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47.セリアンスロゥプ国王視点

 私たちはセリアンスロゥプの王である。私と王妃のティリアは結婚し子供にも恵まれ仲睦まじいが番ではない。

番同士で結婚した夫婦は私たちが知る限りではいない。それぐらい番に出会える確率は極々極々稀である。


だから、獣人でも皆番を求めることも無く結婚したい者は結婚するししたくない者は独身でいる。


獣人族は人族のように結婚しないと一人前だと認められない!とか嫁にいけないのは欠陥があるからだ!とかも言われないのである。相性があるからだ。

人族より私たちセリアンスロゥプの者は魔力が多く、相性が悪いとそばにいられないほどだ。魔力の相性が良くないと結婚などできないから、皆魔力の相性が良い者がいれば結婚するしそうで無い者は結婚もしない。


私と王妃は魔力の相性が良かったため結婚した。息子が3人もできて、王の器である獅子の子も生まれた。

この国の王は代々、獅子である。

獅子が王に向いているから、獅子が生まれると順番関係なくその子が次期王になる。

うちの場合は1番目が獅子であったから喧嘩もおきず、皆仲良く成長した。

息子たちはもう立派な大人であるが、相手はまだいない。


ある日、隣国であるファール国から夜会を開いて仲良くしようじゃないかと連絡が来た。

断る理由もないし、弟のレインが行って帰って来ないぐらい良い国なのだろう。

うちからも何人か行かせることにし、王子も二人行かせることにした。


すると、帰るなり次男のヴィットが。

「今日の夜会、今までに感じたことがないぐらい甘くていい香りがしたんだ」

三男のルイスは

「僕も叔父上も何も匂わなかったんだけどね」

と言った。


その時はほぉ。と聞き流していたのだが。

何度かそんな事が続いたとき、私と妃は気付いたのだ。

それが番であると!!番とは、その人にしかわからない何とも良い香りがするらしい。本能に刻まれており、近くへ行くと抗えないのだとか。


番など、幻のようなものだ。

私と妃はヴィットが言っていた日の夜会をリストアップしレインに調べさせた。

すると、フォレスト公爵家のフェイリーク嬢へと行きついた。

フェイリーク嬢は何とも可愛らしく美しくきちんと話もできて頭も良いのだとか。ルイスからもそのような話を聞いたし、これを逃す手はない。

あの女性とみたらふらつくヴィットも番がいれば、まともになるだろう!

と婚約を打診することにした。

すると断られた。

王子なのに、断られるのか。


「娘のために宰相をやめるぐらい娘を大切にしてるんだよ!あの女性にだらしない兄上の相手など断るに決まっている」

とルイスに言われたが、せっかく見つかった番を逃すわけにいかない!

ちょっと卑怯だが、この間の不敬な令嬢の話を持ち出そう。

そうして、婚約を取り付けることに成功した。


ヴィットには内緒にしておこうと黙っておいた。サプライズだ。

顔合わせの日になり、婚約者が出来て顔合わせだとヴィットに伝えると逃げた。


ヴィット不在のまま、ファール国のみなと会うことになったのだった。

ファール国の国王まで来るとは思わなんだ。

チクリと嫌味を言われたが仕方ない。


令嬢は確かに妖精のように可愛らしく大層整った顔をしておる。


家族を紹介し、ヴィットがいない言い訳をしようと思っていたところにヴィットがやって来た。たくさんの侍女に連れられて、令嬢の文句を言いながら。

確かに侍女にヴィットを捕まえるように言ったが、そんなに楽しそうに皆で来るとは思わなかったし

大声で、この婚約や令嬢を悪く言うなどと誰が思おうか。マナー違反しかしていない。王子であるのに何をしているのか!甘やかしすぎたか!


その瞬間ファール国のみなから殺気が溢れ、令嬢も勘違いしたようだった。

お飾りの正妃や側妃になどしようはずがない!番だぞ!

だがそれを知らない令嬢が勘違いをするのも無理はないか。


言うが早いか、令嬢は護衛に抱えられ帰っていった。

転移を許してほしいとの条件を軽く呑んだが、こんなすぐに使われるとは思わなかった。


その後、ファール国王から

もう繋がりを持つのもやめるし、あの件も慰謝料をはらうから令嬢を諦めてくれないかとまで言われてしまった…


こんなことならヴィットに初めから言っておくのだった。番を見付けて婚約者にしたぞ。と。

そうすればこんなことにはならんかった…。


と考えていると、レインから怒号が飛んだ。


令嬢を見てから固まっていたヴィットもやっと動いて言ったことは

「番…」


それを聞いて余計に公爵は怒って帰ってしまった…。


どうするか。



ちゃんと王様やれてます?ってぐらいポンコツですね。


番の定義はご都合です!

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