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【2章開幕ッ!】勇者は感染してました、魔法使えないけど無限の魔力で抗います ーThe Beasted eMpireー  作者: 鶴見ヶ原 御禿丸
1章 戦慄廃国チルド:決着編

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42話 最終戦争ユナイタル・ドリンク=バァ(6/7)

 眠れる残穢、誉は彼方


 『惨月』、相手に全身に水袋を乗せたような重圧をかける効果ですがこれはあくまで相手が人間と想定した場合の例えであり種族やそれによる耐久性が違う場合重圧も比例して大きくなります。

 代償は既に相手に開示済みであれば再び説明の義務はありません、(新たに手数を増やす場合は再度開示する必要があります)

 


 ドリンク=バァはミークの脇腹を吹き飛ばした。


「ガァァァァァァァアーーーッッ!!!」


 ーーーパァンッッ!!


「ーーーッッ!!」

 

 続けて飛びかかっていたシオンの左脚が吹き飛んだ。


「ハッ....ハハハハハッ!!」


「それでも...巻き返して...くんのかよッ!!」


 巻き返した、これでもドリンク=バァは倒せない。


 体勢を崩したのもおそらくわざとだ、ドリンク=バァはわざと隙を作った、先程アイザックにやったように。

 

「はい雑魚ッッ!お前らは負けェェ!!俺が勝ち!!俺の勝ちだぁぁぁぁぁああああああ!!」


 ドリンク=バァはとち狂ったように雄叫びを上げる、奴自身もギリギリだったのだろう、もう千切れた足はくっつかない、空いた穴は塞がらない、それでも彼は勝った、勝ってしまった。


 ーーーように見えた。


「ーーーあぁ?」


「アァァァァァァーーーッッッ!!」


 自分にとって脅威であるミークの沈黙は確認したが故に見逃した、足を飛ばしたはずのシオンの勢いが止まらない、気付けば剣を逆手に持ち替え目の前に迫っていた。


 ーーーザッ!!


「ギッッーーー!?」


「今度こそ私達の勝ちだ!!死ね、ドリンク=バァアァァァァァァッッ!!」


 凶刃がドリンク=バァの肩を貫いた瞬間、紫雷がドリンク=バァを包み込む。


 ーーーバリィィイッッ!!


「ギエエエエエェェェェェーーーッッッ!!?」


「きゃっ!!」


 吹き飛ばされ転ぶシオンをすかさずレーチェが受け止める、無数の破裂音とドリンク=バァの血管の全てが噴き出る姿を皆がただ見つめていた。

 シオンの武器「ドレッド・アレイスター」には魔力を流す事で事前に仕組まれた簡易的な魔法を行使できる、今使っているのが雷系統の魔法だ、「獣」は熱に弱い、先程も喰らったばかりだが出力は倍ほど上がっている、相当魔力を流し込んだようだ。


「ギァァァアァアガガガガガガガガガガッッ」


「........」


「ーーーーーッッッ!!!」


 だが、それでも動いている、シオン達に向かって一歩ずつ近づいてくる、やがて発火しその身を燃やす、それでもドリンク=バァは止まらない。


「こいつ...これでもダメなの...!?」


「...ドリンク=バァ......!!」


 身体は動かない、しかし腕は動く、であればやることは一つだ。


「『魔轟衝』ッッ!!」


 ーーードンッ!!


 振り抜く腕から放たれる最後の『魔轟衝』、反動で自身も吹き飛ぶが、その威力、衝撃波はドリンク=バァの歩みを止めるのに十分だった。


「が...ガ...」


 そしてドリンク=バァは膝をつき...。


「.....」


「.....ッッ!!」


「...」


「...」


 全員の穴という穴から何かを垂れ流し、それでできた水たまりに倒れるドリンク=バァ。


「......」


 流れる静寂、ドリンク=バァは動かない、体液を流してブスブスと焦げる姿をただじっと見つめている。

 動かない、今度こそ動かない。


「...『昏黒・虚数孔(ハイ・ライフ)』は...ぶつけた相手を強制的に世界の外に排出する奥義...それは世界のルールを捻じ曲げる絶対の力、抵抗する術はない...」


「...」


「アイツはそれでも抵抗しきった、全てを投げ打って耐え切った、満身創痍の身体でも、その時点でもいつ崩壊してもわからぬその身体で耐え切った」


「...」


「じゃが...今度こそ...今度こそ終わりじゃ...奴は...()()()


 その瞬間、全員の力が抜け、あるものはへたり込み、またあるものは仰向けに倒れる。


「....やった」


「...恐ろしいやつじゃった」


「やりまし...ごっぷ」


「動くな」


 吐血するミークに回復魔法を施すレーチェ。


「シオン...大丈夫か」


「あんたの方が重症じゃない...私は大丈夫だから」


 シオンは切断された断面をマフラーで締め付ける、アイザックは指一本動かさないためどうにかシオンに起こしてもらった。

 ドリンク=バァは死んだ、しかし湧き上がるものはなくただ虚しさだけが残る。


「...やったね」


「あぁ...あぁ」


「嬉しい?」


「...」


 わからない、そもそも自分が倒したわけではないからかもしれないが実感があまりわかない。


「私は嬉しい、家族の仇を、みんなの仇を打てたから」


「...そうか」


「...うぐ...えぐっ...」


「シオン!?」


 突然シオンは泣き始めた。


「あぁぁぁああぁあぁ!!パパ!!ママ!!ユース!お姉ちゃんやっだよ!!やった...やった...のに!!...あぁあぁあああああああ!!!」


「シオン...」


 今までずっと押し込めていた感情が湧き出たのかアイザックの知っているシオンとは思えない程泣き叫んだ、周りに「獣」がまだいるかもしれないにも関わらず。

 だがアイザックはシオンを止めることはしなかった、肩をすっと抱き寄せただその泣き声を静かに聞いていた。


「...」


「ミーク立て、アイザックを治してる間にシオンの足を拾って来い」


「無理ですぅ〜もうすっからかんですぅ〜」


「立て」


 ーーーペシッ


「いだいいいいぃぃぃ!!わがりまじた!わがりまじだがら!!」


「よし、アイザック傷を見せろ」


「おぅ...」


 アイザックが感染しもう助からない事を忘れているのか、レーチェは懸命に傷を治していく。

 ミークはなんとか立ち上がり周辺を探し、砂の中から滑らかな肌を見つけそれを掘り起こす、シオンの足だった。


「...おっも...この靴なに入ってるんですか〜?」


「.....鉄」


 年頃の少女に似合わない物騒なものを履いており驚愕する、なんとか持ち上げシオン達のもとに戻ろうとするが、その端にドリンク=バァの死体が目に入った。


「...」


 血の中にピンクのドロドロの液体が混じっている、ドリンク=バァが吸収した肉塊なのだろうか。

 

「...これ以上生き返りでもしたら大変です...よね」


 ドリンク=バァに向けて杖を向ける、魔力は殆ど残っていないが死体は燃やしておく必要がある、また何かしらの要員で復活するとも限らないからだ。


「... 『火炎弾(フレイズ・レイ)』」


 ーーーボッ


 杖の先が赤く灯る、これ以上生き返って誰かを悲しませないように。

 アイザックも横たわりながらその様子をただ見つめていた、仲間を殺し何度も襲いかかって来た敵ではあったが、何度も立ち上がるその姿勢は尊敬の意もあった、これは弔いのためだ。

 ドリンク=バァという世界最強の武闘家に対する...


「...眠ってください...」


「...」


 誰もが見届ける勇士の最後、どんな地獄だろうが、その星々は絶え間なく広がっていた。


 ...


 ...


 ..


 .








 ーーーそしてその夜が明け...。












挿絵(By みてみん)





 





「ーーーひっ!?」

「ーーー!!」

「ーーー!?」

「ーーーッッ!!」


 明けはしない。


「ミーク撃て!!早く撃てぇぇええええ!!!」

「『火炎弾(フレイズ・レイ)』ィィイイッッッ!!!」


 ーーーボウッ!!


「ガァアッッ!!」


 ーーードゴッ!!


 放った炎弾は容易く弾かれミークの真横を通り抜けた、瞬間ドリンク=バァは血塗れの手でミークの首をとり締め付ける。

 強すぎる力に耐えきれずミークは膝をつくがそれでもドリンク=バァの力は緩まない。


「がーーーぁッ!?」


「まだ...俺は...戦える...見ろ俺を!!俺を見ろォォォーーッッッ!!」


 不死身、もはや不死身だ、ゾンビとかいうレベルじゃない、目の前の絶望にとうとうシオンの中で何かがへし折れる音がした。


「嫌...嫌!!も...もう無理よ...みんな戦えないよ...!!いい加減にしてよぉぉ...!!」


 先程とは意味の違う涙をボロボロと流し始める、


「あいつどうやったら倒せんだよ...!!」


 もう全員が戦える状態ではない、ミークを助けに行こうにも体が動かない、ミークが苦しむ姿をただ眺める事しかできない。


「今度こそ本当に...!!本当に手はないなぁぁぁぁああああ!!俺の...粘り勝ちだぁあああああぁぁああああ!!!」


 ーーーギギギギ


「がはっーーーぁぁぁぁぁぁあっ...!?」


「ぐ...ゔゔゔゔ!!」

 

 何か、何かないのか。


「...ッッ」


「アイザック」


「師匠!!」


「ワシの魔力は...お前の最低限の治療で使った、もうカラじゃ...だから...戦うならその時点でおそらく全員死ぬ、どうする」


「ど、どうするって...」


「アイザック、お前が決めろ...誰か1人だけで逃して残りで足止めしてもいい、全員でかかって共倒れでもいい、ミークを見捨てて全員で逃げるのもいい、お前が決めろ」


「な、なんで...!!」


「ワシは...もう嫌じゃ、決めとうない...自分の選択で誰かを殺したくない...だから...頼む...頼む、お前の選んだ事ならワシは...否定しない、だから」


 レーチェも限界だ、いや違う、全員が限界なのだ。

 シオンは完全に心がへし折れてしまっている、足がないためそもそも立てない、武器もドリンク=バァに突き刺さったまま。

 ミークは魔力が尽きているため自衛の手段はない、あったところで抵抗になるかもわからない。

 レーチェの魔力もほとんど残っていない、これ以上の戦闘継続は厳しい。

 アイザックは先程少しだけレーチェに回復してもらったが、這う事ができるようになった程度だ、ミークはとても助けられない。

 よって、誰かが犠牲になる。


「そ...そんなの...嫌だ」


 どうする、何か手はないのか、この絶望的状況を切り開く最善で究極の一手はないのか。

 痛みを抑えてあたりを探す、あるのは瓦礫の山だけ、先程の少女はどこにもいない。


 ない、どこにも、なにも。


 ーーー()()()()


 限界まで考えた末取ったアイザックの行動、それは...


 ...


 ..



「...あ?」


「え...?」


「....は?」


「...」


 その瞬間、全員が、この場にいる全員の表情が固まる。何が起きているのかわからない、それはドリンク=バァも例外ではない。


「...」


「ーーーーーーーッッッッ!!!!!」


 全員がアイザックの行動に硬直し固まっていた。


 

次回投稿は1/2 18:10!


年末年始は皆様お休みください!!良いお年を!!

次回でドリンク=バァ決着です!!衝撃のラストを見届けてください!!


高評価、ブックマークを押していただければ作者のモチベーションに繋がります!!よろしくお願いします!!



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