69・・・「二人よ、俺たちは信じている」
「ドラァァァァ!!!」
声と共にブラッディアンが身の丈ほどもある大剣を叩きつける。
空間リソースは有り余るほど存在するため、ブラッディアンは自身の演算能力を利用して「構築」することが出来る。さらに使わなくなれば分解するため、構築することでリソースが減っていく心配もない。
アクネルはそのブラッディアンの一撃を狙撃銃状態にしたバルディアムで防ぎきった。
「さすが兵器、かなりの火力を持っているな」
「そういうオメーはへばったんかぇ?あ?」
「ふっ、そんなことで調子に乗る程度ならお前もまだまだだな?」
アクネル防いだまま弾丸を取り出す。その弾は赤かった。
「ん?それは…」
それをバルディアムに装填。
ローディング、マキシマム!エンチャント!
撃ちだされたエネルギー体がブラッディアンをぶっ飛ばす。
半ば強制的に距離を取らされたブラッディアンは見た。アクネルが再び赤い弾丸を装填し、それを自分へ付与したところを。
「それ…マ?」
「弾が一発ずつしか使えないとでも思っていたのか?」
まさかの二重掛け。
アクネルのエンチャントマキシマム弾は、使用者本人の攻撃力を2乗ずつしていくという性能を持っている。つまり今のアクネルは攻撃力を4倍に上げていることになる。
そして、狙撃銃状態のバルディアムをブラッディアンに構え、発砲。
大太鼓を思い切り叩いた轟音を轟かせた殺意MAXの弾を頭を捻って避けたブラッディアンは後ろで山が吹き飛ぶ音を聞いた。
『うわーえぐいなぁ…』
雷花が声を漏らす。
だがこんな所で怖気づくブラッディアンではない。
「いいぜ、それくらいの方が手ごたえがあらぁ」
そう言って手に持っていた大剣を融解して分割し、二刀流で構える。
「お前が手数に逃げるとは正直驚いたな」
「昔の俺とは残念ながら違って、少なくとも脳筋ではなくなった。…いくぜ」
雷光を纏って加速し、アクネルとの距離を瞬時に詰めて右手に持った剣を打ち付ける。
それに対しアクネルは武装を大鎌状態に移行させ迎え撃つ。
片手剣を大鎌の柄でいなし、刃を薙ぐが立ちブリッジの容量で躱され、もう片方の片手剣の攻撃が来たところを大鎌を回転させて防御。
そうして攻撃を防がれたブラッディアンは気になったことがあった。
「お前、さては鎌慣れてねぇな?」
「ほう?何故そう思う?」
「勘だ。だが当たりだろ?」
「そうだな。正解だ」
ブラッディアンの疑問に対しアクネルはあっさりと答えた。殺意を滲ませた瞳で。
それはどこか「バレてしまっては仕方がない。死ね」という様子であった。
「見事正解したお前には見せてやろう。殺意の塊を」
「分かりましたって黙って見てるとでも思ったか!?」
アクネルはブラッディアンの咄嗟の攻撃をバルディアムを狙撃銃状態にして防いだ。
防御したままアクネルは先ほどのそれとは異なる弾丸を装填。
ローディング、レーザーセイバー!エンチャント!
バルディアムの銃口部を飲み込むように、さながらビームサーベルのようなレーザー光線が出現し、それを振りぬく。
その刃は防ごうとしたブラッディアンの剣をすり抜け、かつ溶断し、斬撃を直撃させた。
「んなっ!?」
驚愕しかない。なぜなら実体のない剣など見たことがないからだ。厳密には銃から出ているのだがそんなことは今はどうでもいい。
「どうだ?このレーザーセイバーの味は?」
「…悪いな。食ってねぇから分かんねぇわ。ただめんどくせぇってのはよく分かった」
ブラッディアンは手に持つ剣を霧散させ、かわりに二つのアサルトライフルを持つ。
二つのライフルを構え、発砲しながら接近するが、肉薄はせずに中距離を保つ。
あまり距離を取りすぎると発砲した弾が弾かれ、当たらないため、ある程度距離を詰めねばならない。
だが実質防戦一方になってしまっていた。
『ブラッディアン!何か他の素材で対抗出来ないの!?レーザーを止めれるような!』
「ンなもんあったらとうに使ってらぁ!実体のない武装なんてどう食い止めんだよ!…手段なら無くはないが!」
「やって!」
「はいはい了解!痛いかも知れねえが知らんからな!」
下がっては撃ち、下がっては撃ちを繰り返していたブラッディアンは立ち止まり、アクネルを待ち受ける。
そしてレーザーブレードの斬撃をわざと受けた。視認不能なほど微細な数式を目に表示しつつ腕の装甲を消滅させて。
腕が舞った。文字通り。だが切られた本人はまるで痛みを感じていないように腕を再生させて追撃のレーザーブレードを新たに作った武器で受け止めた。
ブラッディアンの狙い。
それは自らの体にレーザーブレードを刻み込むことで情報を得、それをもとに新たなレーザーブレードを作ること。
同じ光学兵器であれば対抗可能なのだ。
レーザーの刃で電磁と火花を激しく散らし、互いに拮抗しあう中アクネルは言う。
「模倣とは考えたな。だが何故そこまであがく?」
「不思議か?そうだろうな。兵器が変化するなんてまずあり得ない。でも俺は生きた兵器だ。変わる。…俺はな、とあるやつと精神世界で戦ったんだ」
「精神世界?」
「そうだ。そこで死ねば魂が完全に消滅するってとこでそいつから挑まれ、負けた。だが俺は生きてる。なんでだろうな?殺さなかったんだよ、そいつは俺を。その代わりに俺に心を教えてくれた。脆弱故に人間が得た『信じる心』を」
あの時のブラッディアンには理解ができなかった。
自分が人間風情に負けたこと。感情とかいう意味不明なものに負けたこと。
だが今はわかる。
そして今まさにそれに賭けている。
「信じる心?そんなしょうもないもので変わっただと?ついにトチ狂ったか!?」
「くは、冗談きっつ!貰ったわ」
にやりと口角をあげ、ブラッディアンは言う。
「何?」
「弟すら信じてやれねぇオメーが!俺らに勝てるとでも思ってんのか!?」
「ほざけ!」
拮抗する刃を無理矢理ほどき、バックステップしたブラッディアンに追撃を仕掛ける。対するブラッディアンは笑っていた。
「見てろ。信じる力ってのをな」
ブラッディアンの脇腹と腕の間から青い銃のようなものがぬっとのび、アクネルに高圧水流をぶちかました。
「ぐあっ!?」
ゴロゴロと転がされたアクネルは、バク転しながら青い装甲を纏った少年の後ろに立ったブラッディアンを見た。
「はい、お待たせ」
乱入者。ではなく精神封印から復活した蘭太は言った、と思ったが。
「うん、んん?ルル・イーリア?蘭太と同化してるんなら蘭太が言えば良くね?」
蘭太の口を使ってルルの声が出てきたものだから驚いた。
「なんかルル直々に言いたかったらしいよ?なんのことかよくわかんないけど」
今度こそ蘭太が答えた。本人は自分の意識がない間何が起こったのか知らない。
ルルに聞いても「全部終わった後に」と言って答えてくれない。
「どーせプロポーズの類じゃね?」
「うわーー!!!」
ボソ、と呟かれたブラッディアンの言葉を搔き消すように蘭太の口を使ってルルが叫ぶ。
「あ、ところでブラッディアンソレなに?」
「ん?これレーザーセイバー。ヤローの奴を模倣したんだよ。ちなみにこれを受け止めれるのは同じレーザーセイバーだけな」
「なにそれチートじゃん?俺も使いたい」
「ダーメ。俺だってまだ使ってねーんだ振るいたりねぇ。つーわけでしばらくこのままでよろ」
「それマ?」
「マ。ちょうどいいじゃん。2人の時間取っとけよ」
そうしてしばらく会話が続いた結果、アクネルは回復を済ませていた。
「おーう、ネイル?まさか戻ってこれるとはなー?兄ちゃん嬉しいよォー!」
「あのー、ね?そんな意外みたいに言わないでくれる?何が起こったのか知らないけど、知らないけど!こんな所でくたばるわけないだろが!」
まるで今までの茶番と別人のように目つきと表情をガラッと変え、蘭太はアクネルに答えた。
ちなみに本気で知らないので「知らない」を繰り返した。
「そうだな。こんなとこでくたばってもらっちゃつまらん。お前がいなくなればこの戦争も一方的だろうな?イクスティクスと戦っている他の奴らも無意味だ」
「あんまり人を馬鹿にするなよ?例えそうだったとしても、意地でも俺たちはこの戦争を終わらせる!その為にみんなも戦ってる!俺たちだって戦ってるんだ!だから…!」
蘭太は二本指を立て、手の甲を前に向けてアクネルに見せる。
「兄さん。第2ラウンド、始めようか」
うわあああああああああああ!!!!!
どうも、お久しぶりです!生きてます!あとさりげなく「黒白の心」の100部記念で紹介されてひっくり返ってました、どらっごです!
ちなみに頼んではおりません!きっと本人の優しさかなと!
さて、
今話どうやって進めようかと考えていたら思ったより時間が吹き飛び慌てて書いたので大して変わってません()
…次からちゃんと書くもん。遅くとも1週間。
頑張れ筆者。
では!また!




