8.母(オリヴィア視点)
毒親注意
「あの子は別ですわ。女なんていらなかった。あなたや息子たちのそばに女がいるなんて考えられない」
私は女が私の大事な人の周りにいて、愛情を受けるなんて考えられなかった。
娘が生まれた時最悪な気分だった。
息子が二人続いたし、私も兄しかいないしまた次も男の子ができると思って疑わなかった。
案の定、ルーカス様も息子たちもデレデレしている。
私とルーカス様は政略結婚。けれど私はずっとルーカス様が好きだった。
結婚の話が来たときはもう嬉しくてしかたがなかった。
けれど、結婚するとルーカス様はほとんど家に帰ってこない寂しい生活。
息子が生まれてからは、たまに帰ってくるようになったし息子も可愛かった。
乳母に任せず、自分で育てた。可愛い可愛い息子たち。王子殿下のご学友になれるだけの優秀さも持ち合わせてる。
私の人生は最高だと思っていた。そう娘が生まれるまでは。
娘はルーカス様によく似ていた。
けれど見るたびに腹が立った。愛情がこの娘にばかり注がれているような気になった。
自分で育てる気もおきず乳母に任せっきりにした。喋り始めたころ、皆が娘を可愛がった。それが許せなかった、乳母を首にし闇医者を呼び声を封じた。
娘なんていらなかった。
食事を減らし、厳しい教育を施した。
だんだん泣かなくなり、育たなくなった。
家族は誰も気付かない。
そう思っていた。
義理の両親が来るまでは。
義理の両親が来てから私の幸せな人生は終わりを告げた。
いきなり帰ってきたルーカス様と息子たち。
問い詰められた。
貴方たちの周りに女がいるなんて耐えられない。
「それだけであの子をあんなにしたのか?あの子が何をした?」
何もしてないわ。
だけど見るだけで腹が立つのよ。
「オリヴィア、お前とはうまくいってると思ってた私が馬鹿だった。だが、家庭を顧みなすぎた私も悪かった。すまなかった」
もう遅いわ。あの子を私はどうやっても愛せない。
貴方が触れ合えば触れ合うほどもっとひどくなってたと思うもの。だから帰ってこなくて正解だったわ。
かろうじてあの子は生きている。
「オリヴィア、もう一緒にいることはできない」
そう。
「母上どうして?どうしてフィーだけあんな…私たちにはちゃんと愛情を注いでくれてたのに」
「まさかフィーが母上から虐待されてるなんて思っても見なかった。もっとフィーを見てやればよかった。フィーがあんなになってるのに僕たちは毎日楽しく暮らしていた。最悪だ」
「母上。母上は優しい良い母上だと思ってきた。でもそうじゃなかったあんなの見たら母上が怖くて一緒になんて暮らせない」
そうでしょうね。
もう私もそろそろ疲れていたの。取り繕うのにも、あの子を虐げるのにも。
今まで、いい思い出をありがとう。
そしてごめんなさいね。フェイリーク。
愛せなくてごめんなさいね。
そして私は声を奪われ生家に戻り、罪人として閉じ込められた。
ちなみに母はフィーとは違い、物理的に声奪われてます。