34.デビュタント
本日2話目です。
いよいよデビュタントだ。ドレスは私が自分でデザインしたものだ。
この容姿を最大限に生かすべく、ふわふわのベルラインのドレスだ。
色は白と決まっているので生地にはチュールをたくさん使って軽やかにフリルは少なめに上品に。
胸元には生地で作ったバラを一つ。ウエストはより細くしっかり強調し、スカートのチュールの部分には白銀の光沢のある刺繍糸でバラが刺繍されている。
ドレスに光物は付けずアクセサリーで調整する。ネックレスとイヤリングはお父様がプレゼントしてくれた。
私の不思議な瞳の色にあわせたエメラルドだけど、ブルーにも見える石をお父様が探してくれたらしい。
髪型もメイクもミーナにお任せだ。
ミーナの方が私を綺麗に見せる方法を知っているから。
複雑に編み込まれてハーフアップになった髪に、ナチュラルだけど華やかなメイク。
「お嬢様。妖精です。いや精霊様?とてもとてもお美しいです。さすが私のお嬢様です!」
長く一緒にいて見事お嬢様ばかになってしまったミーナは大げさだ。
まあ前世の私の感覚でもフェイリークは可愛いし美しい。
「フィー準備はできたかい?」
お父様が迎えに来た。
「はい。お父様。どうでしょうか?」
「…」
「お父様?」
固まってしまった。
「フィー!とても美しいよ!」
「ありがとうお父様」
私は父に似ていると思う。母も美しかったからどちらに似ても美しくなる未来しかなかっただろうけどね。
父は母の生き写しじゃなくて良かったと思っているだろうな。
王宮へ向かう。
爵位が低いものからの入場になるので、私は一番最後だ。
入場を待っている間に周りを観察してみる。皆可愛らしい。
「フィーが一番可愛いし美しいよ」
と親ばかが爆発しているお父様。
「親ばかね。お父様」
そうしてようやく
「フォレスト公爵ルーカス様、フォレスト公爵令嬢フェイリーク様」
さあ令嬢スイッチONだ。
入室して
カーテシー
その場が静まり返る。
母直伝の私のカーテシーは美しいはず。2歳やそこらからカーテシーをし続けてたんだから。
「フィーを見てみな驚いてるね」
「どうして?」
「滅多に社交場へでないだろう?同年代以外の人は初めてフィーを見るんだ。妖精を見ているようで驚くんだよ」
「そう?」
父が親ばかすぎてお話にならないわ。
「さあ陛下へ挨拶しに行こう」
「フェイリーク久しぶりだな。デビュタントおめでとう。小さい時から可愛かったが美しくなったな」
「ご無沙汰しております陛下。ありがとう存じます」
にっこり笑ってカーテシー。
「フィー今日も素敵よ。妖精に磨きがかかってるわ」
王妃様だ。
「ありがとう存じます。王妃殿下」
「フィー、久しぶりだね。相変わらず可愛いね」
と王太子殿下。
「ご無沙汰しております。王太子殿下」
「話せるようになってよかった!あとでダンス踊ろう」
ええー。やだよぅ。目立つじゃない。
「フィー久しぶり!兄上じゃなくて俺と踊ろうよ」
ローガン殿下だ。
「王子殿下方はお忙しいでしょうし、フィーには私も兄達もいますから大丈夫ですよ」
と父が断ってくれた。
「まあたくさん誘われて困ったら踊ろうよ」
と無事挨拶を終え。
お父様とファーストダンスだ。
「フィーはダンスもうまいんだな」
「たくさん練習しましたもの」
「うちの娘は非の打ち所がないな」
「親のひいき目ですわ」
お父様とダンスを終えたら、お兄様たちと合流だ。
「「フィー!!デビュタントおめでとう」」
「ありがとうお兄様」
「フィーはいつも可愛いけど、今日はとびっきり美しいね」
「そうだね。会場中がフィーに釘付けだ」
相変わらずシスコンである。
「フィーは可愛いからな」
「ええ。フィーちゃんが一番妖精みたいにこの世の物とは思えないほど美しいですわ」
オーロラお義姉とアメリアお義姉様だ。2人ともシスコンだけど、アメリアお義姉様のほうがおかしいのだ。
「ありがとうお義姉様」
そのあと兄二人と踊って何事もなく(陰口はいつでも叩かれているので気にしない)平和にデビュタントを終えたのだった。
とっても親ばか