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厄災(ドラゴン)と人×妖精(ハーフフェアリー)  作者: どらっご
最終章「其の末は破滅か、或いは平和か」
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79・・・「愛は、全てを超える」


完全に対策されてしまったグラスミラナの能力行使によりカルナの防御は瞬時に消滅させられた。

ルルが二人を庇うように立ち塞がったとき、カルナは蘭太になにかの足しになるかと思って自身のエネルギーを流し込んだ。


「お願い!彼女を守って…!」


彼女は他でもない君のために体を張っているのだから。



ーーーーーーーーーーーー



「ね、きみは本当にそのままでいいのかい?」


悲しみに明け暮れる蘭太に小さな少年が声をかけた。

気が付くと蘭太はルルに包まれるように精神世界にいた。そして蘭太に声をかけた少年はまんま蘭太を小さくしたような子、デュ・ネイルだった。

とりあえずルルを離そうとしたが彼女に離れる意思はないようなのでそのままにする。


「…俺?」


気になって仕方がないので尋ねる。


「ぼくのこと、今は気にしなくていいよ。それでどうなんだい?きみはこのままその子が盾になって死ぬとこを見てるままでいいのかい?」


ふと下をみる。

そこには縋るように蘭太から離れないルルがいた。

彼女はきっと蘭太には生きてほしいのだろう。最悪自分が死んでも蘭太さえ生きてくれさえいれば…。


「いいわけないだろ…!」


許さない。ルルが死んで自分はのうのうと生きろと?生き地獄か?

そんなもの認められない…!


「殺させない!守ってみせる!」


「私も守るよ…蘭太…!」


自分がルルを守る。自分のことは絶対ルルが守ってくれる。今の自分が全てを預けられるのはこの少女しかいないのだから。


そんな二人を光が包んだ。


「…?」


何かを知ってそうなデュ・ネイルは薄い笑みを浮かべていただけでなにも言わない。

ただ、


「今のきみたちならグラスミラナをどうにかできる。さぁ、行って!」


二人は頷き、姿を消した。


残されたネイルのもとに巨大な龍、ラ・アクニリディアが現れた。


「母もなかなか凄いことをしたものだし、奴らもすんなり取り込めるとこも凄いな」


「だよねー。それだけ成長したってことだよ」


「それならもっと早くにしてもよかったろうに…。戦闘用妖精と二重妖精(デュアルフェアリー)が死んでしまう前に」


「無理だよ。だって彼ら二人のあの行動のおかげだもん」


どういうことだ?とアクニリディアは尋ねる。この少年が二人の死を喜んでいるとはとても思えなかった。


「戦闘用妖精と二重妖精は自らがいなくなることで蓮藤蘭太に本当に大切な人はルル・イーリアなんだよって、大事な人はいつだってすぐそばにいるんだよって無理矢理にでも伝えたかったんだ。まあほかの人の助けがあるって前提だけどね」


「魂の修復が目的ではなかったのか?」


「それもあるけど真の目的はきっとこっち。彼らはこうしないと事態の打開は不可能だって結論に至ったんだろうね」


ネイルは噛みしめるように言う。

きっと自分のままでは彼らの領域には至れなかっただろう。

彼ら二人だからこそあそこまでいけたのだ。

もう心配することはない。


「任せたよ、未来のぼく。そしてルル・イーリア」



ーーーーーーーーーーーー



ルルと蘭太、そしてカルナを光のシェルターが覆い、迫っていた斬撃波はそれに退けられるようにずれていった。


「びっくりした…盾なんて物騒なことしないでよ…」


むくりと起き上がった蘭太にルルは勢いよく抱き着いた。


「よかった…!よかった…!」


泣いていたルルの頭を静かに蘭太は撫でる。改めて気づいた、いつだってそばにいてくれた愛しくて仕方がない少女をもう二度と離さないと誓いながら。


「ねえ蘭太…私、あなたと共鳴したい…!」


「いいよ…心も鼓動も魂も全部共鳴させよう。ルルにならそれはできる…だって…愛してるから」


「私も…!私も愛してます…!」


「「共鳴変身」」


愛し合う二人を青白い光が包んだ。



ーーーーーーーーーーーー



「どうなっている?なぜ限界突破を使ってもあの殻を割れないどころか当たらない…?」


グラスミラナは困惑していた。彼とて黙って放置していたわけではなく光の殻の破壊を試みていた。しかしまずもって当たらない。放つ攻撃全てがまるで「当たりたくないです!」と思っているかのように自ら殻を躱していくのだ。


「仕方がない。直接やるか」


そして武器を構えて殻を割ろうとしたとき、中から強烈な光は炸裂しグラスミラナを吹っ飛ばした。


光が薄れていく中で少年と少女が混ざり合い1つになり、輝きが収まった時には青い翼に包まれた物体があり、広げられるとそこには装甲を纏った少年がいた。


失っていたはずの左腕は元どおりになっていた。


全体的に青白い光を仄かに纏っており、背中からの龍の翼は相変わらず存在していたが腰から新たに妖精の羽を生やしていた。

背中にあった氷剣は無くなっていた。そのかわり蘭太の周りにはデュアルブレイガンとバルディアムがふよふよと浮いていた。


そして何よりの変化はその右目。


「白金色……?」


どの属性の能力者であろうが、どの階級の能力者であろうが、はたまたどの種族であろうが白金色の瞳を持つ存在はいなかった。無論どの神にもこの色の瞳を持つものはいない。


すなわちそれは前代未聞の新境地へ彼らが辿り着いたということになる。


「ほう。なるほどな。だがどの道俺様には抗えない。さっき逝ったあの2人と同じ目に合わせてやる」


防御成功可能率をゼロにした斬撃波を飛ばす。これならばなす術なく蘭太を両断できる。

…そう信じて疑わなかったからこそ。


「……?」


自分の胸に穴が穿たれていることに気づくのに時間がかかった。


『何が起こった…?』


起こったことを述べよう。

グラスミラナの放った斬撃波が()()()()()()()()()大剣と剣によって防御され、反撃の高圧水流はグラスミラナに()()()()()()()()()()当たり、穴を開けた。


ふむ、ありえない。

穴を直しながら考えたが、その結論しか出なかった。


なぜなら自分の限界突破能力を超え、塗り替えるような能力は誰も持っていないはずだからだ。


ならば…なぜ?


「どうしたの?」


まるで緊張感のないゆるゆるな声にはたと顔を上げる。

そこには逆になんで驚いているのか分からないというような顔を作っている蘭太がいた。


「貴様、なにをした?」


「何だろう?あんたと同じようなものかな?」


白金色の右瞳から同色の焔のような光をゆらゆらと光らせ、答える。

この言葉が正しければ限界突破の能力が2つ存在することになる。


最悪それはいいとして。


「なら何で俺達の限界突破のほうがあんたのを上回っているかって思ってるんでしょ?」


「黙れ。同じ能力は2つと要らん」


グラスミラナはワームホールに入って転移し、蘭太への攻撃を仕掛けるが、同じようにワームホールに入った蘭太によって弾き出された。


「何…!?」


「言っておくけどあんたの能力ははもう俺達のを超えられない。なぜならあんたは1人なのに対して俺達は2人でその分能力も強化されてるから」


そう言った蘭太の言葉に、今や外野となってイクスティクスと合流したカルナは首をかしげる。


「どういうこと…?複数人で範囲が広がる能力ならあるけど強化される能力…そんなのあったっけ?」


()()()()なかっただけかもしれない…いや、2人?何か特別な関係とかが…」


「蘭太くん達はお互い愛し合ってるけど…」


「愛……ああ、なるほど。よく分かったよ。原点にして頂点とはまさにこのことだな」


「?」


「あいつらが自ら能力を生み出した時の基礎感情こそ『愛』だ。この感情の最大の特徴、わかるか?」


生物が能力を生み出す際、必ず何かしらの感情が基礎となり、大体は経緯が能力の内容の参考になる。何が基礎となるかは、生み出す直前に持っている感情である。

例えば怒りの厄災の限界突破能力。これは怒りによる身体強化を経て限界突破へ至るわけだが、生み出す際に【怒る→怒りを克服し、乗り越える】という経緯をたどることによって能力発動となる。


というわけで今回は『愛』という感情を用いて能力を生み出したわけだが。


「えー…と…」


「感情の原点なんだ。つまり怒りよりも感情の根源に近い愛というものこそ感情の力が強大。そしてあいつらは【仲間の死という悲しみを乗り越えて立ち上がった】から再び限界突破能力を得るような形になったのだろう。ただ…まだ何かある気がする」


怒る時やその他諸々の感情には僅かながらでも間接的にでも愛の感情が絡む。

感情の関係を蜘蛛の巣のように互いに関係し合いながら円を形成しているものと考えると、愛は確実に中心に存在する。

ここで重要なのが、生み出される能力の基礎となる感情がいかに中心に近いかによって強さが変動するということだ。

中心側であればあるほど外側にあるものより強い能力が生まれるわけだが、愛はそもそも中心なので怒りに負けることがまずない。


「なんとなく分かった気が…え、てことはこれって所謂……チート?」


「それを言えばグラスミラナと蓮藤蘭太達の戦いそのものがまさにチート同士の殴り合いじゃないか…」


ジト目でイクスティクスはカルナを見た。


「『やっと分かったのか?』って言いたそう」


「よく分かったな」


そして視線を蘭太達に戻す。

その先では蘭太がグラスミラナの攻撃を最小限の動きで捌ききっていた。

その様はまるでグラスミラナが弄ばれているようで…。


「ふざけるな…!」


それは彼の動揺を誘い、ついには怒りに至らせる。

グラスミラナはワームホールを用いて蘭太の四肢の自由を奪い、実質拘束した。


「まずはその装甲を剥がす…!そして、死ね!」


声と共にX状の斬撃波を放った。


通常の能力者が受ければ装甲が瞬時に解け、その奥の身体すらも切り裂かれるほどの危険な攻撃を蘭太はじっと見て、


「もう絶対に…傷つけさせない!跳ね返せ、ミラーアーマー!!」


斬撃波が蘭太に当たったその時。

()()()()()()()()血が噴き出た。


「ぐぅあっっ……!??」


瞬時に傷を直すがグラスミラナは混乱を隠さないでいた。


この様子を見た者は余すことなく目と口をぽかんと開けていた。


「何が起こった…?」


イクスティクスがカルナに尋ねる。


「蘭太に触れた攻撃が、放ったグラスミラナに当たった…。何言ってるのか分からないと思うけど…ボクも何が起こったか分からない…」


神でさえ絶賛困惑中だった。

その時。


【とんでもない特殊能力だな。ミラーアーマーという名前らしい】


【彼ららしくてぼくは好きだよ】


カルナとイクスティクスの脳内からアクニリディアとどこか蘭太に似たような声が聞こえた。



はい、どうもどらっごです。


今回は最終強化フォームのお披露目ですね。

愛が怒りより強いって設定を使うためのイメージを頑張って書いたんですけど、よく分からないかもしれません。ごめんなさい。


そんな時には渦をイメージして下さい。

(多分)アレは中心に行くほど力が強い物なので、それと同じように考えてもらえればな…と。


あ、ミラーアーマーの説明は次話で頑張ります!


ではでは、また。


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