5.外
翌日重い体を起こして母を待つ。着替えだ。
今日も祖父母がいるから、可愛らしい服を着せられる。
「フェイリークおはよう」
「おはようフィー」
にっこりカーテシーをする。おっと危ない転びかけた。
一緒に朝ご飯を食べる。
「フェイリーク、今日はお散歩にでも行くか?」
こくりと頷く。
「お義父様、この子は体が弱いので早く戻ってくださいましね?」
「ああ。わかっておるよ」
景色がいいところへ行くそうだ。
屋敷の外は初めてだな。
お祖父様とお祖母様と馬車に乗り込む。
「ルーカスの所へ行くぞ!」
「ええ!」
お祖母様に抱きしめられる。
「ああ。フィー!今まで会いにこなくてごめんね」
「すまなかった。まさか、こんなことになっているとは思わなかった」
もうわかったのか。仕方ないよ。兄たちは普通に育ってるんだもん。
お祖父様に抱っこされて王宮?へ入る。
しばらく待っていると案内された。
そこにはお父様と、騎士服を着た人と、もしや国王陛下では?知らないから服で決めつけているんだけど
よくわからないからにっこりカーテシー。
危ない。よたよたする。
なぜか大人たちがハッとする。
「君がフェイリークかい?私はこの国の王だよ。わかる?」
こくりと頷く。
「俺は騎士団団長だ。君のお父様とは友達なんだ」
こくりと頷く。
「ルーカス!なぜこうなってる!なぜこうなるまで気付かなかったんだ!!」
お祖父様が怒ってる。
「女の子だから小さいと思ってたんだよ。さっきヴォルフの娘を見て驚いたんだ」
「それだけではないだろう!なぜフェイリークは喋れない!笑わない?」
「医者に見せたがわからないとオリヴィアが言ってたんだ」
「お前はフェイリークのことはどうでもいいのか?」
「そんなわけ無いだろう!初めての女の子だ可愛いに決まってるだろう」
「なら、なぜこの状態のフェイリークを放っておいた?
気付かないとは言い訳だ!こんな子どもがいるか?泣かない、無理して笑う。大人しすぎる。ご飯も食べない。言葉が出ないとしても音は出せるのが普通だ!この子は音も出さない!おかしいと思わなかったのか?!」
お父様がハッとしている。
「城の医者へ見せよう」
と陛下が言った。
「お願いします」
しばらくすると医者が二人きた。男の人と女の人。
「初めまして。王宮医師のノアと申します」
「同じくエリンと申します」
カーテシーをする。転んだ。
今日はなぜかカーテシーが上手くできない。また怒られるな。
抱き起こしてくれたお医者様たちが
「それでは早速診察に入りますので、場所を移します」
ノアさんの抱っこで移動して、診察だ。
まず喉だ。魔法で喉を調べているみたい。
「これはっ!」
「まさか。こんなことって」
わかったようだ。
今度は服を脱ぐ。
2人は目を見開いた!そして父を呼んだ。
「っ!!フィー。これは?!」
「宰相閣下明らかな虐待です。これは酷い」
まあ痣だらけだからな。
「それから、声ですが魔法で封じられております」
「は?」
「これは中々強力な魔法ですし、もう何年もそのままだったようなので正直治るかどうかはわかりません」
治らないかもしれないのか。仕方ない。
もうどっちでもいい。
父は打ちひしがれているようだ。
疲れたなー。眠ってもいいかな?