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46.父(ルーカス)視点

 ローガン殿下の婚約者が何かしでかさないかと心配していた夜会の日。

見事に彼女はやらかした。私はセリアンスロゥプの宰相の相手をしていたので現場は見れていないが、会場がざわざわしていたこととローガン殿下が陛下に報告に来たことで事件が起きたことを知った。

それをフィーが収めたことも。さすが私の娘だ。

家に帰り、フィーからも同じような報告を受け陛下に伝え事件は解決した。

と思っていた。


ある日陛下に呼ばれ、執務室へ行くと

「ルーカス、すまない」

?なんだろうか?


「セリアンスロゥプがフェイリークを求めている」


「は?」


「第二王子と婚約させたいと」


「もう一度お聞かせ願えますか?」


「すまない!!!フェイリークを第二王子の婚約者にしたいとセリアンスロゥプから打診があった」


「お断りを」


「断ったさ!!もちろん!フェリーク以外でどうかとも問うた。だがこの間の件を持ち出された」


「…」


そんなことがあるか?許したと言っていたではないか。どうしてフィーなんだ。

どうして!!


「第二王子…」


「ああ。第二王子だそうだ」


よりにもよってあの女好き。話をした第三王子でなくあの女好きの相手。


フィーには幸せになってほしいのに、相手があれでは期待はできない。フィーも好いてはくれるだろうが他に何人も愛人を囲いそうだ。

フィーに伝えるのが心苦しい。


「帰って伝えます」


「そしたらフェイリークとまた登城してくれ」


帰ってフィーに伝えると。フィーは納得してくれた。本当にできた娘である。

フィーと一緒に登城して、フィーは条件を取り付けた。

「だって嫌なことがあったら帰ってきたいじゃない?」

と言った娘に涙が出てくる。


どうしてフィーだったのか。レイン殿下に聞いてもわからなかった。

そうして顔合わせの日。あいつはその場にいなかった。

フィーでないといけないと言ったくせにいないとはどういうことだ。

しばらくしてやってきたヤツは、フィーの文句を言いながら侍女をたくさん侍らせてやってきた。

殴りたい。

顔合わせだと言っているのにいないヤツにも、フィーでないといけないと言ったのに息子を縛り付けてもおけないセリアンスロゥプの両陛下にも腹が立つ。


フィーは何かを呟き。


悲しいことを言うだけ言ってロイに抱っこしてもらって帰っていった。ヤツがあれだけ侍らせてるんだフィーが護衛に抱っこされるぐらい許されるだろう。


番がいるのに、他の妃を求めるとはどういう了見だ?


陛下が国と国との繋がりを無くしてでもフィーを諦めてくれと言ってくれたことには感謝しかない。


するとセリアンスロゥプの両陛下がおろおろしだした。

はあ?お前たちが脅すようにして婚約させたんだろうが!

とイライラしているところに

レイン殿下の怒号が飛んだのだった。


そしてフィーを見てから固まり続けていたヤツが


「番…」


と呟いた。


はあ?



フィーが番だと?どんな冗談だ。


「セリアンスロゥプの両陛下、私はこれ以上の話を聞いていたくありません。娘のメンタルケアをせねばなりませんので失礼いたします。この後のお話は陛下とレイン殿下へお願いします。レイン殿下送っていただけますか?」


「もちろん」


「よろしくお願いします」


フィーの元へと転移した。

フィーはセオドアの腕の中で目をつぶりジッとしていた。


「フィー」


「お帰りなさい。お父様。レインさんも父を送っていただきありがとうございます」

と力なく微笑んだ。


「姫。うちの甥が大変申し訳ございませんでした」


「レインさんのせいではないから」


「ですが…あれと婚約させてしまった兄夫婦のこともお詫び申し上げます」


「仕方ないですもの。番がいるのになぜ私が結婚しなければいけないのかという疑問は残るけれど、王子妃の仕事がまわらないのかしらね」

とフィーは無理に微笑んでいる。


「いや、そんなことは…」

言えないよな。フィーが番らしいぞ。とは。あんなに女どもを侍らせて現れたのを見てるのだからな。


「私が我慢すれば良いのだから大丈夫。我慢は慣れていますわ」


そんなことに慣れないでくれ。


「フィー。すまない」


「いいの。お父様謝らないで。セオやロイや皆に付いてきてもらうもの。それなりに楽しいはずよ」


とフィーは空元気で言うのだった。


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