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53.ヴィット(第二王子)視点

 普段穏やかな叔父の怒声で我に返った時には、時すでに遅く令嬢の父である公爵もさっさと帰ってしまった。


その後、まさかご令嬢と一緒に来ていたファール国の国王陛下から両親が国を脅すように婚約を取り付けたことを知った。

私の態度はとても王子としていや一貴族の令息としても最低だっただろうことはわかっている。だが初めから両親が伝えてくれていれば!!と言ってもきちんと振舞っていたらこんなことにはなっていないな。


叔父上がかなりキレている。


その後ファール国王から伝えられたご令嬢の過去に驚きと、番が虐げられた怒りと悲しみを隠せなかった。だが最低なことをしでかした私が言うことなど何もなく。ただただ、番の過去について聞いていた。


聞いていて、だから叔父上が怒っているのか。と納得した。叔父上がそばにいてくれて良かったとそう思ったのだった。


私は本当に最低だ。

そんなに素敵な令嬢なら私でなくとも釣り合う相手はたくさんいただろう。

両親が脅すように婚約を取り付けたなんて。そんな過去を持つご令嬢なら皆が幸せになってほしいというのはよくわかる。

両親は両親で私のことを案じて、必死になって婚約を取り付けてくれたのだろう。

ご令嬢は好きで私の婚約者になったのではなく、仕方なくだ。断れなかったから私の婚約者になってくれた。

ご令嬢だって嫌だったのに受け入れてくれて顔合わせに来てくれた。

それなのに私の態度といったら…時が戻せるならやり直したい…


ポンコツな両親に代わり兄上が謝ってくれた。

私ももちろん謝った。謝って許される問題じゃないのもわかっている。だけど、番に会ったらもう他の女性なんて目に入らない。私の番だ。婚約を無くされては困る!!!

番がこんなに愛おしい存在で番が辛い思いをしてると思うと私も辛いし、番が怒っているなら何とかしたいと思うなんて考えてもみなかった。


勝手だろう。

番だとわかった瞬間に所有欲が独占欲が湧いてくるのだから最低だ。

だが本能が叫んでいる。今まで私が欲してきたものはこれだと。


番ともう一度きちんと話をしたい。

謝りたい。

私を見てほしい。


そのためなら何だってする。どうか私にもう一度チャンスをください。


ファール国の国王陛下が帰った後、もう一度叔父上が帰ってきた。


家族会議の始まりだ。


「あの醜態はなんです?」


「うぅ…悪かった」

と父上。


「ファール国に作っていたつもりの貸しもチャラどころか大きい借りになってしまいましたね。姫を蔑ろにするなら私は許しませんし、会わせもしません」


「蔑ろになんてしません!!」


「今日の態度でお前がそれを言うのですか?」


「婚約の話を今日聞かされて、結婚する気もなかったのに勝手に決められてしまって腹が立ちました。それなら嫌われてしまえばいいと思ったんです」


「言い訳は結構。お前は王族としての品位も下げました。わかってますか?ファール国内で言いふらされてもおかしくないんですよ?」


「自分のことしか考えていませんでした」


「そうだろうな。でなければあんな無礼な振る舞いができるはずがない。今まで何を学んできたんだ」


「レイン。その辺にしておいてやってくれないか。伝えなかった私達が悪いのだから」


「そうですね。親としても最低ですが、国の長としても最低ですね。さっさとリエーフに譲ってはいかがです?

ファール国側は、阿呆な国王夫妻に馬鹿な息子だと思っているでしょうし挽回は難しいでしょうねぇ。

最初から番だからと婚約を打診すればよいものを、脅すなんて本当に…」


と頭を抱えた叔父上。


「簡単に許してもらえるとは思わないことですね。

まず、ヴィットは姫に釣り合うようにありとあらゆることを学びなさい。お前のことだから何もかも中途半端でそれなりにしかしてないのでしょう。

姫は全部完璧だ。喋れないから父や兄にこれ以上迷惑をかけないようにと今まで必要以上に姫は努力してきました。

お前もそろそろ本気になりなさい。まあ婚約が無くならなければですが」


叔父上の言う通りすぎて、ぐうの音も出ない。

私は今まで勉強も剣術も魔術もそれなり、頑張らずに今まで生きてきていた。

どうせ兄上にはかなわないし、頑張っても無駄なのだから恥ずかしくない程度にできてたらいいと思って大した努力もしてなかった。


努力をしてこなかったことに初めて後悔している。

釣り合う努力してやろうじゃないか。

番と婚約解消されてたまるか!!



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