7.父(ルーカス視点)
もう訳が分からん。両親と息子たちも部屋へ呼ぶ、この仕打ちを見てオリヴィアをどうするか決めなくてはいけない。
オリヴィアとは政略結婚だったが、息子も生まれてうまくやっていけてると思っていた。今日までは。
「何てこと!」
母が泣き出した。
父も
「これはっ!想像以上だ」
ウィルは
「フィーのこの傷どうしたんです?傷だらけではないですか!!」
ヴェルも
「どうしてこんなに傷が?使用人が?」
「帰ってみないとわからないが、使用人だけではないだろう。お前たち、オリヴィアはお前たちには優しかったか?愛情は感じているか?」
「「はい」」
「今でも抱きしめてくれるし、出迎えもしてくれるし、褒められたときは好きなものを用意してくれたり母上は優しいですよ」
ヴェルも頷いてる。
「オリヴィアがフィーを抱いているのを見たことがあるか?手をつないでるのは?名前を呼んでいるのは?」
二人がハッとして顔を見合わせている。
「覚えてる限りでは、一度もありません」
「確かに。気付かなかった」
「フィーは助けを求めなかったか?喋れないからわからなかったかもしれないが」
「一度だけ、抱っこしているとき泣き出した時がありました。どうしたのかきいても首を振るだけで。困ったので母上に預けましたが…まさか!」
「どうやらオリヴィアに虐待されているようだ」
「どうしてフィーだけ?こんなに小さくて可愛いのに」
「わからん。声も魔法で封じられているらしい。治療をしても治るかわからないそうだ」
息子たちは泣き出した。
「もうオリヴィアとやっていける気がしない。けどウィルとヴェルにはいい母親だ」
「いい母親ですって?!いい母親なわけないじゃない!!ルーカス!あなただっていい父親ではないわよ。このままだとフィーは死んでしまうわ」
「ルーカス、お前とオリヴィアのことはお前が考えなさい。フィーはとりあえず私が連れて行こう」
「待ってください!!フィーを連れて行くって?私の娘だ!」
「その娘にお前は何をした?何をしてやれた?家庭を顧みない最低の父親だ!わしだって宰相だったが、家には帰っていたし家族との時間は取っていただろう?」
確かにその通りだ。私のせいだ。
「ルーカスすまない。しばらく休みを取って色々考えろ」
「陛下、愚息が申し訳ありません」
「いや、私が悪いんだ。帰れないほどの仕事を任せてしまった。だがフェイリークはしばらく王宮で預かろう。体力がなくて領地へは行けんだろう?それに王宮医師もいるから安心だ」
甘えさせてもらおう。とにかく家へ帰らねば!
泣きじゃくるウィルとヴェルを連れて家へ帰る。
「まあ!あなた!それにウィルとヴェルも!!こんなに泣いてどうしたの?」
オリヴィアが優しく声をかけている。
「使用人すべて集めてくれ」
「わかりましたわ」
全ての人間を集めて
「この中でフィーがおかれた環境を知っていたものは正直に話せ。
オリヴィアお前もだ!お前はフィーに何をした?両親がフィーを連れて王宮へ来たぞ!フィーは傷だらけで声だって魔法で封じられているそうじゃないか!!
お前の言うことを真に受けて家庭を顧みなかった私も悪いが、お前はフィーが嫌いか?自分の娘だろう?ウィルとヴェルには愛情を持って接してるじゃないか」
「あの子は別ですわ。女なんていらなかった。あなたや息子たちのそばに女がいるなんて考えられない」
ポンコツ…