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厄災(ドラゴン)と人×妖精(ハーフフェアリー)  作者: どらっご
最終章「其の末は破滅か、或いは平和か」
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81・・・「輪廻にちょちょいと」


「終わった…?」


「ん?そうだよ?これで滅亡の危機は回避。ようやくね」


壮大すぎていまいち状況がつかめずじまいだったイクスティクスの問いに蘭太は答えた。


「そうなんだ…。ようやく終わったんだ…!」


だがどうやらカルナはイクスティクスよりも状況の飲み込みが早かったらしく安堵の表情を見せていた。


「終わ…ああーー!!」


ワンテンポ遅れて理解したイクスティクスは大声をあげてカルナ達から少し離れて詠唱を始め、大きな魔法陣を生成した。


「我の僕に命ず!直ちに活動を停止せよ!」


そういえばそうだった。この戦争中起こっていた戦闘はここだけではなかったのだ。

各地で抜け殻の龍達が本能のままに暴れまくって破壊の限りを尽くしていた。

その抜け殻の龍の活動を、統括者であるイクスティクスが止めたのだ。


その様子を見た後蘭太はカルナに近づいて自身の心臓部からエメラルド色に輝く光の塊を取り出して差し出した。

その光はカルナの龍力で、蘭太が気を失っている時にカルナが流し込んだものだった。


「カルナ、これ…ありがとう。でも俺達が持っているわけにもいかないから返すね」


蘭太がこの龍力をカルナに返すのには2つの理由があった。

1つは単純に持ち主の元に戻すため。カルナは今自身の龍力を他者に分割している状態のため、これを継続していると自身の弱体化につながってしまう。それではこれから先命の危険があるため一刻も早く元に戻したかったのだ。

そして2つ目は真・限界突破を行使不能にするため。グラスミラナの限界突破は最後の一撃で能力そのものを消滅させたため問題ないのだが自分達の能力は自分達で消す必要があった。なぜならこの能力は異質極まりなく強すぎる上、もう自分達には必要ないからだ。


だから蘭太は龍力をカルナに返した後、自分とルルの真・限界突破能力を宿している証明である右目と左目の白金色の輝きが失われるものだと思っていたのだが…。


「……あれ?消えてない…んーー?」


じーっと蘭太とルルは見つめ合うが、一向に白金色の輝きが消えることはなかった。


「「なんで?」」


「ボクの龍力でその能力が出来てたわけじゃないってことでしょ?」


「「…え」」


そもそも2人はこの真・限界突破能力がカルナの龍力によるものだと勘違いしていた。

詳しく言うと、カルナの龍力を軸に作られた能力だと思っていた。

それがそうではなかった。


「きっとボクの龍力はキミたちの新しい能力を発現させるためのちょっとした刺激程度だったんじゃないかな?起動のためのトリガーみたいな」


ただの起動のための初期刺激程度の存在だったのだ。つまり、真・限界突破は蘭太とルルが初めから作り出した完全オリジナルの能力ということになる。


「それはキミ達固有の能力。しっかりとキミ達が管理して適切に使っていけばそれでいいんじゃないかな」


「…なるほど」


「うんうん、それでいいよ。…ところで、イクスティクス?」


「あ…う…なんとなく言いたいこと分かりますよ…」


蘭太にむけてにこっとした笑顔をそのままイクスティクスに移したカルナだったが、当のイクスティクスは引きつった顔を浮かべていた。


「何かいうことあるよね?」


直後、ガバッとカルナの腰にイクスティクスが抱きついた。


「ごめんなさいぃぃ!いっぱい命殺してごめんなさい!抜け殻作っちゃってごめんなさい!理解しようとしなくてごめんなさいいいいいい!!」


まるで命乞いのようにわんわん喚きながら懺悔するイクスティクス。その間蘭太とルルは「神様ってこんななのかな」「ちょっと意外だよね」と会話していた。


「まあまあ…失ったことは悲しいけど戻せない訳だし……」


「戻せるよ?ただボクたちが魂の輪廻の機構から罰ゲーム受けるだけで」


「…ぇ」


絶句。やだこの創造龍さらっと魂の輪廻に違反しようとしてる。


「ボクとイクスティクスが相互能力干渉しあって魂の輪廻をちょちょいといじれば“まだ生きたい”って思ってる命限定だけど身体ごと復元できるんだよね〜」


「ま、まってカルナ。我はあんな恥ずかしいこと出来ぬ…」


「やるよね?ね?」


「……ぁい(泣)」


何やら物凄く酷いことらしい。気高そうなイクスティクスが半泣きなことから大体察した。

何とかして回避できないのか。


「ねえカルナ、魂の輪廻の機構って何かの意識体だったりする?」


「そうだよ。ウロボロスとは違うけど輪廻神っていう誰にもコンタクト不能な存在が…本当にいるのか分からないけどそんなのがいるって聞いたよ。…でもどうかしたの…あ」


「気づいた感じ?じゃあちょっと行ってきます。行こルル」


蘭太とルルは光に包まれて姿を消した。


「ばっちり要るじゃん。あれ無くならなくてよかったぁ」


「2人はどこへ行ったんだ…?」


「輪廻神の元だよ。イクスティクス、ボクたちは多分罰ゲーム受けずに済むからお礼に彼らが帰ってきたら手伝ってくれる?」


「…うん。了解」



ーーーーーーーーーーーー



【何だ。この輪廻神に何が干渉する】


「蓮藤蘭太、そしてルル・イーリアです。種族は龍人と妖精、合わせてハーフフェアリーです。用件があってここへ来ました」


床が存在せず宙に浮く状態の蘭太達は厳格な声と会話していた。


【なぜこの輪廻神に干渉できる】


「私達2人の能力によるものです」


【用件とはなんぞや】


「創造龍カルナと死滅龍イクスティクスの魂の輪廻への干渉を許してほしいということです」


【認めん。早急に罰を与える】


「お待ちください!生者の数を調整するだけです!」


【それがならんのだ!生者を増やしすぎても資源が枯渇してしまうし、減らしすぎても滅ぶだけなのだから!】


「違います!今生者は減りすぎたんです!輪廻神様もお気づきのはずです!凄惨な数の死者を!」


【何?】


蘭太達も実際見たわけではないが、死者、特に元世界での死者が尋常ではなく、生きている者は元世界と龍界合わせてでも開戦前と比べて一割程度しかいなかった。人間でこの有様なのだから他の環境生物は実に98%が姿を消していた。


とてもこの状態からでの復興は不可能だった。


「どうか彼女達を許して下さい…!これが彼女達なりの世界への謝罪です…!」


2人で深く頭を下げる。どうかお願いします、と。


【面をあげよ】


そう言われたので下げていた頭を元に戻した。


【ハーフフェアリーよ。お前達はこの輪廻神が創造龍と死滅龍の魂の輪廻への干渉を許したことで何か利点はあるか?】


「はい、あります」


【答えよ】


「世界が直り、平和な所で生を過ごせます」


【ん…?…ふ、ははははは!】


笑った。神が心から笑っていた。


【上等だ。お前達のその行動を讃えて許すとしよう。だが次からはないと思え。どうしても次も魂の輪廻へと干渉したいのならば創造龍と死滅龍本人らがここへ来てこの輪廻神と交渉せよと伝えよ】


「……はい!ありがとうございます!」


そう言って蘭太とルルは再び姿を消した。

それを見送り、輪廻神は、


【人間…。あのようなものも存在するのだな】


と呟いていたが誰もそれを聞いたものはいなかった。



ーーーーーーーーーーーー



「ただいまー!お許しもらったよ〜!ただ次からはカルナとイクスティクスが直々に輪廻神に交渉しに行ってねーだってさ!」


戻ってくるや否やまくし立てた蘭太。


「マジ?」


「マジ!てことでよろしく!」


「OK。やるよ、イクスティクス」


「了解!」


蘭太とルルを離れさせ、カルナとイクスティクスは向かい合って互いの手を握り合い龍力を融合させ始めた。

それと同時に彼女らの頭上上空にはエメラルド色とアメジスト色の魔法陣が出来、それらが混ざって回り出す。まるでその魔法陣が魂の輪廻を表現しているように。


「今ここに創造龍と」

「死滅龍の神龍権限を持って」

「魂の輪廻の流れを逆転す」


「「生に未練ありし魂よ、其の身と共にこの世に来たりて帰りたまえ!」」


そう2人が唱えると、上空の巨大な魔法陣から膨大な量の光の帯が飛び出してきた。この光の帯1つ1つが一度は失われた命である。


「まるで流れ星みたい…綺麗…」


ルルだけでなくその場の皆の視線がそれに釘付けだった。

光の帯は数分に渡り流出し続け次第に収まった。

気がつくと空は禍々しい紫色ではなく、元世界と同じ青い空が広がっていた。


ふと蘭太達の後ろから…


「ここが天国ですかなるほどな〜」


「いや…知れた顔ぶれそろってるよ…?」


「アホか?俺ら死んだんだぞ?とするとどこだここ!……ん?」


振り返った蘭太と、いつのまにかいた赤い青年の目が合った。


「ブラッディアン…?雷花…?」


「え…あ…?お前…死んだのか?」


「生きてるよっ!ねぇルr…あれ」


隣のルルがいない。どこ行った…と探す頃にはもう見つけていた。ルルは雷花とハグしていた。再会の喜びを分かち合っていたのだ。

ちなみにブラッディアン、彼の体は蘭太似ではなく、本来の姿を取っていたのだが蘭太は精神世界でその姿の彼と会ったことがあるため特に問題はない。他の変身能力者への説明は必要だろうが。


とりあえず絶賛困惑中のブラッディアンにカルナとイクスティクスのやったこととその効果を伝えると、彼は「さすが神様ってとこか」と言ってようやく理解したようだった。


「ひとまず、生きようとしてくれてありがとうね」


「やっぱなんか死んだ後に先に逝ったあいつらにまだ笑われそうでな〜」


しばらく話していた後。

蘭太は火鉈達他の変身能力者を自身の作った転移ホールを潜らせて元世界へ帰した。


「先に行って復興とかよろしくね」

「俺たちはもう少しここでやることがあるから」


と半ば押し付けた感じではあったが。

一通り帰し終わった後、蘭太は「さて…」と呟いた。


そう、まだ完全には終わっていない。


「もう出てきても大丈夫だよ。グラスミラナ」


あらぬ所へ視線を向ける蘭太だが、そこから消えたはずのグラスミラナが姿を現した。

瞬時に警戒状態へ移るカルナ達を止めて蘭太は問うた。


「分かって貰えたかな。心の尊さと命の大事さを」


「…ああ、痛いほどにな」


目の前の冥界神にはもはや姿を消す前の傲慢さも殺意もなかった。



どうも、どらっごです。


あまり執筆に取りかかれなくて後書きとかでこれまでの何書いてるのか綺麗さっぱり忘れてるのでなんだか最近同じことを書いているんじゃないか?と思ってきた今日この頃です。


この戦争、1番被害出してるのは言わずもがな抜け殻の龍です。ハイ。

こいつらのせいで死者多数なんです(押し付け)。まあ、仕方ないですね、隣の者最強種の一種ですから。

…どうして“一種”ですかって?それはもう神様も隣の者の一部だからです。さすがに龍族でも神とは互角かそれ以下なので。


というわけで(無理矢理)、また次回でお会いしましょう〜。

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