23.ミーナ
ある日王宮の帰り馬車の窓から外を見ていると、丸い毛の生えたものが落ちていているのを見つけた。
近づいてみると、三毛猫だ!しかも子猫かな。小さい。ケガしてるみたい。随分汚れているところを見ると飼い主はいない?
気になることは多いが、とりあえず治療しないと!
屋敷に連れて帰って、医者を呼んで見てもらったら軽いけがと栄養失調だと診断された。
よし!お父様も何も言わないと思うし、この子飼おう!!
と思っていたら、セオが
「お嬢様が拾ってきた猫、そいつ獣人ですよ」
ええ?普通の猫じゃないの?
動物か獣人かは獣人同士にはわかるらしい。見た目は同じに見えるんだけどな。
拾ってきたものは仕方ない。
とりあえずケガが治るまではここで面倒をみて、どこから来たかどうしたいのか聞かないと!
お父様にも報告して面倒を見ることになった。
おとなしくしていてくれたので2週間もあれば回復したようだった。
回復した三毛猫にロイを通して話をする。
まずは人型になれるかだ。
「お嬢様が、人の姿になれるのか?って聞いてるぞ」
するとすぐに8歳ぐらいの女の子の姿に変わった。裸だけど。
茶色い髪にシトリンのような黄色い瞳、茶・黒・白の耳と尻尾の可愛い女の子だ。
服を着せて、話をする。
「名前は?」
「ミーナ」
「親は?」
「いない。捨てられた」
ふむ。行くところがないようだし、私には拾った責任もある。
本人の意思を確認しないとだけど、私の侍女になってもらったらいいのでは?
「ミーナ学ぶ気はあるか?学ぶ気があるならここにおいてやる」
「頑張る」
「よし!お嬢様が頑張って侍女になってって言ってるぞ」
「頑張ります!」
と私より少し大きなミーナは表情が乏しいながらも元気に返事をしてくれた。
もふもふ要員が増えた!!!嬉しい!
《ミーナ視点》
私はある日いきなり親に捨てられた。
子供が一人で生きていくのは難しくて、街で食べ物を盗んだりゴミ箱をあさったりして食いつないでいた。
お腹がいっぱいになるまで食べられることはなかったし、常にお腹は空いていた。
猫の姿の方が空腹がマシになる気がするから猫の姿でいたら鳥に狙われてケガをしてしまった。
痛いのと空腹とでもうダメだと思って倒れていたら、人間の女の子に拾われた。
ケガを治してくれて、家にも置いてくれるという。もう私には行く場所がない。
私を助けてくれたこの子の役に立ちたい!
そう思った。
女の子は喋らない。
どういうわけか、あのロイという男の人には女の子の言ってることがわかるらしい。
その後私は、色んなことを教えてもらった。
ここは公爵家で、公爵家とは王家の次に力のある貴族でこの国での立ち位置や
あの女の子、お嬢様の今までのこと。喋らない理由も。
教育を施してもらいながら侍女になるべく教えてもらえることを全部吸収していった。
基本的には無表情なお嬢様だけど、笑ったら可愛くて優しくて、もふもふが好きで強いお嬢様を守れるようになろう!
私は今はまだ子供だけど、拾ってもらったお嬢さまのために立派な侍女になることを決意した。
もふもふの侍女が付きました。