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50.ファール国王視点(フェイリークの過去)

「セリアンスロゥプ側がフェイリークを軽んじたことだけははっきりしたな」


「うちの親族共が大変失礼なことをいたしました」


「いや、レイン殿が謝ることではなかろう。この際だから伝えておこうか。今までうちの国でも秘密にしていたフォレスト公爵家の内情を。

調べても出てこなかったであろう?そこの王子が言っていた話せなかったという事情だ」


「ああ。一応は調べさせてもらったが、令嬢には兄が二人おること公爵は離縁しておること令嬢が最近まで話さなかったことぐらいしかわからなかった」


「フェイリークはな、生まれた時から生母に虐待されておった。

公爵は当時宰相として忙しくしていてな家にもほとんど帰っていなかったんだ。

フェイリークが生まれてから公爵が帰るまでの3日名前も付けられていなかった。

帰った公爵が初めての女の子で可愛くて妖精のようで、すぐにフェイリークと名付けた。

その後も公爵は仕事にかまけて家にはほとんど帰らなかった。帰った時にはもちろんフェイリークを可愛がった。


フェイリークはそのあと1歳になっても2歳になっても3歳になっても喋ることはできなかった。

フェイリークは体も小さくてな、公爵は先が男2人だったから女の子は小さいんだなあぐらいにしか思っていなかった。

公爵が帰ってもほとんど表情は無いし、話しかけると笑うが貼り付けた笑顔でそうかと思えば静かに涙を流していたこともあったんだそうだ。


女の子は男の子と違って難しいんだなぐらいにしか思っていなかったんだが、幼馴染のところに女の子がいて会う機会があった。

その子と会った瞬間に自分の娘の異様さに気付いた。

その子の方が年下なのに、大きくさらに抱き上げても重い。

やっとおかしいことに気付いた公爵は息子たちにフェイリークが普段どんな生活か、食事かを尋ねた。

そしたら息子達も何も知らなかった。

すべて母が管理しており、食事もフェイリークは一人で自室で食べていたそうだ。


公爵が自分の妻がフェイリークを虐げているかもしれないと思ったとき、公爵の両親が虐待に気付き王宮にいる公爵の元へフェイリークを連れてきた。

その時私も立ち会ったが異常だったよ。

フェイリークはガリガリに痩せていてとても小さくて、それなのに笑顔で綺麗なカーテシーをするんだ。王妃なら3歳でカーテシーをするおかしさがわかるだろう?


その後王宮医師に見せた。そしたら全身あざだらけ。さらに足は折れていた。

話せなかったのも生母に声を奪う魔法をかけられていたからだ。フェイリークはもう痛覚も無くなっていたし、味覚も魔法のせいで無かったんだ。

あまりの酷さに王宮で療養することになった。

その時に出会ったのがレイン殿だった。

レイン殿の耳と尻尾に興味を示してな、無理に笑ったり無表情でいたフェイリークが笑ったんだ心から。それからフェイリークはレイン殿にべったりでな。

レイン殿が魔法が解けるかもしれないと言ってくれて長年の解術の甲斐あってようやく話せるようになったんだ」


皆無言だ。そうだろうな。フェイリークの生い立ちはあまりにも惨い。


「フェイリークは話はできなかったが、頭もよく礼儀作法も淑女教育も王妃がお墨付きを出すほど完璧だ。

そんなフェイリークは子供の社交場で話をせず、笑顔を張り付けていることから人形だと言われてな。色んな者から狙われた。それはもう数え切れぬぐらいな。

ああ、攫われたと言ってもフェイリークとフェイリークにつけた護衛が返り討ちにしている。

フェイリークは強い。魔法の腕も一流だ。

ちなみに王子妃教育なぞせずともフェイリークは王太子妃教育も終えておる。本人は知らぬがな。

だから、こちらに通う必要はない」


最後は強調して言っておいた。


「それで?セリアンスロゥプの皆はどう思うか?

私が縁談を何度も断ったのもフェイリークには幸せになってほしかったからだ。フォレスト公爵家は政略結婚など無縁だしな。

女たらしと隣国にまで届く評判の王子の嫁にやらねばならん親の気持ちがわかるか?親でなくとも断りたい。現にレイン殿ですら断れと言っておったぐらいだ。それほど第二王子の評判が悪いのは気付いておるか?」


黙りこむ面々。



「ファール国の国王陛下。両親と弟が大変申し訳ないことを致しましたこと、王太子の名において謝罪申し上げます。弟の評判が悪いことは、私も第三王子も気付いております。両親は親ばかでそこまでとは思っておりません。

私はこの件を第二王子と同じく今日になって知りましたが、王子として婚約者としての義務すらも果たせない馬鹿な弟と当日になって大事なことを知らせ、挙句ご令嬢を傷つけた馬鹿な両親の再教育は私にお任せください」


と王太子が言葉を返した。一番まともなのは王太子ではないか?



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