3.助けはいつ
3歳になったけれど、私の体は小さい。ガリガリだ。フリフリの服で誤魔化してるんだろう。
私は文字を覚えようと本を読もうと思った。
いつも気の毒そうにしているエバンスに、ジェスチャーで伝えてみる。母とはお話にならないからね。
エバンスは何とか汲み取ってくれ、絵本を何冊か部屋へ運んでくれた。
ここでチートが発覚した。
文字が読めるのだ!これで文字を書くのを覚えれば良さそう!
本を読む時間は、母が朝寝ている時間だったり、ご飯の時間だったりいない時間に読んでいる。
バレるとまた叩かれるから。
今日は父が久しぶりに帰るらしい。
母の機嫌がよかったから。
「フィー!ひさしぶりだな!相変わらず可愛いな!しかし、軽いな?女の子だからか?」
そんな訳がない。男の子二人だった弊害だな…
「まだフィーは喋れないのか?」
「ええ。医者にも見せたのだけど、わからないって」
「そうか…」
父が何か考えている。
「フィー。今日は一緒にご飯食べるか?」
母を伺ってみる。母が頷いたので、私も頷く。
抱っこで移動だ。
お膝抱っこのままご飯の時間だ。
「フィー、何が食べたい?指差してごらん?」
何が好きかもわからない。だってこの世界のちゃんとしたご飯は食べたことが無いから。
首を捻っておく。
「オリヴィア、フィーの好きなものは?」
「フルーツですわ」
適当に答えてる。
「そうか。じゃあ、これを食べなさい」
フルーツを盛り合わせてくれた。
食べてみる。よくわからない。声が奪われているから喉にも影響しているのか味があまりしないのだ。
「おいしいかい?」
適当に頷いておく。母が怖いから。
すぐお腹はいっぱいになる。普段ほとんどご飯は食べてないから少しで十分だ。
「もう食べないのか?」
「この子は少食なのですわ」
「女の子だからかな?」
父はなんとなくで納得している。
しばらくぼーっとしていると
「フィー?」
どうしたの?と首を傾げる。
「どうして泣いてる?」
?泣いてないよ?にっこり笑っておく。
「何か悲しいのか?笑わなくていいんだぞ?」
首を振ってにっこりしておく。
父が痛ましそうに見ているが、今は何も悲しくないぞ?
夕食が終わると、母の時間だ。
「また泣いたわね?笑顔だと教えたでしょう!?どうしてできないの!!」
ぶたれる。もう慣れたな…何も感じない。
父が帰っているから割と早く終わった。もう寝よう。
次の日、お客様がやってきたと私も呼ばれた。
「フェイリーク?」
「まあ!可愛いわ!」
どうやら父の両親らしい。
にっこり笑顔でカーテシーを披露する。
「まあ!もうカーテシーができるの?」
こくりと頷く。
「フェイリークは喋れないのか?」
「ええ。医者にも見せたのですけれど、原因はわからないそうですわ」
と母が説明する。
「フェイリーク、じい様の膝へおいで」
抱き上げられる。
「随分軽いな。それに小さい」
「この子は少食なものですから、中々成長しないのですわ」
ぼんやり眺める。
「フェイリーク、お菓子食べるか?」
「そうしなさい。これが美味しいのよ?」
こくりと頷き食べる。
「おいしい?」
適当に頷いておく。
「私達はしばらく滞在するから、フェイリークと過ごそうかな」
「そうしましょう」
これには母も何も言えないみたいだ。
夜部屋で母にまた"躾"られていた。
何に腹が立ったのか知らないが、この日は酷かった。殴る蹴るの暴行だ。
もうそのまま寝てしまおう。疲れた。