同類との再会
ちょっと短めになってしまいました、申し訳ありませぬ
一之瀬 千夏を見つけてからはひどいものだった。
色々説明をしてくれている先生の話は全く頭に入ってこないし、入学式でもずっとボーっとしていた。幸い、そのことはばれず初日から先生に目をつけられるという最悪な事態は回避できた。
「はぁ・・・」
俺は意味もなく溜め息をついてから席を立ちあがる。入学式と先生の説明も終わり後は帰るだけとなったので俺は家に帰ろうとする。
「なぁ、進藤だったよな?」
いざ、帰ろうとするとクラスメイトらしき男子生徒が話しかけて来た。
「あぁ、そうだがどうした?」
「この後、クラスのみんなで友好を深めようって話になってカラオケに行くことになったんだが進藤も来るか?」
話し方が妙にたどたどしいところを見ると、おそらく仲間外れにならないように参加しなそうな奴にも声を掛けているんだろう。
「俺は・・・いいや」
それに対して俺は一之瀬をチラッと見てから行かない旨を伝えた。
クラスの中心人物になろうとしている一之瀬は必ず行くのだから余計なことをして会いたくないというのが一つ目の理由。
バイトをしている訳でもないのでお金を無駄遣いしたくないというのが二つ目の理由だ。
「そっか、じゃあな!」
俺がそう伝えるとその男子生徒は次の生徒を誘いに行った。今度こそ俺は教室を出た。
「・・・」
「・・・」
下駄箱へ向かう俺の後ろには何故かもう一つの足音が聞こえる。
「・・・」
「・・・」
いつまで経っても離れる気配がないので少し歩くスピードを速める。すると、その後ろの足音も早くなった。
「何の用だ?」
後ろに振り向くと、そこには朝の不思議な女子生徒がいた。その顔には俺と同じように張り付けたかのような薄気味悪い笑顔があった。
「う~ん、何の用だろうね?」
俺の質問にその不思議な女子生徒は質問で返してきた。その薄気味悪い笑顔からは何を考えているのか察することもできない。
どう話をすればいいのか分からない俺は口を閉じ、その不思議な女子生徒はニコニコし続けるのみだ。
「君、名前は?」
しばらく、沈黙が流れると唐突に不思議な女子生徒が話しかけて来た。
「・・・進藤 正輝だ」
俺は少し警戒気味に答える。
「じゃあ、マサ君だね!」
名前を聞いた不思議な女子生徒はそう言った。いわゆる、『あだ名』と言うやつだろう。
「・・・」
話についていけず、呆然とする。
「あっ、私の名前は『蘭城 遥』だよ。気軽に遥って呼んでくれてもいいんだよ?」
蘭城はあざとい笑顔で俺のことをからかってくる。
「呼ばんし、お前はみんなとカラオケ行かないのか?」
そして、俺はふと気になったことを聞いてみた。
彼女は初めて会ったときもそうだったが小柄だが胸は大きく、適度に痩せているため美少女に分類されていると思う(自己判断)
そんな彼女が女子とお近づきになりたい男子たちから誘われないわけがないのだ。
「・・・う~ん、確かに誘われたけど興味ないかな」
蘭城は周囲のことを遠慮することなくそう言った。幸い、誰もいなかったため聞かれることはなかったようだ。
「お前、こんなところで言うかそれ?」
俺は思わず半眼で突っ込む。
「だって、あんな下心丸出しの人たちと仲良くする必要性は感じないも~ん」
しかし、蘭城からは一向に反省している風には見えない。
「それで?結局、何の用なんだ?」
「・・・ちょっと一緒に来てよ」
先ほどまでののほほんとした雰囲気とは正反対に蘭城は俺の前を歩きだした。一変した雰囲気に少々、気圧されながらも俺は彼女の後ろをついて行った。
一話投稿しただけでポイントがついてたので驚きました。
では、また次回でお会いしましょう。サラバ!