60.めんどくさい婚約者
続きが大変遅くなり申し訳ございません。
こちらもぼちぼち更新しようと思いますので、気長に、気長に待っていただけると幸いです。
めんどくさい婚約者を笑顔でシャットアウトし自宅へ帰ってきた!
「フィー、あんな婚約者で本当にいいのか?今ならまだ何とかするぞ」
とお父様が問いかけてきた。
「大丈夫。めんどくさい婚約者だけど、今みたいに逃げればいいだけだから」
「いいのか?」
「ちょっと楽しそうでしょ。転移覚えて追ってくるんだって」
「絶対フィーが逃げ切るじゃないか」
「だから楽しいの!追いかけっこ。いつになったら捕まえられるかな」
「フィー、王族で遊んでるのか…」
「ええ!だって了承得てるもの」
「…」
「ロイとセオもいいと思うでしょう?」
二人とも頷いてる。
「旦那様、あんなのの婚約者になってあげるんです。遊んでも許されます」
とロイ。
「ちょっとぐらい困らせてやればいいんですよ!」
とセオ。
「フィー怒っては…」
「怒ってないよ。めんどくさいなーとは思うけど、さっきのもわざとよ。
これからうまくやっていくには私もできるだけ我慢したくないもの。
初めは私が我慢すれば良いと思ってたのだけど、ヴィーは私が好きみたいだから私次第で思い合うこともできるでしょう?」
「フィーがいいなら良いが、我慢できないことがあれば言いなさい」
「はい」
それから暫くして、陛下を通してセリアンスロゥプで私とヴィーの婚約式をするとの連絡があった。
ふむ。打ち合わせのためにセリアンスロゥプへ行かないといけない。
お父様と一緒にセリアンスロゥプへ転移する。
一か月ぶりである。
謁見の間へ到着するなり
「リーーーー!!!!」
とヴィーが文字通り飛びついてきた。
「この前はごめんね。私が悪かった。リーが正式に婚約者になってくれたことに浮かれてたんだ。これからも嫉妬はすると思うけど、できるだけ我慢できるように頑張るから会いに来てくれる?」
耳をぺしゃりと下げながら可愛らしくお願いしてくる。
「転移は目下特訓中なのだけど、まだできそうになくて…でもリーに会えないなんて苦しい」
ふむ。
「ごきげんよう。ヴィー。そうですわね…では私がたまに転移の特訓をするのはいかがですか?」
まだまだ甘やかす気はない。
「リーとはお茶会をしたり出かけたりしたかったのだけど、リーと会えるならそれでもいい」
納得したらしい。
「殿下。娘を離していただけますかな?」
出会い頭に飛びつかれてから、ヴィーに抱きしめられたままだった。
「久しぶりなのだからいいではありませんか。義理父上」
「殿下の父ではありません。まだ息子と認めるわけにはいきません」
おお!
娘はやらん!お前を息子とは認めん!
が繰り広げられている。
「ヴィット、それぐらいにしなさい。フェイリーク嬢を離しなさい」
と陛下。
解放されたので、カーテシーをする。
「フェイリーク嬢、息子が済まない」
「いいえ。ご心配ありがとう存じます」
「ヴィットとフェイリーク嬢の婚約式を開くことにした。
王子で婚約者ができたのはヴィットが初めてであるから大々的に発表しておこうと思う」
まあ王族の婚約者になったのだから仕方のないことだ。
「ヴィットの婚約者になったフェイリーク嬢が番であることも発表しないといけないわね」
と王妃様。
「ヴィットは今までがアレだったからな…番であれば文句あるまい」
色男は決まった相手が出来た時大変なのは世の常だ。
「殿下が原因で娘が傷つくことがないようにくれぐれもよろしくお願い致します!」
お父様は気が気ではないだろうな。
ヴィーが耳と尻尾を下げてシュンとしている。
可愛い。
「リーは私が守ります!」
と今度はキリッとした顔で告げたのだった。
まあ私は強いから大丈夫なのだけど。