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56/86

56.むしろマイナスです


「あの、恐れながら王子殿下はアルビノなのではないでしょうか?」


「「アルビノ?」」


「赤子になる前の段階で色素が不足しているのです。ですから王子殿下は肌の色も皆様よりお白いですし、髪色も目も色素が薄いのですわ。

両陛下とは違っておりますけど、すごく綺麗な色彩でしてよ」

とニッコリすると


皆ポカンとし、お父様とレインさん護衛の二人はため息をついている。


変なこと言ったかな?と首を傾げていると

王子殿下がポロリと涙をこぼした。

気にしてないと言いながら心のどこかで気にしてたんだろうなぁ。


「お使いになって?」

ハンカチを出した手をガシッと握られる。


「フォレスト公爵令嬢、いやフェイリーク嬢は神が私のために遣わしてくれた天使ですか?女神ですか?」


いや。人間ですけど?神と話せるけど言わないでおこう。


「いいえ!あなたのためではありません!ですが、天使である事には同意しましょう」

お父様…


「ヴィット、フェイリーク嬢を逃してはいけませんわ!」

「そうだな」

「ヴィットには勿体無い気がしますね」

「兄上いいなー」

家族の意見一致した系?


いきなり第二王子殿下は私の手を取ったまま跪いた。

「フェイリーク嬢、改めまして私の婚約者になっていただけないでしょうか」


「もうすでに婚約者ですわ」


「はい。ですが、あなたと会って自分の意思で婚約者になりたいと思いました」

ああ。番だからか…


「姫、思っていること正直に言っていいですよ?馬鹿はお断りだとか」

レインさん何気に毒吐いてる。


「そうですね。まあ断れずもう婚約者ですし、腹は立ちましたし呆れはしましたが婚約は継続で構いませんわ」

あら?セリアンスロゥプの皆様がしょんぼりしているわ。


「それに、いつでもどこでも転移して構わないと陛下にお許しをいただいておりますし大事な護衛や侍女も一緒で構わないとお約束してくださいましたのでわたくし十分満足しております」


「その条件は初めて聞いたのだけど、いつでもどこでも転移とはこの間のように急にいなくなったりするのだろうか?」


「一応お声がけは致しますけれど、嫌なことや辛いことがあればすぐにお父様やレインさんのところに帰りたいですもの」

お父様とレインさんが微笑んでいる。


「すぐに…その後はもちろんこちらに帰ってくるよね?」

あら。口調も乱れて必死ですわね。


「時と場合によりますわね。公務があれば戻りますが、公務が終わればまた帰らせていただきますわ」

とにっこり。


「それは、私が迎えに行っても帰っては来てくれないの?」


「喧嘩をして私が許せない。距離を置きたいと思えば転移でお会いする前に逃げますわね」

シレッと言ってやる。

「その転移はどこへでも行けるの?」


「ええ。どこへでも誰のところでも」


「…私がお願いしても?」


「わたくし王子殿下とお会いするのはまだ2度目ですし、話をするのは初めてです。王子殿下にお願いされたところでわたくしはしたいようにさせていただきます。あなたと初めて会ったその次の日にそう決意いたしました」


「フェイリーク嬢、やっぱり怒ってるよね」


「怒っているのとは少し違いますわ。期待しないことにしたのです。わたくし結婚相手は思い合える相手であれば誰でもいいと思っておりました。けれど殿下はそれすらも拒否しましたね。こうして誤解だったと言われても、理解はできても信じられないのですわ。番だというのが誤解かもしれませんでしょう?」


「それは無い。私の番だ」


「それを王子殿下は感じていてもわたくしは感じないのですよ。番という本能に振り回されているのではないですか?」


「…」


「王子殿下は私のことをほとんど知りませんでしょう?それで一緒にいたいという感情になるのは不思議ですわよね。ですから番とは本能であるということなんでしょうけれど。はっきり申し上げておきます。婚約は継続で構いませんが、わたくしの王子殿下への気持ちはゼロです」

にっこり。むしろマイナスである。


王子殿下はもう泣きそうだ。いや泣いてる。

仕方ないからハンカチで拭いてあげる。


「私も転移をできるようにする。それでフェイリーク嬢を追いかければ問題ないな!」

ポジティブー!


「では王子殿下が追いかけてきてわたくしが捕まれば大人しくこちらへ帰ってきます」


「そうしよう!」



「ヴィットに勝ち目は無いな」

とレインさんが呟いたのだった。




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