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厄災(ドラゴン)と人×妖精(ハーフフェアリー)  作者: どらっご
最終章「其の末は破滅か、或いは平和か」
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70・・・「人間よ、なぜ拒む」


「ぐあぁぁぁ!!」


居城内。ちょうど神龍を除く全員が爆発と共にぶっ飛んだところだった。


「みんな、しっかり!」


「愚かだな。人間よ」


火鉈達を心配するカルナと対称的にイクスティクスは嘲笑した。

事実形勢は最悪。圧倒的イクスティクスの優勢であった。


「たしかに学ばない生き物筆頭というのが理解出来ているよ」


「ふざけるな!!」


ブクリスが龍殺しの槍を召喚し、イクスティクスに向け放つ。

だが、イクスティクスが「滅。飛来物体」と口にするだけでソレは霧散した。


「くっ…!」


「何をしようが無駄ということがまだ分からないかな?愚種よ。…いや、理解を拒んで逃げているといったほうが正しいかな?自分のしていることが無駄じゃないと、そういう夢物語に下がってカッコつけているつもりならやめたほうが良い。最高にださいからな。滅。暴食災」


「させない!創生!概念反射鏡!」


イクスティクスが放ったブラックホールのような闇を、カルナが作った鏡が別方向へ跳ね返す。そのブラックホールが通ったところは何も存在しなかった。


イクスティクスは溜息をついたあと、カルナを睨め付ける。


「カルナ…邪魔をするなとあれほど言ったろうが?」


「今のキミの言うこと、ボクが聞くと思うのかな?」


「思うさ。だって我とお前の間柄だろう?」


「そうだね。その関係は正しい。でも間違ったこともだまって見逃すような関係でもない」


「何が間違っている?子である龍族は残してやっているぞ?それどころか後先考えず目先の利益の為に世界すら破壊しようとする愚かな世界の癌(人間)を滅ぼすことで死のエネルギーを生み出させてやっているんだ。なによりお前のためにな」


「キミはまるでデジタルだ…!0か1しか無いのかい!?限度があるでしょ!?そもそもなんで人間をそんなに全滅させようとするんだ!?」


「学ばず、傲慢だからだ」


イクスティクスは蔑むように火鉈達を見て、どこからともなく推奨の塊を呼び出し、映像を流す。

そこに映っていたのは過去に存在していた権力者の姿。

映っていた者はにやにやしながら話をしており、しばらく経つと戦争に発展した後の映像になった。

そしてさらに時間が経つと戦争は終わり、平和になるがまたすぐに戦争が始まる。


「見ろ。この現状を。この戦争を。人間の歴史を体現しているようだ。何が二度と戦争をしないように、だ?その場凌ぎの戯言を並べて過去を水に流したつもりになってまた結局繰り返しているだけではないか」


「本気で二度と戦争を起こさないように努力している人だって居んだ!!全部がそうだと思うんじゃねえ!」


「ならばこのような奴らを全員駆逐すれば良い。それが出来ないあたり貴様らは本心では争いの中毒者になっているのだよ」


反論した火鉈を一蹴し、イクスティクスは続ける。


「自分の目先の利益しか求めない人間はついに自分を生かしてくれる星のことすら考えずに行動している。その代表が戦争だ。欲望のまま始め、同族を無為に殺し合い、なんとか終わったら今度は別方向へ戦争を仕掛ける。まるで息をするかの如く戦争をする。その戦争で大切な者も失ったはずなのに、もう二度と失いたく無いはずなのに学習もせずに目先の利益を追い続ける。実に愚かだ。それでいて自分達は最高レベルの生物だと?ネタか?ネタなら引退を勧めるよ。最高につまらん。まあ本気でそう思っているのだろうから質が悪いのだが」


どうしようもない。しょうもないことを本気で面白いと思ってやっているやつほど。

例えば公共の物を壊して面白がっている人、不適切な行為をしてオレカッケーと思っている人。


「ならば問うてみようか?人間を除いて、同族を無駄に大量に無意味に虐殺する種族はいるかな?虐殺のためにわざわざ兵器を作り、あたかも遊びの快楽を満たすように殺しをくりかえす種族は人間以外でいるかな?」


答えは分かりきっている。いない、だ。

問われた内容のことをする人間以外の生物を見たことがない。


「気に入らないのだよ。まるで世界は自分のためにあると勘違いをしているのに疑いもしない人間という種族がな。そして何より気に食わないのは、そんな人間が土足で我の居城に入ってきているということだ!」


そういってイクスティクスは火鉈達とカルナに向けて強力な衝撃波を放ち、居城の壁をも破壊してぶっとばした。


たった一撃で最上階から外の地上まで落とされた火鉈たちのうち数人が落下の衝撃で変身解除へ強制以降させられた。


「真に傲慢を許されるのは人間ではない。身の程を弁えよ。平伏せ」


イクスティクスは自らも地上に降り立ち、言う。


「違う…」


だがそれに反対したのは、人間ではなく、同じ神龍のカルナだった。


「種族は関係ない…。ボク達は等しく命を持つ者同士で、各々の信じることのために命を賭けて戦ってるんだ…」


「カルナ、酔ったか。しばらく黙らせる必要があるようだな」


イクスティクスはカルナに歩み寄り、その華奢な首を掴み、締める。


「覚めるだろう?最後の警告だ。我の方へ来い。我の邪魔をするな」


「それならボクが進んで死んでやったほうがマシな気がするね…?ごめんね、でもそれはダメなんだ。世界のために、そしてなによりボクの好きな人のために」


苦しそうにしながらも悪戯っぽい笑みをカルナは浮かべる。


「だから奥の手を使うよ。ボクはいつまでもキミの狂った姿を見たくないから、ボクの子供の力を借りることにする!」


ぷすっ、とイクスティクスの胸から音がした。


「ッ!?いつの間に!?」


胸に注射器を刺されたイクスティクスは慌てて手を離し、カルナを突き飛ばすが時すでに遅し。中身を全て注入された。


「カルナァ…一体何を仕込んだ!??」


【余だよ】


「貴様…!?ラ・アクニリディア!?滅ぼしたはずじゃ…」


【勝手に殺さないでくれないか?余はしっかりと生きてるぞ。あの希望の遺伝子として、だが】


お調子者のように中からイクスティクスに話しかけるのは水神龍、ラ・アクニリディアだった。

カルナはアクニリディアの遺伝子を含んだ血、すなわち蘭太の血をイクスティクスに打ち込んだのだ。



この戦闘が始まる前。

蘭太はカルナを呼び出し、自分の血を取った注射器を一本手渡していた。


『なかなか頼りになる奴だよ、コイツ。なんかの役に立つかもしれないから一応渡しておくよ』


きっとその時から蘭太はイクスティクスの相手を任せる気でいたのだ。本人は別の者との決着をつけたかったから。


ふとカルナが横を見ると、少し遠いところで雷光と疾風がぶつかり合っていた。


次にイクスティクスを見ると、内なるアクニリディアとの会話に意識を奪われているようなので、カルナは火鉈達の回復に勤しむことにした。


一方こちらはイクスティクス。


「貴様のような奴がいなければ面倒にならずに済んだのに…!」


【すまんなァ。反省はしてない。消えるつもりもない。余の持つ浄化作用は必須中の必須でな。余はどんな手を使ってでもしぶとく生きるのだよ】


「何故だ!何故そこまで破滅を拒む!人間の全滅を阻止しようとする!」


【そりゃ、死にたくないからさ。抵抗されないとでも思ったのか?思ってないならあんたは人間より愚かよ】


「貴様…ふふ…我を愚弄したか?」


【ついに自覚しておかしくなったかい?死滅龍。あんたは自分自身が忌み嫌う人間のようになっていたのだーーーー】


「殺してやる」


アクニリディアの声に既に聞く耳を持たなくなっていたイクスティクスは、距離を置いてもつれ合う蘭太とアクネル、特に蘭太に向けてブラックホールを作って放った。

そしてそれを止める手段は何者にもなかった。



ーーーーーーーーーーーー



時は少し遡る。


アクネルは完全に圧倒されていた。

2人を相手していた時もその連携の巧みさに苦戦を強いられていたが、混ざって三重共鳴をした蘭太は戦闘能力が上がっていた。


レーザーセイバーを振るうと、蘭太はブラッディアンが残した模倣品でそれを受け止め、デュアルブレイガンで反撃する。


直に攻撃を受けたアクネルは翼を広げ掴みかかり、蘭太の翼を抑え、狙撃銃状態にしたバルディアムの真ん中を持って銃身を押し付ける。

対する蘭太は二本の剣でバルディアムの進行を遮っていることで、両者の動きが止まる。


「驚いたな。お前は気を失っていただけのはずなのに」


「俺達4人は繋がってるんだよ。あんたの戦闘パターンとかはブラッディアンが解析済み」


「…なるほど。してやられたというわけか。お前達の信頼とやらは強固のようだ。なによりネイルとルル・イーリアの繋がりが」


「当然。あんたのちょっとした意地悪なんかで壊れるわけがない。俺達はこの戦争が終わったその先もずっと一緒にいる。あんたにも戻ってきてもらうからな」


蘭太はルルを、ルルは蘭太を愛する。その心が命を人質とした状況すらをも突破する。

そこまで強ければ充分だ。

そしてその先の未来に自分はいない。居てはならない。


アクネルは一瞬だけちらっと横を見た。


「そうか。そこまで行けば充分だ。ああ、俺の役目は終わりだ」


言い終え、余った腕で蘭太のバランスを崩し、掴みあったまま回る。


不意を突かれた蘭太の視界にはこちらへ迫るブラックホール、続いてそれを覆うように、安心したように笑みを浮かべていたアクネルが映った。


最後に蘭太を突き飛ばしたアクネルはブラックホールに取り憑かれ、飲み込まれた。

2秒後、ブラックホールは消滅し、アクネルの体が再び現れた時には装甲が光の亀裂を走らせていて。


かしゃん、と儚い音で砕け散った。


その装甲の主の目は閉じられていた。


「ッッ!!兄さん!!!」


戦場に、悲痛な少年の叫びが響いた。


どうも、どらっごです。


イクスティクスさん完全にヤッチマッタ回ですね。

次話はきっとお兄さん回になるかなと思います。

お兄さん、案外謎じゃないですか?

アクニリディアって輸血された程度の相手にも内部から語りかけられるのにお兄さんには…コホン、いかんいかん、本文に書く内容をここで奪ってどうするのだ()


なんだかもう察してるかもしれませんが、それは次話のお楽しみというわけで。


ではでは、また。




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