私×彼女=ポッキーゲームを完璧に証明するまでのポッキーよりも甘いある休日の話
天啓が降りてしまった…天才の発想 (バカ)
「ポッキーゲームをしよう!」
よく晴れた休日の昼下がり。
いつもの平和で幸せな日常。
いつまでも浸っていたいそれを振り払うかのように、私は大声を出した。
「…陽菜、もう一度言ってちょうだい?」
そうどこか呆れた面持ちで聞き返したのは、私の恋人で同居人でもある茉桜である。
「今日は絶好のポッキーゲーム日和だと思わない?だから、ポッキーゲームをしよう!」
私がそう言うと茉桜はいきなり近づいてきて、おでことおでこをくっつけてくる。
突然近くに寄せられた顔に私は赤面して固まるしかない。
あ、まつげ長い。好き。
「どうやら熱はないみたいね…」
「もう、そんなに変に見えた?」
「当たり前でしょ。椅子でうとうとしてたかと思えばいきなり立ち上がっておかしなことを言うんだもの」
「大体、なんでポッキーゲームなの?別に今日がポッキーの日とかそういうわけでもないでしょう?」
確かに当然と言えば当然の疑問だ。
けどこれには海より深い理由があるのだ。
「合法的に、めいっぱいキスをしたい!茉桜の小さなお口を蹂躙したい!」
「ちょっ!ここ集合住宅なんだから、大きい声でそんなこと言わないでよね!」
「とにかく!ポッキーゲームをします」
「まったく…しょうがないんだから」
「でも、今ポッキーとかないわよ?どうするの?」
「買いに行こう!二人で!」
「わかったわ。じゃあ準備しないとね」
そう言って茉桜は、出かける支度を始めようとするが…立ち上がるときに肉付きのいいお胸様がぷるんと揺れる。
ラフな部屋着なのでよけいエロく見える。
ムラッとした私は茉桜に近づいて、後ろから抱き着いた。
「…動けないのだけど?放してくれない?」
「つめたいなぁ、もう…」
抱き着いたまま、立派なお胸をまさぐる。
ふわふわとやわらかく、いつまでも揉んでいたくなる。
「ふぁっ…」
気持ちいいのか吐息が漏れ出した。えろい。
このままベッドに…
「もうっ!」
スパンッ!
はたかれた…もうすこしだったのになぁ。
「昼間からなに始めようとしてるのよ」
「ナニだけど?」
「自重なさいこのエロおやじ!」
怒られた…
「ほら、ポッキーゲームするんでしょう?」
そうだった。私にはまだポッキーゲームが――茉桜との濃厚なキッスが待っているのだ。
こんなところで立ち止まってるわけには、いかない。
「よし、行こう」
「やっと動ける…」
そんなこんなで身支度を済ませ、二人の愛の巣を出てスーパーまでの道のりを並んで歩く。
当然恋人つなぎをしているわけだが、もうすっかり慣れてしまった。
「なにか恋人つなぎに代わる新しいつなぎかたを考えない?」
「どういうこと?」
「ほら、ちょっとマンネリ気味だったからさ」
「そうね…とりあえず一回普通のつなぎかたをしてみる?」
ということで普通に手をつないでみる。
「こういうのも新鮮でいいわね」
「これはいやかな…」
「どうして?」
「指を絡めた方が茉桜を感じられて好き」
それは茉桜も同感だったようで、すぐに頷く。
「…まあそうね。でもじゃあどうする?」
「…もどす」
「やっぱりこのつなぎかたが落ち着くわ」
「そうだね」
そんなたわいもない会話をしつつ、散歩がてらゆっくりスーパーまで行く。
「あ、スーパー見えたよ!はやくポッキー買おう!」
「ちょっと、走ったら危ないじゃない。…そんなに楽しみなの?」
「もちろんだよ!」
「でもキスなら毎日いっぱいしてるわよね?」
「それとはまた違うの!」
「そんなものかしら」
二人でポッキーを選ぶ。
「見て見て!幸せの青いベリー味だって!断面がハートらしいよ!」
「ふーん、こんなのもあるのね。ブルーベリー味か…」
「まさにポッキーゲームのためにあると言っても過言じゃないね!」
「普通に過言だと思うわ?」
「もう、つれないんだから」
「じゃあこれでいい?」
「うん!」
「ついでに晩御飯も買っていきましょうか。なに食べたい?」
「茉桜を食べたい」
私がそう言うと、茉桜は顔を真っ赤にして私の頬をもてあそんでくる。
「恥ずかしいでしょ?真面目に考えなさい」
「「…………」」
「はなふぁないの?」
「陽菜のほっぺがぷにぷにでつい…」
「こほん、とにかく晩御飯よ。何がいい?」
「じゃあ、オムライスかな」
「…もう萌え萌えきゅんはしないからね?」
「えー…あーんは?」
「まぁそれくらいなら…でも陽菜も私にあーんしてね?」
「おやすいごようだよ!」
こうして私たちは、オムライスの材料と幸せポッキーを買って帰ったのだった。
家に着くとすぐに、ポッキーを取り出す。
「よし、やるぞー!」
「先ご飯ね」
「えー!生殺しじゃん!」
「ご飯食べてからお菓子でしょ!…それとも、私のオムライスよりポッキーの方が好き?」
「そうだ!今日は愛情マックスのスーパーオムライスだった!」
そう言うと茉桜は呆れたような表情を見せる。
「勝手に変な名前つけないでよ…それに愛情はいつも込めてるわよ?」
「えへへ、そうでした。なにせ茉桜は私のこと大好きだもんね!」
「…まあね」
照れくさそうに肯定する茉桜がかわいい。
「オムライス何かお手伝いしようか?」
「じゃあ今日は二人で作りましょうか」
「共同作業だね!」
「変な言い方しないの」
「はーい」
「あとはケチャップかけたら完成だね!」
「じゃあかけちゃいましょうか」
ケチャップでお互いのオムライスにハートを書く。
これはうちでオムライスをするときの恒例だ。
それが終わると、時々互いにあーんしあいながら食べていく。
「「ごちそうさま!」」
「さて、ポッキーゲームを…」
「先にお風呂じゃダメ?」
「ん?なんで?」
「今日は外に出たからきっと汗臭いわ」
「私は茉桜のにおい好きだよ?」
「私が恥ずかしいの!」
「しょうがないなぁ」
…というわけでお風呂に入ることになった。
うちはいつも二人で洗いっこしてるので今日も一緒に入る。
あわあわを使ってそういうことをすることもあるけど…今日は我慢だ。
「いつも思ってたんだけど、この浴槽だと二人で入るのきついわね。もうちょっと広いとこに引っ越す?」
「今のピッタリ密着できる状態の方がいいなぁ。茉桜は嫌だった?」
「いやじゃないわ」
「じゃあこのままで」
「…うん」
ついにお風呂から上がる。
…ポッキーゲームの時間だ。
リビングのソファーで向かい合ってポッキーを取り出す。
「なんだか緊張するわね」
「…そうだね。こう、すごく恥ずかしい…」
でも、こうしてても仕方ない。
私は意を決してポッキーを口にくわえる。
目で促すと、茉桜も反対側をくわえた。
ポッキーが途中で折れないように、慎重に食べ進めていく。
ついに…お互いの唇が触れ合う。
しばらくもごもごしてポッキーを飲み込んでから、舌を絡め合う。
そのままどれだけの時間が経っただろうか、どちらからともなく唇を離す。
「――普通のキスとはまた違った良さがあるわね」
「そうでしょ?もう一回する?」
「…体が火照ってきたわ」
ここはあえてとぼける。
「どうしてほしいの?」
「…鎮めてくれる?」
真っ赤になっておねだりする茉桜に欲情した私は、ポッキーを置いて寝室の扉を開く。
その日はすごくはかどって、翌朝二人そろって仕事に遅刻しそうになったのだが…茉桜はポッキーゲームをとても気に入ったらしく、今も時々おねだりされるのだった。
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