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75.父(ルーカス)視点

 

 私の可愛い娘は、ヴィット殿下と婚約してから良いことが何一つとして無い。

次から次へと問題が起こり、それがヴィット殿下絡みなのだから父としては腹も立つというもの。


ヴィット殿下自身、顔合わせでの失態以降は心を入れ替え

公務も執務も魔法も色んな人に師事して学んでいたようだが、ヴィット殿下が心を入れ替えたところで周囲はそういうわけにはいかないようで特に女性関係ではフィーが迷惑を掛けられてばかりだった。


フィーは魔法が自由自在に使えるから、やり返したり躱したり捕まえたりしていたが親としては心配でしかない。

神殿へ神様の話を聞きに行くと、フィーは天寿を全うできるようだから私は少しホッとしている。

ヴィット殿下が女難であるとも聞かされたが、そちらに関しては殿下が悪い部分もあるのだからすぐに許せる問題でもない。


そしていくらフィーが天寿を全うできるから、強いからといって嫁いでしまえば私が守ってやることができなくなる。

こういうときに権力を使わずしていつ使うのだ。今までフィーを貶めた人間はそれ相応に処理してある。

あの子は報復に関しては我関せずというか、無頓着というか、まあ私達大人に任せているのだろう。


だが、セリアンスロゥプへ行って誰が守ってくれる?

ヴィット殿下がいる限りフィーは危険が伴うではないか!

と一度思い始めると、やはりセリアンスロゥプへ嫁にやるのは間違っているとしか思わなくなってきた。

しかし、ヴィット殿下にはフィーが絶対に必要らしく引き離せない・・・


ならば婿に来てもらえば良いのでは?

少し爵位は低いが私は伯爵位も持っている。

そしたら、フィーを目の届くとこに置いておける。名案では?

早速陛下に相談だ。



相談の結果、陛下も賛成でセリアンスロゥプへ掛け合ってくれるとのことだった。

私の中では決定事項だが一応フィーにも話しておくか。

少しいたずら心が芽生え、フィーを嫁がせるのをやめると伝えると

驚きそして番だからと、何とヴィット殿下との婚約が無くなるのが嫌そうだった。

くそう!フィーがヴィット殿下に絆されてしまった・・・。

まあ、あの獣人の耳と尻尾が嬉しい時はフリフリ動き、悲しい時はぺっしゃり落ちるのだから確かに少し可愛らしく思う。少しな!


そしてレイン殿下に連れられて来たヴィット殿下にも私は告げるのだった。

「フィーをセリアンスロゥプへ嫁がせるのをやめようと思います」

慌てふためく2人に少しすっきりした気持ちだった。娘を危険に晒してばかりなのだからこれぐらいは許してもらおう。


その後セリアンスロゥプへ打診に行ったが、渋られてしまった。王太子も第三王子殿下も婚約者もいないからと。

そんなのは知ったことか。

自分の息子が他国で危険に遭ってばかりだったらどう思うのか。全く!今度何かあったら、婿に来てもらうと約束してその場は収めることにした。


しかし、やはり問題は起こってしまった。

何と今度はヴィット殿下が危険に晒され、フィーが助けに行ったとミーナから報告を受けた時は驚いた。

報告の後割とすぐに現れたロイによってレイン殿下と共に現場へ向かった。


現場へ向かうと、ヴィット殿下とフィーはすでにそこにはいなかった。

おそらくフィーによって拘束された者たちが鳥かごへ入れられていた。女性も同じところへ入れられており、その姿からおおよそ何があったか察してしまった。

その場に残っていたセオドアから話を聞くと、またしてもセリアンスロゥプの貴族が問題を起こした。

それでレイン殿下も一緒だったのか。


しかし媚薬だと?馬鹿げたことをしてくれる。

あー。媚薬を抜くには解毒薬か、その熱を放出するかどちらかしかない。

そしてこの場にいないフィーとヴィット殿下。

一応セオドアに確認する。

やはり・・・


私の可愛い娘が・・・

今まで大事に育ててきた可愛い娘が・・・

まだ婚姻もしていないのに・・・


解毒薬があるかどうかもわからず、どの媚薬を使ったかわからない場合それが最適解であることに違いは無いが。

まあ。一応、婚約者だし・・・

婚姻することは決まっているのだし・・・

と悲しみに暮れていると、レイン殿下とセオドアからまだ処理があるからと言われそちらの問題は頭の中で遠くに追いやった。


セリアンスロゥプの問題であり、フィーのことは二次被害であるから私の一存では処罰できない。

レイン殿下がその場を取りしきる。

まあそいつらが許されるはずもなく。その家名は消え、女はもちろん辱めに遭った上で処された。


家に戻ると、やはりフィーの部屋は閉ざされもちろん出てくる気配もなく次の日の昼が過ぎてようやく出てきた。

ヴィット殿下に抱きかかえられたフィーが。

男としては気持ちはわからなくもない。だがな、立てなくなるまで無理させなくてもいいだろう。

父様は複雑だよ・・・



また問題が起きたので約束通りヴィット殿下を婿養子に貰い、挙式は一月後でと取り決めては来たがやはりこんな問題ばかりの国ダメだろう?

王太子殿下はまともだし、そろそろ王位をお譲りになったらどうだろうか?

レイン殿下に相談するか。


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