65.次から次へと
「リー。ごめんね」
「まあ、ヴィーが女性誰にでも優しくした結果ね」
「もうしない」
「ええ。わかってますわ。でもこれで済めばいいのだけど」
「リー!怖いこと言わないでよ」
とまた抱きしめてくる。のをまた背中ポンポンで慰める。
これだけ大騒ぎしてるんだから、皆大人しくしてくれないかな・・・
未遂なのも何度かあって、それはヴィーが対処した。
その他にも、ヴィーが陛下に呼ばれていない間にバルコニーへ引っ張り込まれそうにもなった。
まあ返り討ちにしてやったのだけれど。
蔦で縛りまくって、お父様を呼びつけることにした。
社交をしてたかもしれないが、緊急事態なためお父様を魔法で召喚した。
「フィー?!どうした?大丈夫か?ケガは?」
「ケガはしてないけど、襲われそうになったの!!引っ張り込まれそうになったから蔦で縛り上げた!」
「よかった!けど誰か人呼ぶとかできなかったのか?殿下は?」
「殿下は陛下に呼ばれたからいないの。わたくしが対処する方が確実だし、その方が私が襲われていたと触れ回ったら嫌だもの」
ここの貴族たちは私に優しくないことが分かったから自分で対処したほうが絶対に良い。
傷物になったとかなんとかでっち上げられそうだ。
「確かに。さっさと済ませて帰ろう」
お父様は今日のゴタゴタがあるたびに私の傍に来てくれた。
お父様も色んな方と挨拶があって傍にいられないからと殿下によろしく伝えていたけど。どうしようもない時もある。
近衛を呼んで別室へ移動し、陛下やヴィーを呼んでもらった。
「疲れたわ」
「殿下にはガッカリだ」
「いない時を狙っているのだから仕方ないところもあるのでは?」
「それなら、第三王子殿下でも側近でも誰かつけておくべきだろう?」
お父様第三王子殿下は不敬では?
と思っているところに陛下やレインさん、ヴィーが駆け付けた。
「公爵!フェイリーク嬢!」
「姫!!」
「リー!!!ケガは?痛いところは?」
「腕に跡が付いてるだけで大したことはありませんわ」
「ごめんね。私がエスコートなのに」
とりあえず状況説明。かくかくしかじか。
「陛下、殿下。こんなに次々問題が起きれば私は娘を嫁にやるのを考えなければいけません。この国は娘に優しくない」
「公爵、すまない」
と陛下。
レインさんも頭を抱えている。
「公爵、申し訳ございません。私が付いていながら」
とヴィーも謝っている。
「全くです。この国の貴族意識がどうなっているか知りませんが、貴族教育がまったくできていない!両国の友好だと言っているのにこの有様ですか。
それに殿下も!ご自身の問題はご自身で解決してください。私の娘にばかり害が及んでいるではありませんか!」
「申し訳ございません!!!」
「この国の貴族がきちんと立場を考え行動できるまで、うちの娘はこの国へはやりませんから」
「「はい・・・」」
お父様激怒である。
まあ親ならそれもそうかと思ってしまう。私自身は何事もなかったし、撃退できるから別にどうってことは無いけど国としてはダメだろうな。他国の王子の婚約者を害するなんて国交問題だ。
「私は何年もこの国へは帰っていませんでしたが、ここまでひどいとは・・・
兄上、今日はまたファール国へ恥を晒しましたよ。しかも次から次と姫をひいてはファールを巻き込んだ。ファール国王がお怒りにならなければ良いが、怒るでしょうね。どうしてこうも考えが足りないものばかりなのか」
レインさん、それは考えが足りている人間は問題を起こさないからですよ。レインさんも相当疲れているようだ。
もう帰りたいのだけど。
「陛下、レインさん、ヴィー。とりあえず今日は帰らせていただきます」
「うちの陛下にしっかり話をしておきますから!」
「それでは失礼いたします」
と転移。
ふう。やっと帰って来れた。しかし、疲れたな。
こうして私の婚約式は終わったのだった。