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83.ヴィット視点


セリアンスロゥプでの仕事を終えて屋敷に帰ってきた。

家に入るとこの屋敷の執事になったサイラスが迎えてくれた。


「ただいま帰った。リーは?」

「本日はまだ、お部屋から出てきておりません」


というので、リーの部屋へ向かう。

ノックをしてみるが返事がないので部屋へ入るがリーの姿が見えない。


「リー?帰ったよ。リー?」


いないのか?寝ているのかもしれないとそっと近付いてみる。


すると、机の上に紙が置いてあるのが見えた。



『誰も私の言うことを聞いてくれないので、実家に帰らせていただきます。

しばらくはそっとしておいてください。気持ちが落ち着いたら戻ります。

ミーナは連れて行くのでご心配なく。 フェイリーク』



やってしまった!!!!


あまり束縛するとリーは逃げるんだった・・・。

やりすぎだったか?嫌、でも妊娠してるんだぞ?何かあったら大変じゃないか。

リーの護衛達もリーが幼い時から一緒だったからかなり過保護だったな・・・。

しかし、どうやって?屋敷の者が知らないなら、転移か?

転移は禁止だと約束したのに・・・。

体調は大丈夫だろうか?倒れてやしないだろうか?お腹の子に影響は無かっただろうか?

ただでさえ、つわりで苦しそうだったのに。

くそっっっ!!!もっとリーの意見を聞いてあげるべきだった。


リーの部屋から出た私は、屋敷の者を集めた。


「リーが実家へ帰ってしまった」

皆驚いているようだ。女性の使用人は、察したような表情だった。


「誰も言うことを聞いてくれないからだそうだ。しばらく帰らないと思う。私も、皆もリーが大事すぎてリーの行動を制限しすぎた。

私はとりあえずあちらへ向かってはみる。ただ会ってもらえるか義父上に止められるかはわからないが、転移で向かったようだから心配だ。

誰が悪かったとかではなく、皆が心配しすぎた。リーが帰ってきてもあまり過保護になりすぎないように、皆も意識して欲しい」


と声を掛けておく。

リーの護衛たちは皆顔を青くさせている。

今回はロイやセオドアまでが過保護だったからな。放って行かれてショックを受けてるだろう。

私もだが、意識を変えなくてはいけないな。


そして、その日のうちにフォレスト家へと転移で向かった。


「いらっしゃると思っておりましたよ殿下」

と義父上と義兄上に迎えられた。

「リーは無事でしょうか?」


「転移したこともあってか体調を崩し休んでおりますよ」

「申し訳ない」

やはり体調を崩してしまったか!私のせいだ。


「腹の子には影響は無いみたいです」

「そうですか」

ホッとした。義父上も怒っているだろうな。娘が危険を冒して帰ってきたのだから。


「殿下、今回のことに関して私は怒っておりませんよ。殿下の気持ちもわかりますしね」

「私も過保護にしすぎて、妻に怒られたんですよ」

と義兄上も言う。


「私に至っては妻が妊娠していた時に寄り添ってやることもしなかったのですから。我ながら最低な夫ですよ」

と義父上。宰相として忙しかったのだろう。


「ですから、怒っておりません。ただ、安定期まではこちらで過ごさせる予定です。馬車の揺れや今回の事で転移も良くないとわかったので」

「はい・・・」

仕方ない。


「リーはしばらくそっとしておいてほしい。と書置きしてあったのです。ですが、私は心配だし会いたいです」

「あの子もわかってると思いますが、何日か顔を合わせないでいれば冷静になるでしょう」

「妻からそれとなく説得させます」

リーに会えないなんて!無理だ!!!


「殿下、顔を合わせないだけで一方的に見守るのは構わないのでは?」

「そうする!!」

と即答し、その日はこっそりリーの顔だけ見て帰ることにした。


その次の日から、義姉上が庭に連れ出してくれるリーをこっそり見守ることにした。

ああ。早く会って抱きしめたい。膝に乗せたいし、食べさせたい。髪も結ってほしい。


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