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29.兄達のお相手

 声が出せるようになった私は、皆と話しているうちにつっかえずに流暢に言葉を発することができるようになっていった。


「お父様、私声が出せるようになったけどしばらく今まで通り話せないという体でいたいです」


「どうしてだい?せっかく話せるようになったのに」


「これからも極力社交場へ出たくないのです。大人になればそういうわけにもいかないだろうしデビュタントまでは今まで通りで話せないという設定でお願いします」


「フィーがそうしたいならそうしなさい。ただし、陛下や王妃殿下にはお伝えするよ」


「わかりました」


初めてお茶会に参加してからも、王家主催のもの以外は社交をしていない。

王家主催のものに参加しても、いつも同じ。

陰口をたたかれて、私は黙ってお茶をいただいてしばらくしたら帰る。もうこの流れが定番だ。


ほとんどが私が話せないのを知っているから話しかけられることもほとんどないし、話しかけられても話せないので扇子を広げて終わりだ。

激高してくる人もいるけど私公爵家の令嬢だし、物理的にも強いからね。

正直楽。だって喋らなくてもいいんだもの。しばらくこのままでいたい。



リアム殿下もご成婚されたし、ローガン殿下にも婚約者がいる。

私はそちら関係で噂されることもなく実に平和である。



ちなみにウィル兄様も結婚して今は新婚さんなので別邸にいる。

ウィル兄様はリアム殿下の側近で宰相補佐をしている。

うちは代々宰相を生み出す家門だからまあ当然かな。お父様は私のために辞めたけど、お兄様に指導してるみたい。


そんなお兄様のお嫁さんになる人はそれはもう争奪戦だった。

お嫁さんの座を勝ち取ったのは、特にお兄様と結婚したいとは思っていなかった伯爵家のお嬢様で現在騎士をされている。

お名前はオーロラ様というのだが、そのオーロラ様なんと私のファンであるらしい。

王宮に通ってた時期に案内や護衛に付いてくれたこともある方で、お兄様より私に興味があるところをお兄様が見初めたらしい。

何ともシスコンがすぎる話である。



ヴェル兄様も同じような感じだ。

ヴェル兄様は現在魔法騎士になって王宮に勤めている。

お相手は侯爵家のお嬢様であるアメリア様だ。アメリア様は一人娘なのでお兄様が婿入りをするという話になっている。

滅多に出ない社交場で私を見てから、お兄様に猛アタックを始めた肉食系女子である。

猛アタックの理由が私であるためお兄様も警戒心が無くなり、次第に意気投合(私で)。無事婚約と相成ったわけだ。


ウィル兄様もヴェル兄様も妹から見ても男前で優しくて素敵なのだが、シスコンすぎるところが玉に瑕。でもその欠点はお相手から欠点じゃなく見えているのだから万々歳だ。


オーロラお義姉様とアメリア様はピクシーの広告塔でもある。

二人ともとてもお美しい。オーロラお義姉様は凛とした美しさでアメリア様は少し妖艶な雰囲気の美女だ。

そんなお二人がお兄様達とペアで夜会に出るだけで、注文が殺到する。ありがたやありがたや。


今まで女性の知り合いがいなかった私も、今ではお二人と気さくにお茶会をする仲にまでなった。

もちろんお二人は家族なので私が話せなかった理由から、現在話せるようになったことまでご存じである。


シスコン兄お相手できました!

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