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邪神様との契約モノ  作者: オスめこ
2/8

閻魔様

気が付くと俺は白い部屋にいた。


いや、部屋というには何もなさすぎる。おそらく廊下だろう。壁や床は真っ白だが、前方はひどく暗く、5メートル近くしか目視できない。


「なんなんだここは・・・」声は出すことができる。何か気になって、喉を触ろうとすると、どういう訳か触ることができない。


「?」いや違う。 腕がない。


それどころか足も、胴体も、顔すらないのだ。自分の外見が全く分からないが、なぜかそのことについてあまり気にならない。だか異常事態には変わらない。今の出来事について解決できることを探して歩いてみると、一人の男性を見つけた。その男は白いスーツに身を包み、僅かに見える黒いシャツと橙色のネクタイが良く映えていて、無表情な表情と眼鏡が合わさってとても知的に感じる。執務室にあるような机にいくつかのファイルが綺麗に整えられており、仕事をしているのだろう書類をパラパラとめくっている。


「ようやく来たか。始めまして死亡人。こちらに来い」

つまらなそうにそう話すと、彼はまた書類に目を移している。

「・・・・」初対面の人間に対してどうとか、思うことはあるが深くは追及しない。やはり、としか感じなかった。


「初めまして私はー」「知っている。それよりも私の話を聞くがいい」「・・・はい」

「もう想像ついているだろうが、お前は死んでいる」

やはりか。夢であって欲しかったが、まあそうなのだろう。

「しかし、お前の想像する審判者はまた綺麗だな」


?何を言っているんだろう。


「私はお前たち人間が想像する審判者だ。地獄、もしくは天国行きを仕分ける者。人や地域によって変わるのだ」

「・・・閻魔様ということですか?」

「まあ日本人の大半はそうだな。神々しい髭を蓄えた老人の場合もあれば、巨大な鬼のような姿の時もある。動物の姿もあり得るし、実態がない場合もあるぞ」

「バリエーション豊富ですねー」

「ああ、お前たち人間の想像力にはとても驚かされるよ」

なんてこった。俺にとって閻魔様は知的なインテリ眼鏡とは。しかしよく話すなこの人。


「さて、挨拶はもういいだろう。大塚勝人よ。これより審判を行う。これにより、お前の生まれ変わりを決める」

「生まれ変わり?」

「そうだ。貴様を天使にするか、悪魔にするか。もしくは新しく生誕するか。お前の善行と悪行をもって判断する」

「天使と悪魔・・ですか?何をするんですそれ」

「天使は天国を住まいとしており、目についた人間の良感情を高めるのだ。幸福感とかな。それにより善行を行えるよう誘導する。対して悪魔は地獄に住んでおり、悪感情を高める。苛立ちや嫉妬などの感情を増幅させ、悪行に走らせるのだ」


・・・その説明だと悪魔の必要性に疑問を覚える。天使だらけでみんなハッピーがいいだろ。俺も自殺とかせずに済んだかも。


「貴様の考えていることはよく分かるぞ。天使だけのほうが幸せになろうとな」

「では―」

「いいか、人間の感情とは善悪合わせてこそのものだ。一方の感情しか持たぬものなど、狂人の類だろう?

大切なのはバランスであり、お前たちの感情こそが、人間たらしめる物なのだ」

「・・なぜ天使と悪魔なんて存在があるのです?」

「無論お前たちがそう願ったからだ。いや、創造したと言えばいいか?その想像を利用して死後の人間の仕分けを決められるのだからたまらんな大塚」


つまりなんだ。人間がみんな悪魔や天使はこうあるべしと考えるから死んだあとの就職先が生まれてんのか?やめてよ。普通に新しく生誕でいいだろこんなもん。


「そうはいかん。人間の感情が消え失せてみろ。先にあるのは廃人のようなつまらん人間ばかりだぞ?それすなわち想像が消えるということだ。我々のような物が消えてしまうし、その先の人類の未来など無に等しい。悪魔と天使の配分はお前たち人間が生きる上で大切なのだ」


なるほど、確かに重要だ。てかいまこの人普通に心読んできたな。


「さて、ではお前の判決だが・・・ふむ・・・」


・・・正直言って、俺は正しく生きてきたとは思っていない。まだ善悪の判断が曖昧なガキの頃に駄菓子屋からお菓子を盗んだこともあるし、家族に暴言を吐くこともあった。最悪なのはたぶん、自殺したことだろう。


「まあ自殺したのはな・・・お前の歩んだ人生を考えると仕方ないとは思うぞ。苦労したな大塚。お疲れ様」


なんで閻魔様に慰めてもらっているのだろうか。非常に虚しい。でもありがとう。ちょっと希望が生まれたよ。死んでるけどな。


「・・・・よし。お前の行先は決まった。お前には新たに生誕してもらう」


良し‼正直天使や悪魔もちょっと興味ある。が、普通に考えて新しく生まれるほうがいいに決まってる。

次は金持ちの子供か、或いはイケメンで頼む。と楽観的に考えていたが、信じられない言葉を告げられた。



「お前には新たに現代では無い平行世界にて生まれてもらう」



・・・・・・平行世界?
















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