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51.リエーフ(王太子)視点

 今私は隣国であるファール国の国王陛下に謝罪している最中である。


「ファール国の国王陛下。両親と弟が大変申し訳ないことを致しましたこと、王太子の名において謝罪申し上げます。

弟の評判が悪いことは、私も第三王子も気付いております。両親は親馬鹿でそこまでとは思っておりません。


私はこの件を第二王子と同じく今日になって知りましたが、王子として婚約者としての義務すらも果たせない馬鹿な弟と当日になって大事なことを知らせ、挙句ご令嬢を傷つけた馬鹿な両親の再教育は私にお任せください」


夢見がちな両親と女たらしでどうしようもない弟の尻ぬぐいをしている訳だが、正直どこに着地すれば良いかわからない。

ご令嬢のことを思うと婚約は無かったことにした方が良いだろう。しかし、人族では婚約が無くなると女性に非があるように言われてしまうしそれでもまたご令嬢を傷つけてしまう。


本当にうちの両親と馬鹿な弟はなんてことをしてくれたんだ!!

私に一言でも伝えてくれていたら、ちゃんと考えていたのに!初めから番である令嬢を見つけたから、婚約者にしてやるとヴィットに順序だてて伝えていればこんなことにはなっていなかっただろう。

それ以前に脅すように婚約を取り付けただと?馬鹿なのか?自分のことしか考えていない両親には心底呆れている。


番という存在に心が浮かれたのもわかる。

だが国の長としてもっと考えるべきだろう?


「虫のいい話だとは存じますが、第二王子との婚約はそのままにさせていただきたくお願い申し上げます」


「なぜだ?ここまで傷つけておいて婚約者のままにだと?」


「恐れながら、人族では婚約が無くなればご令嬢の方に非があるように言われ次の縁談が無くなるのだとか。これ以上こちらとしてはご令嬢を傷つけたくはありません」


「フェイリークなら婚約が無くなっても釣書は山のように届くだろうがな」

そうだろうな。あんなに可愛らしくて綺麗で所作も美しく家柄も良いのだから。


「獣人として番という存在は幻で、実は存在しないのではないか?と私自身も思っておりました。ですが存在を知ってしまった今、番を持つ愚弟が色んな意味でどう変わるのか見てみたいのです」


「それは弟のためであって、こちらに利は無いだろう?」

確かに。この場をどう収めたら…


「ファール国の国王陛下!!!無礼を致しましたこと大変申し訳ございませんでした!!!」


としょんぼりしていた愚弟がいきなり大きな声で謝罪を始めた。


「フォレスト公爵令嬢を一目見て番であるということを確信いたしました。婚約を維持してくださるのであれば何でもいたします。どうかもう一度フォレスト公爵令嬢と顔合わせの場を作っていただけないでしょうか?」


「随分と厚かましいな」


「ええ!厚かましいぐらいでないと会わせてはもらえないでしょう」


「私が許さないと言ったら?」


「何度でもお願い申し上げます!!」

こんなにしっかり話している弟は初めて見た。


「フェイリークには番であることは伝えん」


「そんな!」

打ちひしがれているがお前が悪いからな!!!


「フェイリークと公爵にはこれから話をするから本人の意思を尊重するが、さてあの子は何というかな」


「姫は、また我慢すれば良いだけだから大丈夫だと寂しそうに笑っておりました」

と叔父上。

それを言われるとこちらは何も言えなくなる。なんて可哀そうなご令嬢なんだ。


「フェイリークはそう言うだろうな。自分が我慢すれば丸く収まることだからな。誰にも迷惑をかけずに済む。フェイリークは側妃かお飾りの正妃を全うしようと考えておるだろうな」


番だから側妃もお飾りもありえないのだが、馬鹿な両親と弟のせいでそう思ってしまっているご令嬢が不憫でならない。


「ヴィット、そんな簡単に許してもらえるとは思うなよ」

と普段穏やかな叔父から殺気が飛んでいる。


「とりあえずセリアンスロゥプ側は婚約を維持したいことはフェイリークと公爵に伝えよう」


「「お願い申し上げます」」

ヴィットと同時に言ったのだった。


「どうなるかはわからんが、もうそちらとの貸し借りはとうに無くなっておるだろうしこちらも好きにさせていただく」

それはそうだ。そもそも終わったことを掘り返した両親が悪いのだから。


「では失礼する」


と叔父上に連れられてファール国王陛下は帰っていった。

こちらのお通夜状態はさてどうしたものか。


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