13.痛み
他視点入ります。
その日は誰もまだ部屋に来ていなくて、王宮の与えられている部屋で一人のんびりお茶をしていた。
いつも誰かしら侍女さんが来てくれて、身の回りのお世話をしてくれる。
お茶も用意してくれるので何も考えず口にしていた。
しばらくすると、呼吸が苦しくなりだんだん目があけられなくなり私の意識は暗闇に消えた。
《レイン視点》
私は今日も姫君を迎えに行く。
姫君はとても小さく愛らしい獣人からすれば庇護欲が掻き立てられる存在で、私の癒しだ。
実母から虐げられ声を無くしたというのを聞いて許せなかった。
私は魔術士だ。姫君にかけられた魔法を解いてみせる。そのため毎日姫を迎えに行き、解術を試みる。
だが、何の魔法か特定もできないしこんな魔法見たことがない。
ほんの少しずつしか解術できず、進捗はほぼないと言っても過言ではない。
だが諦めない。
姫の部屋へ着き、部屋をノックするが返事がない。
返事といっても姫は返事できないので侍女があけてくれるのだが。
物音一つない。
おかしい。
部屋を開けてみる。妙な匂いだ。いけない!!!この匂いは毒だ!!
私は獣人だから鼻が利く。
「姫!!!!」
姫がぐったりソファに倒れている。
すでに意識がない!!!
医師のもとへと急ぐ。
「姫が毒を盛られた!!おそらく紅茶だ」
「ええ!!!フェイリーク様が?」
診察に入る。その間に宰相に遣いを出す。
「解毒薬は飲ませて毒は解毒できましたが、すでに喉が焼けています。これはフェイリーク様の喉に後遺症が残るかもしれません。ただでさえ声が出せない可能性があるのに…もう声はあきらめないといけないかもしれません」
何ということだ!!
なぜこんなことに。
王宮なら安全だからと王宮で暮らしているのだろう?
安全ではないではないか!
「フィーーーーー!!!」
宰相が転がり込んできた。
医師が同じ説明を繰り返す。
宰相は泣き崩れた。
「またフィーを危険にさらしてしまった。護衛を付けるべきだった。どうしてフィーをこんな目にあわせるんだ。フィーが何をしたって言うんだ」
宰相の両親も駆け付け
「もううちの領地へ連れて帰ろう。のんびり暮らそう」
「ええ。そうね。ルーカス辛いかもしれないけど、この子に王都は無理だと思うわ。大きくなればなるほど喋れない傷物の令嬢だと言われ続けて傷つくのはこの子だわ」
この国では喋れないと馬鹿にされるのか?
傷物だと?
うちの国ではそんなこと言われない。
人の国はろくでもないな。
しかし、なぜ姫ばかりがこんな目にあうのだろうか。
公爵令嬢で本当だったら蝶よ花よと甘やかされ、なんの苦労もなく育っているはずだろう?
3歳でこんなに辛い人生を送るなど神はいらっしゃらないのか!