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48.ファール国王視点

 もう国との繋がりなどどうでもいい!と思い伝えるとセリアンスロゥプの王とその妃はおろおろと

しだし、ついにフェイリークの第二の父といっても過言ではないであろう王弟からの怒号が飛んだ。


それで我に返った王子の口から出たのは

「番…」

だった。


番というものは一応知識としてはある。

番というものは幻と言ってもいいほどに稀にしか存在しないものであり、出会った瞬間にわかるのだという。


それを聞いたルーカスは、怒って帰ってしまった。任されたからには腹が立ってもこの場を収めねばならん。


番であるならば是非婚約者にと願う気持ちもよくわかる。

だが、相手方にそれも知らせず脅すように婚約を取り付けて顔合わせに来ない婚約者。来たかと思えば番がおり、さらに女たらしを証明するかのように侍女をたくさん侍らせてやってくる。

フェイリークの気持ちも考えてくれ!

と思ったところへ"番"発言である。


「セリアンスロゥプの王よ。そこの王子は今、番と言ったのか?」


「ああ。どうやらフェイリーク嬢はヴィットの番のようでな」


「ではどうしてあのような態度なのだ?顔合わせにもおらず、来たかと思えば婚約者などいらんと。番がおると言い、さらにフェイリークを貶めながら来たな?侍女をたくさん連れて」


「それは…」

とセリアンスロゥプの王が答えかけた時、ルーカスを送っていったレイン殿が帰ってきた。


「兄上、これは一体どういうことです?ヴィットの番が姫だって?何の冗談です。あのヴィットの態度で番だって?」


「それは、私たちがヴィットに内緒にしておいたんだ。驚かせようと思ってな。当日になってヴィットに言ったら逃げてしまって、女性に弱いヴィットを捕まえるには侍女を使うのが手っ取り早い」


当事者である王子に内緒だと?

当日に伝えるなど嫌に決まっておるではないか!


「それで、結果がこれですか。一国の王が息子を諫められないとは情けない。甘やかしすぎだ!!縛り付けてでも顔合わせに来させるべきだった。初めから来ないなど、軽んじているのと同じだろう?そのせいで姫は傷ついたんだぞ!!王と王妃だからと言ってしていいことと悪いことがある」

私も腹が立っているが、レイン殿はすごい剣幕だ。


「考えてもみなかっただろう?王妃殿下、あなただったらどう思う?

急に話したことも無い相手と婚約させられる。国王が断っても、解決していた国の失敗をとられ無理に婚約を取り付けられる。

一貴族令嬢がだぞ?王族の失敗を王族でなく一貴族令嬢が尻ぬぐいをするんだぞ?

了承し、行った顔合わせに婚約者はいない。ああこの婚約を婚約者は認めていないんだな。

そう思っていたらやっと婚約者が現れた。

番がいるから婚約者などいらん。と言い、行儀悪くも婚約者の悪口を言いながら侍女をたくさん侍らせて謁見室にやってくる王子。同じ女性としてどう思います?」


確かにうちの愚息のせいでもある。

王妃は顔を青ざめさせて俯いた。


「ヴィットもヴィットだ。お前が女好きであろうがどうでもよいが、婚約者が決まったのなら義務を果たすのが礼儀だろう。いい加減にしろよ?王子だからといって好き勝手して、こんな時まで逃げ回り、悪態をつきながら謁見室に来るなどどういう神経してるんだ。一から王子教育をし直せ!!」


普段温厚なレイン殿がキレると相当怖いことはよくわかった。


「それで、番とは一体何の冗談でどの口が言ってるのです?」


微笑んでいる。怖いぞ。

王弟の方が王の器があるのではないか?



こんな大事になったなら、フェイリークの事情は話してより同情を買ってやろう。

罪悪感に苦しんでしまえ。



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