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79.初夜からの日々


結婚式が終わって新しい屋敷へ移り、待ち受けるのは初夜だがまあ私達の場合もう済ませてますし?

と思っていた時が私にもありました。


獣人の蜜月は1週間は余裕で、人によって2週間にも一月にも渡るらしいのだ。

それは私達も例外は無く、ヴィーは私を寝室から出さなかった。もちろん食事も運んでもらっている(ヴィーに)し、お風呂も入っている(ヴィーによって)けれど。

出たかったのよ?出してほしかったから話もしたけど、取り合ってもらえず抗う体力も無く・・・という状況が2、3週間続いた。


毎日、とにかく気だるい。始めは元気があったのだけど、段々と起き上がる気力も無くなってきた。

そしていよいよ、むかむかするようになってきた。


「むかむかする」

とヴィーに言うと、ハッとした顔で。

「ごめんね。私が悪かった。リーに無理をさせすぎたね」

と顔を青くして謝ってきた。

そうだけどそうじゃない。


「ヴィー、腹が立ってるむかむかじゃなくて胃のむかむかの方ね」

「体調悪い?ごめんね!!気付かなくて!医者呼ぼう!!」


と駆け出しそうになったので


「大丈夫。寝てれば治ると思う。だからそろそろ普通の生活がしたいのだけど」

「・・・わかった」


と耳と尻尾をぺしゃりと倒しながら渋々納得し、やっと蜜月が終了したのであった。


蜜月が終わっても、寝ている私にミーナが心配しきりだった。そして私が寝ていることで、ヴィーに対してミーナがまた敵だと再認識していた。


私もピクシーの仕事をしながら、新しい屋敷や使用人の管理、ヴィーと一緒にセリアンスロゥプへ行って仕事をしたりとやっと普通の生活に戻った。


転移をやっと会得したヴィーもセリアンスロゥプへと仕事に出たり、うちで仕事をこなしたりと忙しくしながらも食事の時は必ず一緒で、相変わらず私を膝に乗せて給餌してスキンシップは欠かさない。

慣れとは怖いもので、この給餌されることにも慣れた。

新しい屋敷の使用人は、始め驚きの顔を隠せていなかったがこちらもまた慣れたようだ。


ちなみに新しい屋敷の使用人は、男女とも結婚している人だけに絞られた。私が連れて来たメンバーは例外ね。

女難のヴィーが巻き込まれないように、ヴィーに全くその気が無くても媚薬盛られるとかの事件が起きないように予防策である。男性もまたヴィーが嫉妬するからという理由で既婚男性のみになった。

まあヴィーは私の護衛にも難色を示していたのだけど、そこは我儘を通させていただきました。



日常を取り戻した私が蜜月明けに驚いたことが、私が神の愛し子でヴィーもまた加護を受けていると大々的に周知されていることだった。

婚約しても色々あった私とヴィーを煩わせないために陛下とお父様によって画策されたものなのだろう。

私とヴィーに何か起きたら、神の怒りを買うぞ!とそういうことだろう。


セリアンスロゥプで私とヴィーが番だと言っても王家に連なるものだと言っても、馬鹿が絶えなかったことを危惧して間違いがおこらないようにしてくれたのだと思う。

さすがにここまで言って何かしでかす馬鹿はいないと思うのでありがたい話だ。

愛し子だということを隠しておきたかった私だけど、結婚してからのこのタイミングは正解だったと思う。担ぎ上げられなくて済むし、神の恩恵に預かろうと私を狙ってくる者もヴィーが加護を受けているということで手を出せなくなってる。

さすが陛下とお父様だ。過保護がすごい。


やっと平穏を手に入れた!


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