなんて...殺意が違う」


「もうそろそろ着くわよ〜!」


 エウロペの声と次第に見えてくる建造物、そして光、さらに視界を覆う程の大きな柱。


「なんだ...これ?」


 柱にしては形がおかしい、巨大な円柱と違い一つの方向に向けて大きく反り経っている、柱の先は他の建物でよく見えない。


「アイザックくんは壁登りとか得意かしら?」


「ま、まぁできなくはないけど、ここのあたりの建物足場多いし」


 そういうとエウロペは土で出来た建物を指差す。


「ここを上まで上がってごらんなさい、びっくりするわよ〜」


「よしっ」


 ーーーダッ、タンッタンッ


 軽々と足場を上がり1分もしないうちに最上階へ到達する、20メートルくらいはあがっただろうか。

 レーチェとの修行の成果に感謝しつつ空を見上げると...


「な...」


 アイザックが見た光景、それは言うなら...「街」、そして


「なんだあれはーーーーーーッッッ!!??」


挿絵(By みてみん)


 その地下帝国を見下ろす()()()()、その骨格。

 アイザックが見た反り立つ柱はこの竜の翼、その前肢骨。理解と視界が揺れる、巨大なものを目にした時特有のめまいだ。


「うぉっ!?」


 足を滑らせ、上がってきた壁を逆戻り、逆さまに落下した。


 ーーードッ!!


「アイザック!!」


 しかし地面に叩きつけられる前にシオンがアイザックを受け止めた。


「大丈夫?」


「シオン...でっかいドラゴンがいる...」


「あー」


 シオンから詳しい話を聞いた。

 あの龍の名は――『戦巨龍カマド』。


 かつてこの世界を龍が支配していた時代、アイザックの世界で言う白亜紀にあたる太古に君臨していた存在だ。

 伝承によれば、この大陸そのものを形作ったのが、他ならぬこの龍だという。

 やがてカマドは命尽き、その巨大な骸は大地に伏した。

 骸は土砂に覆われ、幾千年もの時を経て完全に地中へと埋もれていく。

 そして、人はその骸の下に国を築いた。

 それが、今も地下深くに眠る地下帝国の始まりだ。


「すげぇ...」


「諸説あり」


「諸説あるのね」


「シオンさん帝国にすごく詳しいです〜!」


「それは...」


 しかし、シオンの言葉をエウロペが遮った。


「シオンちゃんは生まれはこの帝国なのよ〜!」


「え!?」

「チルド王国じゃなかったんですか!?」


「...」


 だがおかしい、シオンはチルド王国の街で家族と過ごしていたと言っていた、その家族がドリンク=バァに殺されたという事も。


「...えぇ、そうよ、私は6歳の頃マナタン帝国から脱出して...、たまたま出会った商人に連れられて王国に流れ着いた、今の両親には養子として迎えられたの」


「そ、そんな過去が」


「そう!!それで本来の()()()()()()()()!」


「えっ!?」

「ほぁっ!!??」

「違うッ!!!」


「違わないわよ〜、私が()()()のは事実なんだもの」


 作った?


 シオンは...作られた存在?


「...」


「魔物や歴史に名を馳せた英雄達の遺伝子と術式を組み込んで作った人造人間、それがシルヴィア=バレーナ、すごいわよね!」


「...」


「シオン...」


 シオンは俯いてなにも言わない、重苦しい空気が漂う、生存者達もその空気にやられたのかずっと他所を向いている。


「...気持ち悪いわよね、私はアイザックやミークと違う、かといって魔物でも魔族でもない、人間ですらないのよ私は、私がただの町娘なのに動き回れるのはそのせい...」


「...」


「...」


「黙っててごめんなさい...そう、私は人間じゃない...」


 それを聞いたミークとアイザックは...。


 ...


 ..


「「?」」


 2人は、首を傾げていた。


「...?」


「「????」」


「えっと...2人とも?」


「何?」

「どうしました?」


「えっと...私は人間でも魔族でもない不気味な存在...って...話聞いてた?」


「聞いてますよ?」


「き、気持ち悪くないの?」


 アイザックとミークはお互いを見合わせ、さらに首を傾げた。


「いや?全く...」

「人造人間ってかっこいいよな」


「は...はぁ!?」


 2人はただシオンを見つめていた、エウロペは静かに微笑む。


「「シオンはシオン」だろ」です〜〜!!」


「あんた達...」


 曇りのない、純粋な目、純粋な答え、シオンは腑に落ちたように頷いた。


「そうね...余計な心配だったわね」


「...シオンちゃんがいいお友達に巡り会えたみたいでよかったわ〜」


「五月蝿い」


「さぁさぁ!もうすぐ着くわよ!あ、他の人達はここを曲がった所の役所に行ってね、ここで暮らすには手続きがいるからね!」


「俺たちは?」


「貴方達は私について来てね〜!」


 他の生存者と道端で分かれてエウロペの後に続く、建造物が石造りである事を除けばその街並みはアイザックの世界でいう繁華街によく似ていた、都会育ちのアイザックにとってはとても懐かしい雰囲気だ。


「すごいな...」


 久しく見ていなかった煌びやかな光景、人の行き交う大通り、その先には見上げる程の一本の塔、龍の死骸のさらに奥、尾の先、地下帝国の最奥にそれは聳え立っていた。


「『砲塔マナタン』...」


「この塔の名前か?」


「えぇ...なんで「砲」なのかはわからないけど..,」


「あ、ミーク=キャメルさん!」


「はい〜?」


()()()()()()()!」


「なんでぇ!?」


 唐突にミークのお留守番宣言、ミークは硬直する。


「実は貴方は呼ばれてないの!ごめんね!」


「ということだミーク、ごめんな」


「すぐ終わるから」


「ううぅぅぅぅぅ」


 塔の前の段差で蹲っているミークを見届け、塔の中に入る。外側は土造りだったが、内装はまるで研究施設のように清潔感に包まれており、白い床、模様の入った天井と橙色の電灯、地下とは思えない澄んだ空気がアイザック達を迎え入れる。

 受付を済ませたエウロペの先導でエレベーターのような乗り物に乗り、足場が次第に上がっていく。


 そして彼らの魔力を、最上階の人影が捉えた。


「来たか、遅かったね」



次回投稿日は1/25 7:10


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