33.ライオネル
本日も2話更新です。
ヴェル兄様が働き始めて家にほとんどいなくなってから、私のダンスのパートナーはほとんどライオネルだ。
私がデビュタントを迎えた後は、護衛もかねてライオネルがパートナーになるらしい。
平民じゃ夜会に出られないからライオネルかセオになるのだけど(セオも隣国の貴族らしい)、セオは爵位が低いから絡まれたときに対処ができないのだそう。
じゃあライオネルの身分は?ってとこなんだけど
ライオネルはなんとびっくり、オーロラお義姉様の兄だった!
ということは伯爵家!いくら3男坊とはいえ何で私の護衛なんてやってるのか。
どうりで!所作が上品だと思った。キラキラしい容姿も納得である。
お父様やウィル兄様はもちろん知ってたんだろうけど、私は何も知らなかったからすごい驚いた。
ウィル兄様はそれもあってオーロラお義姉様を捕まえたとこもあるんだろうな。
「ライオネルはどうして私の護衛になんてなったの?ライオネルの家柄と容姿なら王宮騎士とかになれたでしょう?」
「そうですね~。お嬢様にこんな話をするのもあれですけど、僕ねモテるんですよ」
うんうん。そうだろうね。
「小さい時から色んな女性に追いかけまわされて大きくなってからは、令嬢だけでなくご婦人方に愛人にと誘われるようになったんですよ。もう正直疲れてしまって社交界から離れたかった。王宮騎士になんかなったらそれこそご令嬢に付きまとわれるでしょう?」
あー。キャーキャー言われて追いかけまわされるのが目に浮かぶ。
「そんなときに公爵家で護衛を雇うという話を耳にしたんです。チャンスだと思いました。公爵家なら僕が雇われててもおかしくないでしょう?」
「ご両親は反対しなかったの?」
「子供の時から女性に煩わされてきたのを知ってるから応援してくれましたよ。それで無事お嬢様の護衛となれたのです」
とウインクしなから答えた。
ライオネル、そういうとこだぞ!
「でも私がデビュタントを迎えた後はパートナーになってくれるのでしょう?社交界へは出たくないのにいいの?」
「僕の家柄と腕が役に立つんですよ?それにお嬢様というパートナーがいる。これで秋波を送ってくる女性は減るだろうし、僕には役目がありますからね。守りますよお嬢様!」
キラキラしい。
そういうとこだぞライオネル!!
「無理はしないでね。私もパーティーなんか出たくないんだから」
「お嬢様はそういうわけにいかないでしょう?公爵家唯一の姫なんですから」
「はあ。お相手見つけるって話?」
「僕が虫よけになっても釣書がわんさか届くでしょうね~」
「ええー。喋れもしない人形なのに?」
「お嬢様はご自分を低く見積もりすぎです。お嬢様は誰にでも優しく、賢く商才も魔法の才もあり美しい。欠点がないではありませんか」
「それは護衛のひいき目でしょう?美しい人なんてそれこそご令嬢皆そうじゃない」
はぁー。とライオネルがため息をつく。
これだから…となんかブツブツ言ってるが無視だ。
「結婚したくないけど、そういうわけにはいかないのが貴族よね」
「もしお嬢様や旦那様のお眼鏡にかなう相手がいなかったら僕なんてどうです?おじさんだけど」
とライオネルがまたウインクしながらおちゃらけてくる。
だから!そういうとこ!!
「ふふっ。ライオネルはまだまだお兄さんじゃない。ふふっ。ありがとう。考えておくわね」
と、私も笑っておちゃらけて答えた。