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76.政権交代は速やかに

 

あの日からヴィーはうちで暮らしている。もちろん部屋は別だ。

朝から部屋に来て、朝の挨拶をしてヴィーの髪を三つ編みに結んであげるのが日課になった。何となくヴィーの膝の上にいる時に編んでいたら、ヴィーが大喜びで気に入ってしまい毎日朝に私の部屋にやってくるのだった。

今まで以上にべったり引っ付くようになったヴィーに、お父様が適切な距離を取りなさい!と口うるさく言ってまわる日々だ。

だけど、獣人の本能だからと軽く流して食事の時も私を膝に乗せ給餌しお父様を怒らせ呆れさせている。

ミーナとセオに聞いてみても、仕方のないことだと言われているしお父様も諦めた方が楽だと思う。


そんなお父様が

「フィー、セリアンスロゥプの両陛下はそろそろゆっくりしてもらった方が良いとは思わないか?」

と、不敬罪で捕らえられて処刑されてもおかしくないことを言い出した。


「だってな、両陛下が緩い政権を築いているから馬鹿な貴族が絶えんのだろう。王太子殿下に王位についていただこうと思ってレイン殿下に相談してみたんだ。

そしたら王太子殿下には婚約者すらいない状態なのでは厳しいとおっしゃっていてな」


レインさんにも相談済みで、しかも王太子妃殿下さえいれば政権交代してもOKみたいな感じで言われても。

まああの両陛下は色々と甘かったからなー。


ふむ。

神様に聞いてみようか。


「お父様、神様に相談してみるわ」



ということでやってきました神殿へ。


神様ー!久しぶりー!


「フェイリーク久しぶりー!見てたわよー。私の加護役に立ったでしょう」


ありがとうー!

それでねー、私達以外に番って存在させないの?


「うーん。フェイリークはセリアンスロゥプの王太子に番を作れと言いたいのね?」


まあ早い話がそうだねえ。


「あまり神が手を出す問題ではないけれど、運命って決まっていてね、私達神にはそれぞれのお相手が見えるのよ。だから王太子のお相手も見えている訳」


へえ。


「まだ本人たちが意識していないだけな訳だけど、番のようにわかりやすくして欲しいのでしょう?」


そうね。王太子殿下に婚約者ができないと私にしわ寄せが来るんだもの。

あちらに行くと何かが起こるし、私は良くても周りが怒るのよ。


「そうねえ。じゃあ何組か作りましょうか。運命を捻じ曲げるわけじゃないから何とかなるわ」


あ。でもちゃんと喧嘩というか争いというか、諍いが無いようにしてね。

既に結婚している人がお相手だったり、婚約者がいたりとかだと揉めるでしょう?


「そこは、運命じゃなければ離縁したり婚約が取りやめになったりするでしょうから、ちゃんとフリーになってからお相手がわかるようにするわ」


離縁や婚約がダメになった時じゃないとわからないのは女性側からしたら辛いのだけど。


「だけど、それはあなたたちのルールでしょう?政略結婚なんてまさにそうじゃない。私は運命は捻じ曲げないの。その子はそういう運命にあるのだから私は手出しはできないもの」


確かに。神様がそんな勝手じゃ困るもんね。

そうよね。ごめんね神様無理言って。


「でも、番が増えたら未婚率が増えそうね~。それは私の望んでいないことだわ」


確かに。じゃあ、王族だけにするとか?

必要でしょ?王族は。


「そうしましょうか。取り急ぎ王太子にはわかるようにするわ」



ということがあってからすぐに王太子殿下に番が見つかった。

公爵令嬢で教養も知性もあり、王太子妃にもってこいな豹獣人の美人さんである。

あちらの夜会で挨拶ぐらいは交わしたことがある。義理とはいえ姉になるし、公務も一緒にしなければならない時もあるだろうからと話す機会も設けてもらったけれど、さすが公爵令嬢ちゃんと腹芸もできる有能なお方だった。


獣人同士ということもありお互いに番だと認識できるから、それはもうラブラブだった。

ちなみにヴィーはそれを羨ましそうに見ていた。



それからなんと、両陛下もお互いが番だと判明した!

それをレインさんがうまく利用して

「王位などリエーフに譲って義姉上と蜜月を楽しんでは?」

と助言すると、陛下はさっさと王位を王太子殿下に譲って表舞台から引っ込んでしまった。


円満に政権交代が行われたのであった。


神様もいい仕事してるし、レインさんとお父様の手腕にも脱帽である。


ご都合ご都合~!

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