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せつやくぶ!  作者: 奈瑠 なる
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プロローグ 新しい生活について

※現在この小説は凍結中です。しばらくお待ちください。

『自分のことは自分でできる”しっかりした子”になりなさい』


 小さい頃からそう言われ、掃除、洗濯など家事全般を姉とともに教え込まれてきた。

 そんな私もとうとう高校生。中卒だったらもう働き始める、そんなお年頃だ。親の望み通り、自分のことは自分でできるくらいには成長した。…けど…。


「だからって…寮生活はきついかなー…」


 彼女の目の前には威風堂々たる佇まいの学園寮があった。




 ここは私立小金台学園。郊外の小高い丘に建つ全寮制の高校だ。

 この高校は『自立精神を鍛え、どんな環境においてもしっかりと自分の足で立てる”強い人間”に育てる』ことをモットーに掲げている。その一環として、生徒は寮生活を義務づけられているのだ。

 その上寮母も寮監もおらず、出入りの届け出も門限もない。食事は自分で用意し、自分の行動にはしっかりと責任をもて、ということだ。

 寮というよりかは学校が保有するアパートみたいなイメージが正しい。


 学園のモットーと親の望みも完全に一致していたため、全力で小金台学園(ここ)を勧められたのだ。

 彼女としても、特になにかやりたいことがあるわけでもなく、進学先に悩んでいたので、姉がいる小金台学園(ここ)なら安心かと思い進学を決意した。


 …わけなんだけど…。


 今更ながらちょっと後悔している。

 今までは家族の手伝いとして洗濯だけ、掃除だけ、というカンジでテキトーにやっておけばよかったが、一人暮らしとなるとそうはいかない。掃除はこまめにしないと誰もしないし、洗濯だってほっといたら山のようになる。食事も自分で作らないと食べれない。もちろんしがない高校生には外食で食べ続けれるようなお金はないわけで…。


「…うわー…」


 考えれば考えるほど気落ちしそうだった。


「…まーしかたないかー」


 そう自分に言い聞かせて思考をシャットダウン、さっさと部屋に向かうことにする。彼女ーー金子ゆとりは深く考え込みすぎないところが長所のひとつであった。

 ゆとりの部屋番号は2号館の305号室。姉のひかりは同じく2号館の102号室である。

 まずは305号室に向かい。自分の荷物の確認と整理を行う。家具などはもともと揃っているし、実家からの荷物も最小限に抑えたので、そこまで時間をかけることなく整理し終えることができた。

 1階に降りて、姉の部屋に向かう。若干歩く速度が速まったのは、なんだかんだ言って1年近く会っていなかったので、早く顔が見たかったからだろう。

 部屋の前に着くなりインターホンを鳴らす。中から「ゆとりでしょ~?入ってきていいよ~」という声がしたので部屋に入る。


 だらしなく歪んだ寝間着を着た眠そうな姉がそこにいた。寝癖もついているし、おそらく寝起きなのだろう。


「まだ寝てたのー?もう十時だよー?」

「いつも寝てるゆとりには言われたくないわよ…」


 かく言うゆとりも半目状態である。しかし別に寝起きというわけではない。常に半目状態なのである。いつも眠そうにしており、隙あらば寝る。それが彼女のアイデンティティだった。


「ゆとりは朝ごはん食べた?」

「途中でパン買って食べたー」

「…ならいいけど。私は今から朝ごはんだからごめんね」

「いいよー。気にせず食べて食べてー」


 ひかりがキッチンの方に引っ込んでいく。手際よく朝食の準備をし、ちゃぶ台に並べていった。


「って、ゆとり~…玄関で寝ちゃだめでしょ」


 玄関で座ったまま寝ようとしていたことを注意されてしまった。どこででも寝れる。それも彼女のアイデンティティなのである。


 その後は、ここ一年のことなどを話しながら久々の姉妹の時間を、のんびりと過ごしていった。


 明日は、入学式。


 新しい日常の幕開けである。

次回は入学式!です!(笑)

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